僕だけが見える''バケモノ''について

ほこり

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2. 僕にしか見えない。

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壁にあの''バケモノ''そっくりの絵が描かれていた。

きっとこの部屋が散らかっているのも僕が光輝と遊んでいる間に''バケモノ''がやったのだ。

立ち上がろうとした体が固まった。恐怖で締め付けられるようにお腹も痛い。

鉛筆で書いたのかな...
鉛筆なら筆箱も散らかっていてその鉛筆で書いたのかもしれない
そう思って散らかった筆箱の中から消しゴムを取りだした。

消えない。
必死で擦った。なのに消えないんだ。
擦りすぎて壁がボロボロになっていた。壁がボロボロになるのに絵だけは消えない。
床には消しカスと壁から出たゴミがある。

見なかったことにしよう。そう思って棚を戻した。部屋の片付けはこれで終わった。

「ごめん、急遽外せない仕事が入ってしばらく家に帰れない。」

親が僕の部屋にノックなしで入ってきた。
別にノックなんてしなくてもいいんだけどびっくりする。

「え、あ、わかった」

今この状況で家に1人はすごく心細い。不安。怖い。脳内で繰り返し思った。

「だけどお前1人はさすがに心配だから光輝くんの家にしばらくお泊まりさせてもらって。お父さんさっき電話したらいいよって言ってもらえたから。」

一気に安心した気がする
きっと光輝と一緒なら''バケモノ''だって出ないし、何より楽しい!

「光輝くんの両親にこれ渡しておいて。着替えは3着とパジャマと下着3個ぐらいでいいと思うよ。それと薬もね。」

そう言って渡されたのは箱に入ったクッキーと手紙だった。きっとお世話になります。という意味でのものだろう。
薬は正直めんどくさいからいいか。

明日から光輝の家でお泊まりか~
なんて思いながら光輝に連絡しようとスマホのロック画面を開いたら3分前ぐらいに既に光輝から連絡が来ていた。

「明日から泊まりくるの本当なの?楽しみだな」
「本当だよ~ ''バケモノ''のこともあって心細かったから安心笑 しばらくの間お世話になるぜ」

...と少し会話を交し明日の準備をして眠った。

次の日 朝から着替えと手紙、クッキー、他にスマホ、漫画...と色々入ったリュックを背負って光輝の家まで歩いた。

ピンポーン。
「刹那くんおはよう~しばらくの間よろしくね~お泊まり久しぶりだね。」
「おはようございます。こちらこそよろしくお願いします、これよかったら食べてください」

僕はクッキーと手紙を渡した。光輝のお母さんは笑って

「え~いいの?ありがとうね。後でみんなで食べようか。お手紙も読んでおくね」

そう言いながら家の中に僕を入れてれた。
よく光輝の家には遊びに来るがお泊まりは最近していなかった。

上からドタドタ音がすると思ったら光輝が僕の名前を呼びながら降りてきた。

「俺の部屋で寝よーな!荷物とかも俺の部屋でいいよ。」

って言いながら光輝の部屋まで連れていかれた。
荷物をおろし、いつも通り光輝の家にあるゲーム機で遊ばせてもらって...

そうしているうちにすっかり夜になってしまった。夜ご飯の時間だ。光輝のお母さんが呼びに来た。

光輝も実は片親でお母さんしか居ない。兄弟もいないから僕の家とよく似ている。

「刹那くん来るから奮発しちゃった笑」

夜ご飯はハンバーグだった。すごく美味しかった。

そこからお風呂に入ってまた光輝の部屋に戻った。光輝が先にゲームをしていた。
僕は光輝の隣に見覚えのあるあの''バケモノ''が見えた。

「光輝!横!''バケモノ''!」
「横?カーテンしかないぞ。」
「もしかして見えてないの?居るんだって」
「えまじで言ってる?待って待って怖!」

光輝が僕の方に走ってきた。

「居なくなった...」

''バケモノ''はやっぱり少しすると居なくなる。

この日の夜は''バケモノ''について話した
話してわかったことがある。光輝には''バケモノ''は見えないらしい。

''バケモノ''は光輝の家にも来ることが分かった。
僕と光輝はこれから毎晩''バケモノ''のことを話し合うことにした。
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