スキル「共感覚」のおかげで最強の魔法使いになったので魔人を集めて魔王になることにしました 〜最恐魔王の手さぐり建国ライフ!〜

熊乃げん骨

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第二章 ○○世界における魔王国の建国

第6話 サムライ

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 マーレに連れられ街より少し離れた開けた場所に行くと、なるほどこれは確かに侍にしか見えない男がいた。

「ム、いらしたか。ご足労いただき感謝する。拙者は虎鉄と申す、以後宜しくお願いする」
「あ、ああ。こっちこそよろしく頼む」

 虎鉄と名乗る人物が差し出した手を握り、俺は挨拶を返す。

「さて、こんな人気のないところに呼び出した理由を聞いてもいいかな?」

「うむ。実はジーク殿、突然で申し訳ないのだがそなたと拙者で仕合って欲しいのだ」
「ほう……」

 これまた面白い注文だ。
 どうしたものかと思案してるとマーレが俺の前に割り込んでくる。

「三下が!! 身の程を弁えなさい!! 私が血祭りにしてあげます!!」

 見れば彼女は鬼の形相で今にも襲い掛からんと臨戦態勢だ。

「落ち着けマーレ。そやつは何の考えもなしにそのような事を言うやつには見えん。話を聞いてみようではないか」
「ぐぬぬ……」

「懐の深い方だ、感謝致す。拙者はジーク殿の演説を聞きとても感銘を受け申した。是非協力させて頂きたいと思った次第である、しかし」
「ふむ」

「力が伴わなければ机上の空論。我が主君にふさわしいか試させていただきたい」
「なるほど。そなたの要求は理解した。もし断ったらどうする?」

「それこそ机上の空論である。あなたは断らない、そうであろう?」

 虎鉄はこちらを見やり、ニヤリと口角を上げる。
 ふふ、面白い奴が立て続けに来たもんだ。ワクワクしてきたよ。

「そうだな。こんなに楽しい事断るわけがない。愚問だったよ」
「それでは……」

「ああ、かかってきな。お前の主の力、見せてやるよ」

 俺は挑発的に右手の人差し指をクイクイ曲げる。

「………覚悟っ!!」

 シュパンッ!!と音が鳴ると虎鉄の姿が消え、背後に殺気を感じる。
 感覚強化《ハイ・センス》を使ってなければとても反応できないだろう。

「………セイッ!!」
「フッ!! いい太刀筋だ」

 虎鉄の繰り出す斬撃を俺は紙一重で避けていく。
 派手さはない攻撃だが振るう刃には高密度に魔力が練りこまれている。
 それだけでも彼の実力の高さが見て取れる。

「流石の身のこなし……ならば!!」

 虎鉄の刀身に青い魔力が纏わりつき、刀が別の形に変わる。

「水行魔剣『水鳥《みずどり》』」
「ほう、見事な刀だ」

 透き通った青色に薄くも強靭さを感じさせる刀身。
 先端から中腹にかけて刀身が裂けており、まるで鳥の嘴《くちばし》を彷彿とさせる。

「ハアッ!! 水行・嘴子水孔《ししすいこう》!!」
「!?」

 突如刀より放たれる高圧水流は俺に逃げる隙を与えず襲い掛かる。
 感覚強化をもってしても避けきれなかったその攻撃を俺は準神話級の魔道具である手甲で受け止めていた。これが無かったらヤバかったな。

「お返ししてやろう、雷光魔刃《ライトニング・エッジ》!!」

 俺の手より放たれる雷属性の魔刃。
 身に纏っている新しい魔道具の効果と神性を得たおかげで、以前悪神と戦った時より大幅にパワーアップしている。

「なんという強力な魔法! しかし!!」

 俺の魔法の威力に気づいた虎鉄が魔力を急激な速度で練り始める。
 こいつ隠してやがるがかなりの魔力だ。おそらくヴォルクに匹敵するだろう。

「水行・巨嘴呑口《きょしどんこう》!!」

 虎鉄が振るった刀より現れたのは青い魔力で出来た巨大な鳥。
 ペリカンのような見た目でとても大きな口を持ち、雷光魔刃《ライトニング・エッジ》を飲み込み勢いそのまま俺に突っ込んでくる。

「綺麗な魔法を見せてくれた礼だ。神の力の一端、見せてやろう」

 俺は体の奥底より魔力とは異なる力を引っ張り出す。
 そう、神力だ。

 最初はなかなかコツがつかめず苦労したが特訓の甲斐あり今では自由自在に使える。

顕現せし巨神兵サモン・ギガンテス

 俺が以前呼び出した巨人兵より更に大きな肉体を持つ巨神が背後に現れる。
 鋭い眼光にふさふさの髭。歴戦の猛者を感じさせる顔立ちだ。

「やれ」

 巨神は背にこれまた巨大な剣を背負っているが使うまでもない。
 その巨大な手の平を鳥に目がけて振り下ろす!

 ズン!!!

 直撃すると同時に轟音が辺りに鳴り響き、大地に大きな亀裂が入る。
 砂煙を風魔法で散らすとそこにはぺちゃんこになり消え去っていく鳥の姿があった。

「これで満足かな?」
「………」

 無言で立ち尽くす虎鉄に声をかけると、虎鉄は正座し刀を目の前に置いた。
 どうやら戦う意思はもうない様だ。

「一つ問いたい。もし自らの判断ミスで部下が亡くなったらどうされるつもりか。お聞かせ願いたい」

 真剣な目で俺に問いかける虎鉄。
 おそらくこいつもあの日から何か大切なモノを失ってきたんだろう。

「愚問だな、反省して次に活かすとでも言って欲しいか?」

 だけど違う。
 大切なモノを失ったあの日俺は決めたんだ。

「曲げない。それが私の答えだ。例えこの先何人の部下を失いこの身がいくら傷つきようと私は言ったことを曲げない。それこそが私を信じてくれた者に対する義だ」

 曲げてしまえば楽だろう。時と場合で主張を変えられればどれだけ傷つかずに済むだろうか。

 しかしその道は選ばない。
 曲げてしまえば俺の言葉に賛同してくれた人を裏切ることになるから。

「茨の道だろうと知ったことか、元より楽に生きれるなどと思っておらぬ」

「………心のうちを聞かせていただき、感謝致す」

 虎鉄は話を聞いてる時下げていた面《おもて》を上げ俺の目を再び真っすぐ見つめる。

「拙者にもその道、共に歩ませていただけるだろうか。殿の行く手を阻む茨、拙者に切り落とさせていただきたい」

 詩的なサムライもいたものだ。
 いいね。面白い奴は大歓迎だ。

「クク、よかろう。貴様の忠義しかと受け取った。その褒美として貴様を魔王国幹部に任命する、身を粉にして尽くすがよい」

「はい。この身、一振りの刀となりて必ずや殿の役に立って見せましょうぞ」

 バカ狼にポエム侍、続々と有望な人材が集まっていくのだった。
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