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73 それぞれの戦い
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不気味に轟くイヴの笑い声。
その笑い声もそうだが、口にした言葉がまた何とも物騒だ。この口の悪さと汚さだけ取ればある意味邪神と呼ぶのがしっくりくるのだろうか……。そんなどうでもいい事が頭を過っていたが、場は変わらず緊迫している。
そして、次のイヴの更なる一言で状況が大きく動いた。
「向こうがユリマとやらを捉えているならこっちも“フェア”にいこうかねぇ。目の前2人を人質に取って堂々と正面から国王を引きずり出してやろう。ヒッヒッヒッ」
どこがフェアなのか分からない。
冗談っぽく言い放ったイヴであったが、その空気はとても冗談とは思えない。それを即座に感じ取ったローゼン神父とカルは、遂にそれぞれ波動と魔力を練り上げ本気の戦闘態勢を取ってみせた。
「流石は邪神。ここまで潔いと逆に清々しいですな」
「やはり初めからこうするべきだった」
ローゼン神父からは魔力。カルからは波動。両者から感じる力は相当なもの。七聖天は1人1人がこのレベルなのか。
「楽しみにしていた強者と手合わせ。しかしこっちは3人。誰が手を引く? 無論俺は断るがな」
そう言ってフーリンは1歩前に出ると、待ってましたと言わんばかりに波動を練り上げた。そして自然と手前にいたローゼン神父と対峙する形となる。
「今聞いた意味あったのか……? 相変わらずマイペースだなフーリンは」
「私はユリマを早く助けてあげたい。もうグリムとフーリンに頼ってばかりじゃなくて自分の力で。イヴとの特訓の成果を見せなくちゃ」
エミリアもユリマが捕まったと聞いて珍しく怒っている。まぁ無理もない。俺達は感謝してもし切れないぐらいユリマに世話になっているからな。エミリアはイヴとの特訓で実力も然ることながら、少なからず自信も生まれた様だ。
「そうだな。ユリマがそんな状況と知った以上、コイツらもラグナレクもさっさと片付けてユリマを助けに行こう」
俺が再びカルと向き合うと、カルも一切目を逸らさずこちらに鋭い視線を飛ばしてきていた。
「いやはや驚きましたな。これも邪神の影響か存じませんが、この子達からも思った以上の実力を伺えますよ。
ホッホッホッホッ、アックスさんとデイアナさんがやられたのも頷けます」
次の瞬間、ローゼン神父と対峙するフーリンの後方に、突如もう1人のローゼン神父が現れた。
「「――!?」」
「王2級魔法、“ドッペルゲンガー”」
ローゼン神父はそのおっとりとした口調とは対照的に、一般的な魔法使いとはまるで比べものにならない速さと質で王2級魔法を繰り出していた。
彼は自身と瓜二つの“水”分身をフーリンの背後に出現させるや否や、既に水分身は手にするその大きな杖に輝かしい光を纏わせ攻撃魔法を繰り出してきた。まるで自ら意志を持っているかの様な水分身は、水で造形された体が杖の光に反射し、その体を煌めかせながら大きな杖を振るったのだった。
『王2級魔法、“アクア・ガンショット”』
――ズババババババ!
「くッ!」
水分身から勢いよく放たれた無数の水弾。
攻撃に瞬時に反応したフーリンは素早く身を動かし、間一髪のところで水弾を躱した。空を切った水弾がそのまま地面を捉えると、地面はその水弾の威力で抉られてしまっていた。
「流石は七聖天、かなりの強者だ」
『ホッホッホッ。よく私の攻撃を躱しましたね。貴方も王国で噂されていた呪われた世代とやらの1人でしょうか』
「ほお。分身のくせにまるで本当に生きている様だな」
フーリンの言う通り、ローゼン神父の出した水分身は見た目が水で造形されたという以外本物のローゼン神父と変わらない。口調や纏う雰囲気、感じる魔力までも。
「凄い。分身魔法は扱いが難しい上級魔法。しかもあれだけ実態に近い“質”で分身を繰り出しているなんて……」
「ヒッヒッヒッ。一応七聖天という肩書きを持っているだけあるねぇ。まぁ私からすればお遊びみたいなものだが」
『ホッホッホッ。渦中の邪神に褒められるとは、分身人生でも最初で最後でしょうな』
エミリアとイヴの反応から、相手のローゼン神父がやはり実力者である事が伺えた。魔法は詳しくないが、もしあの分身が実体とほぼ変わらないと言うならシンプルに七聖天が1人増えたという事になる。人数的にはまだこちらに分があるけど、仮にローゼン神父がまだ分身を出せたとしたらかなり厄介だ。
「これで3対3ですな。正直、そちらの邪神と戦士にも加わわれると厄介でしたが、いやはや本当にこの子達だけが我々の相手をする様で」
「舐められたものだな」
ローゼン神父は微塵の隙も見せる事無く静かに視線をハク達に移しながら言った。今戦闘態勢に入っているのは奴らと俺とエミリアとフーリンのみ。ハクとイヴとヘラクレスさんは全く戦いに参戦する気配を出していない。イヴは本当に特訓の成果を試す為に俺達だけに戦わせようとしている。だがローゼン神父とカルからすれば警戒するのは当然の事だった。
今のローゼン神父の攻撃で構図が少し変化した。
俺は変わらずカルと対峙。しかしさっきまでローゼン神父と向かい合っていたフーリンは今水分身と対峙しており、今度は横にいたエミリアがローゼン神父本体と向き合う形になっている。
