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第一章 ○○世界における魔王国建国の経緯(いきさつ)
第20話 神の力
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「ケビィィィィン!!」
ケビンが火口に飛び降りると同時に俺とケビンを遮っていた壁は消え、俺は火口めがけて走り出す。
「バカ! 止まりなさい!!」
舞衣さんがそう叫ぶが、俺は意に介さない。
まだ急げば間に合うはずだ!
「ケビン! 今行っておわあ!!」
ブオン!!
火口に飛び込もうとした瞬間、黒い巨大な柱が火口より生えてくる。
高さは10階建ての建物くらいだろうか、上を見ると先端は5つに分かれている。
「何だこれは……!?」
困惑する俺の元に舞衣さんが追い付く。
「この柱、とてつもない魔力を感じるわ……って危ない!!」
ズガアアン!!
突如現れた柱は、急にこちら側に倒れ物凄い音をたてて地面に激突する。
「何なんだいったい……」
俺たちは間一髪直撃を避け、更に地面に激突した柱の様なものを観察する。
柱の先端は地面に刺さって……いや、違う。
先端は地面を掴んでいた。
「嘘だろ……!?」
そう、火口より現れた長さ40mほどのこの物体。
これは巨大な腕の形をしていた。
「どうやら成功してしまったみたいね……!!」
ズガン!!
そうこうしている内に火口よりもう一本の腕が生え、地面を掴む。
「い、いったい何をする気なんだ!?」
ビキビキビキッ!!
二本の腕に力が込められ地面に亀裂が入る。
すると、火口より更に黒い物体が這い上がってくる。
『ヴオォォォォ!!!!』
おぞましい声とともに火口より頭部が姿を現す。
卵の様に丸い頭部に赤い目と口だあり、そこから血のようい真っ赤な溶岩が流れ落ちている。
「こんな奴どう相手にしろってんだ……!?」
現れた悪神の大きさは実に60mはある。
しかも上半身だけの大きさだ、下半身はまだ作れてないのか火口に埋まったままだ。
もし全身が現れたらゆうに100mは超すだろう。
「まだ完全な形では顕現できてないみたいね。もし下半身も出来て移動能力まで得てしまったら世界の危機になりうるわ」
ならば不完全な内にここで仕留めなければならない。
今の俺なら出来るはずだ。
俺は悪神目がけて進もうとするが、舞衣さんに阻まれてしまう。
「駄目よ、相手は神性存在。神性を持たない私たちではロクなダメージを与えられないわ」
「でも! 今もあいつはどんどん力を増してます! 倒すなら今しかないはずです!」
俺はそう言うと舞衣さんを振り切い、魔法を使う。
「魔力飛行《マジックフライ》!!」
これは旅の途中新たに覚えた飛行魔法だ。自在に飛ぶには長い訓練が必要だが魔道具の補助のおかげで俺はすぐに使えるようになった。
「いくぜ!!超弩級氷塊撃《アイス・オブ・グランデ》!!」
松が得意としていたこの魔法だが俺も魔力効率がいいので気に入っている。
もっとも俺の超弩級氷塊撃《アイス・オブ・グランデ》は魔道具の効果で大きさ、威力、どれを取っても松のモノとは比べ物にならないほどパワーアップしているが。
ガッシャアァン!!
直径10mほどの氷塊が悪神の頭部に命中し体を揺らす。このまま押し切る!!
「潮流嵐撃《タイダルストーム》!!」
俺の手より発射される水の渦が奴の胸を穿つ。
水と風。二つの属性を込めたこの魔法は普通の水魔法より貫通力が段違いに上がっている。おそらくその体のほとんどを溶岩で構成されているこいつには良く効くだろう。
「まだまだ!次は……」
『ヴァ』
不意に動く奴の腕。
バチン!!
まるでハエを叩くかの様に何気なく振るわれたその腕は俺の体に命中し、全身をきしませながら吹っ飛ばした。
「え?」
反転する視界。
そして体中に走る衝撃。
俺は自分が奴にはたかれて地面に激突したのだと理解するのに実に10秒の時を要した。
「ぐ……なんて力だ」
あまりの衝撃に全身が痺れて満足に体が動かせない。
「特大回復《エクステンドヒール》!!」
俺は倒れたまま上級の回復魔法を唱える。
すると体を緑の光が包み込み、何とか動けるようになる。
あらかじめ強化魔法をかけてこのダメージ、もしかけてなかったら即死もありえた。
「腕の一振りだけでこの威力か……」
驕っていた。侮っていた。
特別な力を得て調子に乗っていたのだ。自分の馬鹿さ加減が嫌になる。
「おいおい、マジかよ……」
気づけば悪神の頭部に物凄い魔力が集められている。そして奴の目線の先には俺。
どうやら先ほどの俺の攻撃は奴の敵と認められるくらいには効果があったみたいだ。
先ほどの反応速度を見るに避けるのは不可能だろう。
「受けきるしかないか……!!」
『ヴアアアァァァ!!!』
竦み上がるような恐ろしい声と共に悪神の頭部より射出される赤黒い魔力の本流が俺をこの世から消し去らんと襲いかかる。
「絶対防壁《アブソリュート・プロテクション》!!」
青白い六角形の防壁が目の前に展開される。
『絶対防壁《アブソリュート・プロテクション》』、今俺の使える最大級の防御魔法だ。
「来いやあ!」
ビキキキキキ!!
