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第2章~試験と赤髪と海上ギルド~
21 類は友を呼ぶ
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「どうした?」
「あ、いえ。思い出したんですよ。あの赤髪の子を」
「初日の対人組手で圧倒的な実力を見せつけた子だよな?でも何故かそれ以降の試験ではパッとしていないが」
「それもそうなのですが、私は去年も試験の担当をしていたんです。その時にもいたんですよあの子。
でも、今までは決まって午前に筆記試験で午後に実技試験でしたよね。
去年もその実技試験の1つで、確か凄い記録を打ち出したにも関わらず、その後の実技が今回の様に振るわず、しかも筆記の成績が壊滅的に悪かったせいで落ちたかと......」
「筆記が評価に響くなんて聞いた事ないぞ。あれは試験と言っても、自分の職種や得意不得意を記す程度の超簡単なアンケートだぞ。それをどうやったら合否に響かせる事が出来るんだ」
ディオルドさん。あなた強いのか弱いのかどっちなんですか。試験官さんが色んな意味で驚いてるのも無理ないぞ。そんな筆記試験落ちる方が凄い。そもそもそれ試験なのか? ただ自分の事を書くだけの自己紹介じゃないかそんなもの。過去や経緯を、聞けば聞く程謎が深まるばかりの人だ。
「しかも毎年、入団試験を担当した騎士団員達の中で、彼の事が噂になっていたんです。
騎士団の入団は15歳から。彼は今年で4度目ですが、その初年度に、これまでの入団試験の歴代記録を“最年少で更新”したんですよ!
でも、何故かその後急に姿が見えなくなってそのまま不合格になっちゃったんです」
それはまたどういう事なんだ?
「そしてその次の年も、そのまた次の年も、どれか1つの実技試験では必ず歴代の記録を破ってるんですよね」
「それだけの実力があって何故受かってないんだ?」
「そこか私も分からないんですが……」
試験官さんが言葉を詰まらせていると、その会話が聞こえたのであろうゴーキンさんが、これまた分かりやすく説明をしてくれた。
「その答えも俺が教えてやろうか!アンタ達試験官の言う通り、最初の年にコイツは最年少記録とやらを更新した。まぁそんな記録なんぞ強さに関係ないがな。コイツはその記録を打ち出した代わりに、魔力の使い過ぎで案の定酔いに襲われ、その日は便器が友達だったな!
その次の年は使いどころを考え、試験の最後に魔力を使い切ったが、筆記と実技が終わった後にまさか面接があるとは知らず、結界面接が出来なくて不合格。
そして満を持したその次の年、例年なら午前筆記、午後実技となっていた予定が急遽入れ替わった。
その年だけは面接が最初にあり、後は筆記と実技だけ。例え入れ替わったとしても全く問題はないけどな普通は。
だが、コイツは普通じゃない上に話を聞いていなかったから、面接を終えた後の午前の実技で終わりだと勘違いし、最後に力を使い切った。そして勿論午後の筆記は壊滅。何とかその場にはいたものの、何も書けず、挙句に用紙には汚物が付いていたと言う。
ダ~~ハッハッハッハッ!!あ~腹痛ぇ!これ以上笑わせないでくれぇ。頼むから」
話を聞いていた皆は呆れすぎて誰も返す言葉が出なかった。ただ、試験管さんだけはそういう事かと妙に納得した表情だった。長年解けなかった謎が分かりスッキリしたのだろう。
「テメェだってずっと不合格だろうが筋肉馬鹿!」
「お前と一緒にするな!俺は毎年しっかり成績を残している。ただ面接をする奴らと相性が悪いだけだ!」
「毎年“面接で”不合格って事は、テメェのその態度に問題があるって事だ!それが分からないから永遠に不合格者なんだよお前は!」
「万年ゲロ野郎が何を言う!」
「人間不適合者に言われる筋合いはねぇ!」
いつの間にかディオルドさんとゴーキンが口で対決していた。
困ったな。どっちもアホ過ぎてどうしたら良いのか分からないぞ。