全員が自分と対峙している目の前の相手と目が合う。
そして何が合図という訳もなく、俺達6人は皆が同じタイミングで動き出したのだった――。
その笑い声もそうだが、口にした言葉がまた何とも物騒だ。この口の悪さと汚さだけ取ればある意味邪神と呼ぶのがしっくりくるのだろうか……。そんなどうでもいい事が頭を過っていたが、場は変わらず緊迫している。
そして、次のイヴの更なる一言で状況が大きく動いた。
「向こうがユリマとやらを捉えているならこっちも“フェア”にいこうかねぇ。目の前2人を人質に取って堂々と正面から国王を引きずり出してやろう。ヒッヒッヒッ」
どこがフェアなのか分からない。
冗談っぽく言い放ったイヴであったが、その空気はとても冗談とは思えない。それを即座に感じ取ったローゼン神父とカルは、遂にそれぞれ波動と魔力を練り上げ本気の戦闘態勢を取ってみせた。
「流石は邪神。ここまで潔いと逆に清々しいですな」
「やはり初めからこうするべきだった」
ローゼン神父からは魔力。カルからは波動。両者から感じる力は相当なもの。七聖天は1人1人がこのレベルなのか。
「楽しみにしていた強者と手合わせ。しかしこっちは3人。誰が手を引く? 無論俺は断るがな」
そう言ってフーリンは1歩前に出ると、待ってましたと言わんばかりに波動を練り上げた。そして自然と手前にいたローゼン神父と対峙する形となる。
「今聞いた意味あったのか……? 相変わらずマイペースだなフーリンは」
「私はユリマを早く助けてあげたい。もうグリムとフーリンに頼ってばかりじゃなくて自分の力で。イヴとの特訓の成果を見せなくちゃ」
エミリアもユリマが捕まったと聞いて珍しく怒っている。まぁ無理もない。俺達は感謝してもし切れないぐらいユリマに世話になっているからな。エミリアはイヴとの特訓で実力も然ることながら、少なからず自信も生まれた様だ。
「そうだな。ユリマがそんな状況と知った以上、コイツらもラグナレクもさっさと片付けてユリマを助けに行こう」
俺が再びカルと向き合うと、カルも一切目を逸らさずこちらに鋭い視線を飛ばしてきていた。
「いやはや驚きましたな。これも邪神の影響か存じませんが、この子達からも思った以上の実力を伺えますよ。
ホッホッホッホッ、アックスさんとデイアナさんがやられたのも頷けます」
次の瞬間、ローゼン神父と対峙するフーリンの後方に、突如もう1人のローゼン神父が現れた。
「「――!?」」
「王2級魔法、“ドッペルゲンガー”」
ローゼン神父はそのおっとりとした口調とは対照的に、一般的な魔法使いとはまるで比べものにならない速さと質で王2級魔法を繰り出していた。
彼は自身と瓜二つの“水”分身をフーリンの背後に出現させるや否や、既に水分身は手にするその大きな杖に輝かしい光を纏わせ攻撃魔法を繰り出してきた。まるで自ら意志を持っているかの様な水分身は、水で造形された体が杖の光に反射し、その体を煌めかせながら大きな杖を振るったのだった。
『王2級魔法、“アクア・ガンショット”』
――ズババババババ!
「くッ!」
水分身から勢いよく放たれた無数の水弾。
攻撃に瞬時に反応したフーリンは素早く身を動かし、間一髪のところで水弾を躱した。空を切った水弾がそのまま地面を捉えると、地面はその水弾の威力で抉られてしまっていた。
「流石は七聖天、かなりの強者だ」
『ホッホッホッ。よく私の攻撃を躱しましたね。貴方も王国で噂されていた呪われた世代とやらの1人でしょうか』
「ほお。分身のくせにまるで本当に生きている様だな」
フーリンの言う通り、ローゼン神父の出した水分身は見た目が水で造形されたという以外本物のローゼン神父と変わらない。口調や纏う雰囲気、感じる魔力までも。
「凄い。分身魔法は扱いが難しい上級魔法。しかもあれだけ実態に近い“質”で分身を繰り出しているなんて……」
「ヒッヒッヒッ。一応七聖天という肩書きを持っているだけあるねぇ。まぁ私からすればお遊びみたいなものだが」
『ホッホッホッ。渦中の邪神に褒められるとは、分身人生でも最初で最後でしょうな』
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「これで3対3ですな。正直、そちらの邪神と戦士にも加わわれると厄介でしたが、いやはや本当にこの子達だけが我々の相手をする様で」
「舐められたものだな」
ローゼン神父は微塵の隙も見せる事無く静かに視線をハク達に移しながら言った。今戦闘態勢に入っているのは奴らと俺とエミリアとフーリンのみ。ハクとイヴとヘラクレスさんは全く戦いに参戦する気配を出していない。イヴは本当に特訓の成果を試す為に俺達だけに戦わせようとしている。だがローゼン神父とカルからすれば警戒するのは当然の事だった。
今のローゼン神父の攻撃で構図が少し変化した。
俺は変わらずカルと対峙。しかしさっきまでローゼン神父と向かい合っていたフーリンは今水分身と対峙しており、今度は横にいたエミリアがローゼン神父本体と向き合う形になっている。
全員が自分と対峙している目の前の相手と目が合う。
そして何が合図という訳もなく、俺達6人は皆が同じタイミングで動き出したのだった――。
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