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第1章~追放と人魚と婚約破棄~
02 魔力商人
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やっぱり状況が状況なだけに、耳まで可笑しくなってきたか。無理もない。僕今死にかけているんだから。きっと全部が可笑しいんだよもう。
この広い海で人魚に助けてもらった事も、その人魚の女の子が可愛いく僕のタイプだった事も、胸が割と大きい事も、最後の最後によく分からない発言をした事も全て……全てがもう夢なんだきっと。
そうだ。
自分でも気が付かなかったけど、最初の時点で僕はもうリヴァイアサンに食べられて終わっていたんだ。
もう僕はとっくに死んでいる。
リヴァイアサンに食べられて。
予想だにしていなかった展開過ぎて、僕の本能が現実から目を背けたに違いない。
これは僕の空想……でなければ、彼女の最後の言葉は余りに理解不のッ……「――さっきの“婚約破棄”で魔力使い切ってなければ一瞬で逃げ切れるのに!」
……この空想……幻聴は何時まで聞こえるんだ……?
「私は絶対にあなたを、私の“婚約者であるジル”を……あなただけを置いて逃げたりしないからね!夫婦というのは、何があっても一生連れ添うものなんだから!」
もうお手上げです。
神様……死んだのならば僕はちゃんと自分の死を受け入れますよ。
確かにまだまだやりたい事があると思っていたし、こんな人生の終わり方は本望じゃない。
でもこれが僕の運命だったんだ......。だから僕はちゃんと自分の運命を受け入れます。
なのでもうよく分からない僕の空想は終わりにして頂きたッ……「――なにボ~っとしてるの!安心して。結婚式は挙げられなかったけど、死ぬ時は2人一緒だから」
ティファーナはそう言いながら僕の腕に絡みつき、頭を肩の上にポンと乗せてきた。
いやいやいやいや。
だから全くもって理解不能だってば!ずっと意味不明なの!
だが何故かな?
これは空想でも夢でもないと突然思えた。
それまた何故かって?
これが空想でも夢でもないという事は、握っている君の手から……肩に乗る君の頭から……確かに暖かみを感じるんだ。
もしリヴァイアサンに食べられ死んでいるなら、この暖かさは感じられないと思う。
そして何より、腕に当たる君のおっ〇いの感触が、僕を確実に現実に引き戻しているのだ──。
「……ティ、ティファーナ⁉ 君はさっきから何を言ってるんだ⁉」
「何の事?それより、正気が戻ったみたいで安心したわ。大丈夫。私とジルは死んでも一緒だからね」
「それだよ、それっ!婚約者とか死んでも一緒とか!それにさっきからおっぱッ……ん?……あれ?ちょっと待って。君今なんて言った......?」
「え?……結婚式は挙げられなかったねって」
「ち、違う、もっと前!僕の聞き間違いじゃなければ今......魔力使い切っていなければ逃げ切れるって……」
「うん言ったよ。少しでも魔力が残っていれば、私の魔法で一気にね!」
え?本当に?
差し詰まった状況にも関わらず、彼女は屈託のない笑顔を浮かべそう言い放った。
神様にでも試されているのだろうか。ティファ―ナの何気ない言葉は、完全に諦めていた僕の心に一筋の希望を見出した。
何とか攻撃を食らわせたリヴァイアサンももう正常に戻っている。絶体絶命の危機とはまさに今の事。考える暇もなければ、どの道もうコレしか手は残されてない。思い付きの最後の手段。こうなりゃダメ元だ──。
「ティファーナ!君に僕の“魔力を渡す”!」
「え、どういう事......⁉」
僕の職種は言わずもがな【商人】である。
当然の如く、商売が1番得意だ。物の売り買いや交渉なんかがメイン。
直近で言えば今回のクエストかな。さっきまで乗っていた、このクエストに絶対必要だった船も僕が手配した。
船を借りる日数や経費やその他諸々に長旅でもストレスが溜まらない程の船の広さや快適さ。それに加え、少しでも皆にとって安全な航海に出来ればと、船や航海術についての知識を身につけてからあの船を探した。
値段は確かに安くはなかった。でもそれなりにいい条件で交渉出来た思う。実際に航海も順調だった。商人とはそういうものなんだ。
だがしかし、僕は普通の商人とは“1つだけ違う”事がある。それは……ただの商人ではなく【“魔力”商人】というもの──。
僕の調べた限りでは、この【魔力商人】という職種は今までに見た事も聞いた事もない、珍しい職種だった。
そもそも、この世界では10歳の時に“職種適正”と呼ばれる適性を皆が受ける。もし冒険者になる場合は、その適正結果で将来の職種が決まるのだ。ラウギリは【剣士】、ラミアは【魔法使い】、エミリーは【ガンナー】といった感じでね。
そして僕はその時の職種適正で【魔力商人】となったのだが、初めてそれを知った時は、誰も見た事がないし聞いたこともない職種だったから、きっと凄い事が出来ると期待したんだ。でも、その期待を打ち砕かれるのは早かった……。
命あるものには当たり前に存在する魔力。この世界では火、水、風、土の4属性が魔力の基本だ。これまた当たり前だけど、どんな魔法を使うにも必ず魔力が必要。魔力を練り上げ、そこに自分の得意な属性を加えるのが普通。
そして僕の魔力商人と言う職種は、その1番重要な魔力そのものを自由に“与える”事が出来るものだと分かった。自分から自分に魔力を与える事は出来ない。一応試した。
でも、もし僕がパーティにいれば、いくら魔力が尽きても僕から貰えばいいし、魔力が必要な人に魔力を“売る”事も出来る。これは凄い能力だから最高の商人になれるぞ!