「2人共面白いね!私が試験官だったら合格にしちゃう」
おいおい、ティファ―ナ。何故そこで君が割って入る。何にでも参戦するんじゃないよ全く。まぁそのお陰でディオルドさんとゴーキンの口論が止まったけど。この2人もちょっと変わってるけど、僕が出会った中ではティファ―ナが断トツ優勝。
「おお。話が分かる子じゃねぇか」
「って、お前クレイに攻撃されたとこ大丈夫なのか?」
「大丈夫!最近ちょっと強くなったから」
「確かにそこそこ強いみたいだけどな」
類は友を呼ぶ。
おっと、失礼な事を言ってしまった。
しかしそう思えるくらいナチュラルに馴染んだねティファ―ナ。ディオルドさんとゴーキンさんも当たり前の様の会話を続けるのはどうかと……あ、そうだ。僕は今大変な事を思い出してしまった。思い出したと言うより、そもそも“こっち”がメイン。
忘れていて御免なさい。
僕は、恐る恐るクレイを見た―。
するとどうだろう。
彼は何時からか言葉も発せず、明後日の方向を向いたままぼ~っとしていた。あれはどういう感情なのだろう? 馬鹿馬鹿しくてやる気が無くなったのか、あるいは呆れすぎて茫然としているのか。
答えはきっと両方。だってあまりおふざけが過ぎる。僕がクレイの立場だったら、自分が真剣になればなる程恥ずかしくなるよ。ほら。その証拠に、クレイの周りの風はさっきよりも強く吹き荒れてるし、魔力もどんどん上昇してる。早く気付いてくれよ皆!
「だからさ、そうしてみなって!」
「ホントかよそれ」
「お嬢ちゃんがたまたまそうなっただけだろ?」
「確かにそうだけど、ダメ元で」
「結構いい加減だな」
何そんな日常の1コマみたいに会話して盛り上がってるのさ。そういうのが余計にクレイを挑発してるんだってば。早くしないとまたとんでもないッ……「もういい。死ね――」
ほらね!!
「あ、いえ。思い出したんですよ。あの赤髪の子を」
「初日の対人組手で圧倒的な実力を見せつけた子だよな?でも何故かそれ以降の試験ではパッとしていないが」
「それもそうなのですが、私は去年も試験の担当をしていたんです。その時にもいたんですよあの子。
でも、今までは決まって午前に筆記試験で午後に実技試験でしたよね。
去年もその実技試験の1つで、確か凄い記録を打ち出したにも関わらず、その後の実技が今回の様に振るわず、しかも筆記の成績が壊滅的に悪かったせいで落ちたかと......」
「筆記が評価に響くなんて聞いた事ないぞ。あれは試験と言っても、自分の職種や得意不得意を記す程度の超簡単なアンケートだぞ。それをどうやったら合否に響かせる事が出来るんだ」
ディオルドさん。あなた強いのか弱いのかどっちなんですか。試験官さんが色んな意味で驚いてるのも無理ないぞ。そんな筆記試験落ちる方が凄い。そもそもそれ試験なのか? ただ自分の事を書くだけの自己紹介じゃないかそんなもの。過去や経緯を、聞けば聞く程謎が深まるばかりの人だ。
「しかも毎年、入団試験を担当した騎士団員達の中で、彼の事が噂になっていたんです。
騎士団の入団は15歳から。彼は今年で4度目ですが、その初年度に、これまでの入団試験の歴代記録を“最年少で更新”したんですよ!
でも、何故かその後急に姿が見えなくなってそのまま不合格になっちゃったんです」
それはまたどういう事なんだ?
「そしてその次の年も、そのまた次の年も、どれか1つの実技試験では必ず歴代の記録を破ってるんですよね」
「それだけの実力があって何故受かってないんだ?」
「そこか私も分からないんですが……」
試験官さんが言葉を詰まらせていると、その会話が聞こえたのであろうゴーキンさんが、これまた分かりやすく説明をしてくれた。
「その答えも俺が教えてやろうか!アンタ達試験官の言う通り、最初の年にコイツは最年少記録とやらを更新した。まぁそんな記録なんぞ強さに関係ないがな。コイツはその記録を打ち出した代わりに、魔力の使い過ぎで案の定酔いに襲われ、その日は便器が友達だったな!