悪神の攻撃が防壁に当たり、亀裂の入る嫌な音が響く。
すんでのところで防壁は持ちこたえているが熱波までは防げず俺の体がチリチリと焼ける。
「これが神力《じんりき》か……!」
神力。
魔力とは似て非なる神性を有するモノのみが使えるチカラだ。
神力が含まれた攻撃はいかなる強力な魔法であっても完全に防ぐことは出来ない。
ゆえに強力な防御魔法を身に纏っている俺でも悪神の攻撃の余波すら完全には防げない。
「ふう……ふう……」
必死に呼吸を整え防壁を維持しようとするが、息を吸う度肺に焼けるように熱い空気が流れ込みその度に気を失いそうになる。
「すいません……舞衣さん……」
まだ彼女に何も返せていない。
力を手に入れて浮かれた結果がこのザマだ。これから少しずつ恩返しできると思っていたのに。
ピシっ。
とうとう防壁に修復しきれないほどの大きな亀裂が走る。
熱さにやられて体も限界だ。脱水症状で視界がボヤけ、手足が震える。
「ここまで、か……」
「大丈夫、私がいるわ」
悪神と俺を遮るように突如目の前に降り立つ人影。
そんなことする人は一人しかいない。
「だめ……です……」
「うるさいわね。あんたは黙って守られてればいいのよ」
ニカッと笑いそう言い放つ舞衣さんだが、彼女も分かっているはずだ。
自分があいつに敵わない事くらいは。
「これ以上迷惑かけられません……逃げてください……」
「私がいつ迷惑だって言った? あんたとの旅、悪くなかったわ」
そう語る彼女の表情はとても穏やかで……寂しそうだった。
「あんたならやれる。だって私が認めた――――いや、好きになった男だもの」
「舞衣さ――――――」
砕け散る防壁。
灼熱の光に包まれる視界。
そして、それに飲み込まれながらも笑みを浮かべる彼女。
――――それが彼女、礼堂院舞衣が俺に最後に見せた表情だった。
ケビンが火口に飛び降りると同時に俺とケビンを遮っていた壁は消え、俺は火口めがけて走り出す。
「バカ! 止まりなさい!!」
舞衣さんがそう叫ぶが、俺は意に介さない。
まだ急げば間に合うはずだ!
「ケビン! 今行っておわあ!!」
ブオン!!
火口に飛び込もうとした瞬間、黒い巨大な柱が火口より生えてくる。
高さは10階建ての建物くらいだろうか、上を見ると先端は5つに分かれている。
「何だこれは……!?」
困惑する俺の元に舞衣さんが追い付く。
「この柱、とてつもない魔力を感じるわ……って危ない!!」
ズガアアン!!
突如現れた柱は、急にこちら側に倒れ物凄い音をたてて地面に激突する。
「何なんだいったい……」
俺たちは間一髪直撃を避け、更に地面に激突した柱の様なものを観察する。
柱の先端は地面に刺さって……いや、違う。
先端は地面を掴んでいた。
「嘘だろ……!?」
そう、火口より現れた長さ40mほどのこの物体。
これは巨大な腕の形をしていた。
「どうやら成功してしまったみたいね……!!」
ズガン!!
そうこうしている内に火口よりもう一本の腕が生え、地面を掴む。
「い、いったい何をする気なんだ!?」
ビキビキビキッ!!
二本の腕に力が込められ地面に亀裂が入る。
すると、火口より更に黒い物体が這い上がってくる。
『ヴオォォォォ!!!!』
おぞましい声とともに火口より頭部が姿を現す。
卵の様に丸い頭部に赤い目と口だあり、そこから血のようい真っ赤な溶岩が流れ落ちている。
「こんな奴どう相手にしろってんだ……!?」
現れた悪神の大きさは実に60mはある。
しかも上半身だけの大きさだ、下半身はまだ作れてないのか火口に埋まったままだ。
もし全身が現れたらゆうに100mは超すだろう。
「まだ完全な形では顕現できてないみたいね。もし下半身も出来て移動能力まで得てしまったら世界の危機になりうるわ」
ならば不完全な内にここで仕留めなければならない。
今の俺なら出来るはずだ。
俺は悪神目がけて進もうとするが、舞衣さんに阻まれてしまう。
「駄目よ、相手は神性存在。神性を持たない私たちではロクなダメージを与えられないわ」
「でも! 今もあいつはどんどん力を増してます! 倒すなら今しかないはずです!」
俺はそう言うと舞衣さんを振り切い、魔法を使う。
「魔力飛行《マジックフライ》!!」
これは旅の途中新たに覚えた飛行魔法だ。自在に飛ぶには長い訓練が必要だが魔道具の補助のおかげで俺はすぐに使えるようになった。
「いくぜ!!超弩級氷塊撃《アイス・オブ・グランデ》!!」
松が得意としていたこの魔法だが俺も魔力効率がいいので気に入っている。
もっとも俺の超弩級氷塊撃《アイス・オブ・グランデ》は魔道具の効果で大きさ、威力、どれを取っても松のモノとは比べ物にならないほどパワーアップしているが。
ガッシャアァン!!