……と、この時は思っていた。
だが、いざその力を試してみると、それは想像していたものとは全く違うものだったんだ。
まず与えられる魔力はほんの少し。雀の涙程度だ。これじゃ下級魔法1発撃てるかどうかも分からない。しかもこんな量の魔力じゃ、売ってもたかが知れていた。回復薬を買った方が断然いいぐらい。
最初こそ物珍しいものであったが、いつしか僕もラウギリ達も、この能力は大して使えないと、そう思っていた。そして結局それが正解で、今日までこれといって役立った試しがない。
これが追放された原因だよね......。
勝手に期待していた分、その反動も大きかった。
淡い夢物語。期待だけが膨らんだハズレ職種だ。
けれどね、ティファ―ナ……君は今言ったよね?少しでも魔力が残っていればって――。
果たしてこの程度の魔力が本当に使い物になるのかは分からない。
だけど僕の力で、渡せる目一杯の魔力を君に渡す……!受け取ってくれ!
「魔力渡すって、どうやって……⁉」
握っていた手から手へ......僕はティファーナに魔力を与えた。
僕の元々の魔力の低さも相まっているのかな。どんな状況でも打破出来る魔力を生み出せたらいいのにと何度思っただろう。
魔力を与える時のこの独特な感覚と光。
ほんの数秒で終わるから、直ぐにティファーナが魔法を使ってくれれば逃げ切れ…………って、え……⁉ 何これッ⁉ どうなってるの......?
いつもなら、感覚で言えばコップ1杯程度の魔力量しか与えられないのに……。
――ブワァァァァァァァァンッッ!!
何で……??
一体何だこれは......!
何でこんなに......“大量”の魔力が出てきたんだ――⁉⁉
この広い海で人魚に助けてもらった事も、その人魚の女の子が可愛いく僕のタイプだった事も、胸が割と大きい事も、最後の最後によく分からない発言をした事も全て……全てがもう夢なんだきっと。
そうだ。
自分でも気が付かなかったけど、最初の時点で僕はもうリヴァイアサンに食べられて終わっていたんだ。
もう僕はとっくに死んでいる。
リヴァイアサンに食べられて。
予想だにしていなかった展開過ぎて、僕の本能が現実から目を背けたに違いない。
これは僕の空想……でなければ、彼女の最後の言葉は余りに理解不のッ……「――さっきの“婚約破棄”で魔力使い切ってなければ一瞬で逃げ切れるのに!」
……この空想……幻聴は何時まで聞こえるんだ……?
「私は絶対にあなたを、私の“婚約者であるジル”を……あなただけを置いて逃げたりしないからね!夫婦というのは、何があっても一生連れ添うものなんだから!」
もうお手上げです。
神様……死んだのならば僕はちゃんと自分の死を受け入れますよ。
確かにまだまだやりたい事があると思っていたし、こんな人生の終わり方は本望じゃない。
でもこれが僕の運命だったんだ......。だから僕はちゃんと自分の運命を受け入れます。
なのでもうよく分からない僕の空想は終わりにして頂きたッ……「――なにボ~っとしてるの!安心して。結婚式は挙げられなかったけど、死ぬ時は2人一緒だから」
ティファーナはそう言いながら僕の腕に絡みつき、頭を肩の上にポンと乗せてきた。
いやいやいやいや。
だから全くもって理解不能だってば!ずっと意味不明なの!
だが何故かな?
これは空想でも夢でもないと突然思えた。
それまた何故かって?