その次の年は使いどころを考え、試験の最後に魔力を使い切ったが、筆記と実技が終わった後にまさか面接があるとは知らず、結界面接が出来なくて不合格。
そして満を持したその次の年、例年なら午前筆記、午後実技となっていた予定が急遽入れ替わった。
その年だけは面接が最初にあり、後は筆記と実技だけ。例え入れ替わったとしても全く問題はないけどな普通は。
だが、コイツは普通じゃない上に話を聞いていなかったから、面接を終えた後の午前の実技で終わりだと勘違いし、最後に力を使い切った。そして勿論午後の筆記は壊滅。何とかその場にはいたものの、何も書けず、挙句に用紙には汚物が付いていたと言う。
ダ~~ハッハッハッハッ!!あ~腹痛ぇ!これ以上笑わせないでくれぇ。頼むから」
話を聞いていた皆は呆れすぎて誰も返す言葉が出なかった。ただ、試験管さんだけはそういう事かと妙に納得した表情だった。長年解けなかった謎が分かりスッキリしたのだろう。
「テメェだってずっと不合格だろうが筋肉馬鹿!」
「お前と一緒にするな!俺は毎年しっかり成績を残している。ただ面接をする奴らと相性が悪いだけだ!」
「毎年“面接で”不合格って事は、テメェのその態度に問題があるって事だ!それが分からないから永遠に不合格者なんだよお前は!」
「万年ゲロ野郎が何を言う!」
「人間不適合者に言われる筋合いはねぇ!」
いつの間にかディオルドさんとゴーキンが口で対決していた。
困ったな。どっちもアホ過ぎてどうしたら良いのか分からないぞ。
「2人共面白いね!私が試験官だったら合格にしちゃう」
おいおい、ティファ―ナ。何故そこで君が割って入る。何にでも参戦するんじゃないよ全く。まぁそのお陰でディオルドさんとゴーキンの口論が止まったけど。この2人もちょっと変わってるけど、僕が出会った中ではティファ―ナが断トツ優勝。
「おお。話が分かる子じゃねぇか」
「って、お前クレイに攻撃されたとこ大丈夫なのか?」
「大丈夫!最近ちょっと強くなったから」
「確かにそこそこ強いみたいだけどな」
類は友を呼ぶ。
おっと、失礼な事を言ってしまった。
しかしそう思えるくらいナチュラルに馴染んだねティファ―ナ。ディオルドさんとゴーキンさんも当たり前の様の会話を続けるのはどうかと……あ、そうだ。僕は今大変な事を思い出してしまった。思い出したと言うより、そもそも“こっち”がメイン。
忘れていて御免なさい。
僕は、恐る恐るクレイを見た―。
するとどうだろう。
彼は何時からか言葉も発せず、明後日の方向を向いたままぼ~っとしていた。あれはどういう感情なのだろう? 馬鹿馬鹿しくてやる気が無くなったのか、あるいは呆れすぎて茫然としているのか。
答えはきっと両方。だってあまりおふざけが過ぎる。僕がクレイの立場だったら、自分が真剣になればなる程恥ずかしくなるよ。ほら。その証拠に、クレイの周りの風はさっきよりも強く吹き荒れてるし、魔力もどんどん上昇してる。早く気付いてくれよ皆!
「だからさ、そうしてみなって!」
「ホントかよそれ」
「お嬢ちゃんがたまたまそうなっただけだろ?」
「確かにそうだけど、ダメ元で」
「結構いい加減だな」
何そんな日常の1コマみたいに会話して盛り上がってるのさ。そういうのが余計にクレイを挑発してるんだってば。早くしないとまたとんでもないッ……「もういい。死ね――」
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