直径10mほどの氷塊が悪神の頭部に命中し体を揺らす。このまま押し切る!!
「潮流嵐撃《タイダルストーム》!!」
俺の手より発射される水の渦が奴の胸を穿つ。
水と風。二つの属性を込めたこの魔法は普通の水魔法より貫通力が段違いに上がっている。おそらくその体のほとんどを溶岩で構成されているこいつには良く効くだろう。
「まだまだ!次は……」
『ヴァ』
不意に動く奴の腕。
バチン!!
まるでハエを叩くかの様に何気なく振るわれたその腕は俺の体に命中し、全身をきしませながら吹っ飛ばした。
「え?」
反転する視界。
そして体中に走る衝撃。
俺は自分が奴にはたかれて地面に激突したのだと理解するのに実に10秒の時を要した。
「ぐ……なんて力だ」
あまりの衝撃に全身が痺れて満足に体が動かせない。
「特大回復《エクステンドヒール》!!」
俺は倒れたまま上級の回復魔法を唱える。
すると体を緑の光が包み込み、何とか動けるようになる。
あらかじめ強化魔法をかけてこのダメージ、もしかけてなかったら即死もありえた。
「腕の一振りだけでこの威力か……」
驕っていた。侮っていた。
特別な力を得て調子に乗っていたのだ。自分の馬鹿さ加減が嫌になる。
「おいおい、マジかよ……」
気づけば悪神の頭部に物凄い魔力が集められている。そして奴の目線の先には俺。
どうやら先ほどの俺の攻撃は奴の敵と認められるくらいには効果があったみたいだ。
先ほどの反応速度を見るに避けるのは不可能だろう。
「受けきるしかないか……!!」
『ヴアアアァァァ!!!』
竦み上がるような恐ろしい声と共に悪神の頭部より射出される赤黒い魔力の本流が俺をこの世から消し去らんと襲いかかる。
「絶対防壁《アブソリュート・プロテクション》!!」
青白い六角形の防壁が目の前に展開される。
『絶対防壁《アブソリュート・プロテクション》』、今俺の使える最大級の防御魔法だ。
「来いやあ!」
ビキキキキキ!!
悪神の攻撃が防壁に当たり、亀裂の入る嫌な音が響く。
すんでのところで防壁は持ちこたえているが熱波までは防げず俺の体がチリチリと焼ける。
「これが神力《じんりき》か……!」
神力。
魔力とは似て非なる神性を有するモノのみが使えるチカラだ。
神力が含まれた攻撃はいかなる強力な魔法であっても完全に防ぐことは出来ない。
ゆえに強力な防御魔法を身に纏っている俺でも悪神の攻撃の余波すら完全には防げない。
「ふう……ふう……」
必死に呼吸を整え防壁を維持しようとするが、息を吸う度肺に焼けるように熱い空気が流れ込みその度に気を失いそうになる。
「すいません……舞衣さん……」
まだ彼女に何も返せていない。
力を手に入れて浮かれた結果がこのザマだ。これから少しずつ恩返しできると思っていたのに。
ピシっ。
とうとう防壁に修復しきれないほどの大きな亀裂が走る。
熱さにやられて体も限界だ。脱水症状で視界がボヤけ、手足が震える。
「ここまで、か……」
「大丈夫、私がいるわ」
悪神と俺を遮るように突如目の前に降り立つ人影。
そんなことする人は一人しかいない。
「だめ……です……」
「うるさいわね。あんたは黙って守られてればいいのよ」
ニカッと笑いそう言い放つ舞衣さんだが、彼女も分かっているはずだ。
自分があいつに敵わない事くらいは。
「これ以上迷惑かけられません……逃げてください……」
「私がいつ迷惑だって言った? あんたとの旅、悪くなかったわ」
そう語る彼女の表情はとても穏やかで……寂しそうだった。
「あんたならやれる。だって私が認めた――――いや、好きになった男だもの」
「舞衣さ――――――」
砕け散る防壁。
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