スキル「共感覚」のおかげで最強の魔法使いになったので魔人を集めて魔王になることにしました 〜最恐魔王の手さぐり建国ライフ!〜

熊乃げん骨

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閑章 来訪者(ビジター)

第3話 訪問者

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 Mr.マッシュと名乗ったそのキノコは友好的であり、俺たちに自らの事を包み隠さず教えてくれた。

「いつも通り日課のひなたぼっこをしとった時じゃ。突如強い熱に包まれたと思った次の瞬間、ワシは見たことも無い森に迷いこんでいたんじゃ。警戒したワシは気配を隠し長い間地面に潜っとったんじゃが小さな子供の呼ぶ声が聞こえたもんで出てきたんじゃ」

「嘘はついてない……か」

 共感覚《シナスタジア》のこのキノコが嘘をついているかどうかあ手に取るように分かる。
 しかし肝心のこいつがどこから来たかをこいつ自身が分かってないのでは俺の能力も役に立たねえぜ。

「人の知り合いはいたのか?」

「人? うむむ……そうじゃ! イドの森近くの村に住むメイとランの姉妹ならよく話すぞ! 姉のランが作るサンドイッチが上手くての!」

「イドの森……聞いたこと無いですね。本当に実在するのでしょうか」

 キノコの言葉にシェンが訝しげな表情を浮かべる。
 謎は深まるばかりだ。


「しかし、その者が魔力大規模感染《マジカル・パンデミック》の手掛かりを持っていることは疑いようがないみたいですよ」

 急に声を上げた賀ヶ山を見ると、いつの間にかその手に小型の携帯電話のような機械を握りしめている。

「これは魔力計測器《マジック・チェッカー》。魔力の波長を計測できる優れものです」

 魔力の波長は指紋のように人によって異なる。
 しかし種族が近いほど似る傾向にあったはずだ。

「Mr.マッシュの波長は地球上の生物とはかけ離れています。しかし、この波長に似た魔力が一度だけ観測されたことがあります」

「まさか……」

「そう。記録によると魔力大規模感染《マジカル・パンデミック》発生時にこの波長によく似た魔力が確認された記録があります」

「……という事は彼は魔力大規模感染《マジカル・パンデミック》発生時に何処かしら・・・・・から地球にやってきたと言う事か」

「恐らく」

 喋るキノコからよくここまで話が大きくなったものだ。
 それにしてもいったいどこからやってきたのだろうか?

 地下世界。並行世界。他の星。他次元の世界。
 色々思い浮かぶが少なくとも今結論が出ることはないだろう。

 それよりもツノ無しの正体が分かった今、早急に対処しなくてはならない。

「シェン、緊急会議を開く。2時間後に幹部全員を集めろ」

「はっ!! かしこまりました!!」

 俺の命令にシェンは傅き返事をする。
 その返事に俺は満足し、キノコマンに向き直る。

「さて、ミスター。それまでの間少しあなたの事を調べさせてもらえるかな?」

「よかろう。どうせ他にやることも無いしの」

「くくく、感謝するよ」

 こうして、俺たちの新たな探求と挑戦は始まったのだった。






 ◇






「……というのが今回集まっていただいた経緯です」

 円卓の間。
 既に幹部は全員集まっており、今しがたシェンが今回の騒動の件を話し終えたところだ。

「そのような面妖な者がおるとは、本当にこの世界は計り知れぬな」

「あーしも聞いた事がないっす。いったいどこから来たんすかねえ」

 幹部連中は話を聞いて思い思いの感想を述べる。

「今まで角のない魔獣を『ツノ無し』と呼んでいたが、それらはMr.マッシュと同じ特別な存在である可能性が高い。よって彼らをこれより『訪問者《ビジター》』と呼ぶことにする」

 知性のある者を魔獣と同じ扱いにしては気を悪くしかねない。
 これはその為の配慮だ。

「それで主殿、これからその『訪問者《ビジター》』とやらをどうするつもりじゃ?」

 あの時現場にいたテレサが疑問を口にする。

「訪問者《ビジター》は魔力大規模感染《マジカル・パンデミック》の謎を解明するキッカケになりうる存在だ。ゆえに他国が発見する前に我らが見つけ出さなくてはいけない」

「でもよう、そいつらは大将がいないと会話すら出来ないんだろ? 大将にそんな暇あるのか?」

「もちろん考えているさ。入れ」

 俺の合図と共に円卓の間の扉が開く。

 そうして現れたのは一人の男性。
 中肉中背のいたって普通の日本人男性であり特筆するところは特にない。

「そんな……!!」

 しかしマーレだけはその男性の顔を見て驚きの声を上げる。
 テレサも男の魔力に何かを感じ取ったのか驚きの表情を浮かべている。

「こいつは人ではなく俺の作った自動操作人形《ゴーレム》だ。そして何を隠そうこいつには……俺の魂・・・を分け与えている。ゆえに俺の能力をほぼ使えることが出来るのだ」

「なっ……!! そんなことをして大丈夫なんすか!?」

「無論安全性には気を使っているさ。今のところ何も問題は無い」

 俺はイブキに自信満々に答えるが背後から恐ろしい気配を感じる。
 ゆっくりそっちの方、つまりマーレを見ると笑顔を浮かべながらもプルプルと手が震えている。
 やばい、だいぶ怒っているぞ……

「ジーク様、なぜ私に黙ってこのようなものを?」

 薄く開いた瞳は笑っておらず非常に怖い……
 誰かたすけて。

「すまない。だが自動操作人形《これ》は俺のわがままの為に作ったものだ、お前の手を煩わせずに一人でやるべきだと思ったんだ」

「ジーク様……」

 マーレはその言葉を聞き、引き下がる。
 なんとか丸め込めたこめたようだ。

「こいつには訪問者《ビジター》と会話する能力を備え付けてある。それに……」

 俺が自動操作人形《ゴーレム》に目配せをすると、今まで沈黙を守っていたそれが口を開く。

「この体の中にはジークの記憶と人格も入っている。つまりお前たちの主は二人に分裂したと思ってくれていい」


「ジーク様が……二人!?」

 衝撃の発表に円卓の間は騒然となる。
 まあ俺もそっちの立場だったら困惑するよ。

「落ち着け。あくまで表向きは私一人で責務を果たす。その裏でレムは特別幹部として国外活動に勤しんでもらう」

「成る程……それなら魔王業を休むことなく訪問者《ビジター》探しをすることが出来る! 流石はジーク様!」

 シェンが瞳をキラキラさせ俺に賛辞を贈る。
 ど、どうやら俺の選択は間違って無かったみたいだな。

「その通り。そして早速だが明日より訪問者《ビジター》探しを開始したいと思う。メンバーはレム、ヴォルク、カリンとする」

「よっしゃあ!! 任せてくれ大将!!」

「くっ……!! 拙者は留守番か……!!」

 悔しがる虎鉄。
 すまないな、ヴォルクを連れていくには理由《ワケ》があるんだ。

「既に訪問者《ビジター》がいると思わしき場所の情報は入手済みだ。少し遠いがまあ転移門《ゲート》を使えばすぐだろう」

「遠い……? いったいどこなんじゃそこは?」

 テレサが当然の疑問を訪ねる。
 メンバーに入ってないのが不満なのかその顔は少し不満気だ。
 可愛い。

「目的地は極寒の地、ロシア。ヴォルク、お前の出身国だ」
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