これが空想でも夢でもないという事は、握っている君の手から……肩に乗る君の頭から……確かに暖かみを感じるんだ。
もしリヴァイアサンに食べられ死んでいるなら、この暖かさは感じられないと思う。
そして何より、腕に当たる君のおっ〇いの感触が、僕を確実に現実に引き戻しているのだ──。
「……ティ、ティファーナ⁉ 君はさっきから何を言ってるんだ⁉」
「何の事?それより、正気が戻ったみたいで安心したわ。大丈夫。私とジルは死んでも一緒だからね」
「それだよ、それっ!婚約者とか死んでも一緒とか!それにさっきからおっぱッ……ん?……あれ?ちょっと待って。君今なんて言った......?」
「え?……結婚式は挙げられなかったねって」
「ち、違う、もっと前!僕の聞き間違いじゃなければ今......魔力使い切っていなければ逃げ切れるって……」
「うん言ったよ。少しでも魔力が残っていれば、私の魔法で一気にね!」
え?本当に?
差し詰まった状況にも関わらず、彼女は屈託のない笑顔を浮かべそう言い放った。
神様にでも試されているのだろうか。ティファ―ナの何気ない言葉は、完全に諦めていた僕の心に一筋の希望を見出した。
何とか攻撃を食らわせたリヴァイアサンももう正常に戻っている。絶体絶命の危機とはまさに今の事。考える暇もなければ、どの道もうコレしか手は残されてない。思い付きの最後の手段。こうなりゃダメ元だ──。
「ティファーナ!君に僕の“魔力を渡す”!」
「え、どういう事......⁉」
僕の職種は言わずもがな【商人】である。
当然の如く、商売が1番得意だ。物の売り買いや交渉なんかがメイン。
直近で言えば今回のクエストかな。さっきまで乗っていた、このクエストに絶対必要だった船も僕が手配した。
船を借りる日数や経費やその他諸々に長旅でもストレスが溜まらない程の船の広さや快適さ。それに加え、少しでも皆にとって安全な航海に出来ればと、船や航海術についての知識を身につけてからあの船を探した。
値段は確かに安くはなかった。でもそれなりにいい条件で交渉出来た思う。実際に航海も順調だった。商人とはそういうものなんだ。
だがしかし、僕は普通の商人とは“1つだけ違う”事がある。それは……ただの商人ではなく【“魔力”商人】というもの──。
僕の調べた限りでは、この【魔力商人】という職種は今までに見た事も聞いた事もない、珍しい職種だった。
そもそも、この世界では10歳の時に“職種適正”と呼ばれる適性を皆が受ける。もし冒険者になる場合は、その適正結果で将来の職種が決まるのだ。ラウギリは【剣士】、ラミアは【魔法使い】、エミリーは【ガンナー】といった感じでね。
そして僕はその時の職種適正で【魔力商人】となったのだが、初めてそれを知った時は、誰も見た事がないし聞いたこともない職種だったから、きっと凄い事が出来ると期待したんだ。でも、その期待を打ち砕かれるのは早かった……。
命あるものには当たり前に存在する魔力。この世界では火、水、風、土の4属性が魔力の基本だ。これまた当たり前だけど、どんな魔法を使うにも必ず魔力が必要。魔力を練り上げ、そこに自分の得意な属性を加えるのが普通。
そして僕の魔力商人と言う職種は、その1番重要な魔力そのものを自由に“与える”事が出来るものだと分かった。自分から自分に魔力を与える事は出来ない。一応試した。
でも、もし僕がパーティにいれば、いくら魔力が尽きても僕から貰えばいいし、魔力が必要な人に魔力を“売る”事も出来る。これは凄い能力だから最高の商人になれるぞ!
……と、この時は思っていた。
だが、いざその力を試してみると、それは想像していたものとは全く違うものだったんだ。
まず与えられる魔力はほんの少し。雀の涙程度だ。これじゃ下級魔法1発撃てるかどうかも分からない。しかもこんな量の魔力じゃ、売ってもたかが知れていた。回復薬を買った方が断然いいぐらい。
最初こそ物珍しいものであったが、いつしか僕もラウギリ達も、この能力は大して使えないと、そう思っていた。そして結局それが正解で、今日までこれといって役立った試しがない。
これが追放された原因だよね......。
勝手に期待していた分、その反動も大きかった。
淡い夢物語。期待だけが膨らんだハズレ職種だ。
けれどね、ティファ―ナ……君は今言ったよね?少しでも魔力が残っていればって――。
果たしてこの程度の魔力が本当に使い物になるのかは分からない。
だけど僕の力で、渡せる目一杯の魔力を君に渡す……!受け取ってくれ!
「魔力渡すって、どうやって……⁉」
握っていた手から手へ......僕はティファーナに魔力を与えた。
僕の元々の魔力の低さも相まっているのかな。どんな状況でも打破出来る魔力を生み出せたらいいのにと何度思っただろう。
魔力を与える時のこの独特な感覚と光。
ほんの数秒で終わるから、直ぐにティファーナが魔法を使ってくれれば逃げ切れ…………って、え……⁉ 何これッ⁉ どうなってるの......?
いつもなら、感覚で言えばコップ1杯程度の魔力量しか与えられないのに……。
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