【魔力商人】の僕は異世界を商売繫盛で成り上がる~追放で海に捨てられた為、海上ギルド建てたら実力も売上も波に乗って異世界最強に~

きょろ

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第5章~創造とエデンと2つの力

64 切り替えが早いよ

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「ついでにイェルメスも手繋いでよ!」
「何故私まで……?」
「いいからいいから、大丈夫」

 完全に巻き込み事故。

 ティファーナの勢いにイェルメスさんも困惑気味。

 そしてその張本人のティファーナは、ロセリーヌさんとイェルメスさんの手を取り、強引に僕と握手させる。

「ほら、早く手を出してジル」
「分かったよ……。でもそんな簡単にならないからね」
「全くだ」
「失礼しますねジル君」

 そう言って、ロセリーヌさんとイェルメスさんが僕に手を差し出してきた。右手はロセリーヌさん、左手はイェルメスさん。それぞれ差し出された手に、僕は握手をした。


 ――シィ……ン。



 何も起こらない。



「ん……あれ?」
「ほら、だから言ったでしょ。なる方が珍しいんだって」

 僕は何度も試したんだってば。横にいるトビオさんは勿論、他の職人さんやバールさんも。それにスコッチ村の人達も全員ね。

 あ。シスターやブロッサム大聖堂の人達に試すの忘れていたな……。

「残念、ご縁がなかったみたい。なんだかちょっと寂しい気がしますね」
「そ、そんな事ないですよ! 僕は十分ロセリーヌさんを仲間だと思っていますから」
「フフフ。ありがとうジル君」

 そんな寂しそうな顔しないで下さいロセリーヌさん。寧ろ良かったですよ。物騒な力ですからね。それに残念そうなその顔も綺麗です。

「いやいやロセリーヌよ。本人達の目の前で申し訳ないが、こんな危険な力は手にしない方が君の為だ」

 全く持ってイェルメスさんと同意見。

「私も残念。でもロセリーヌはもう仲間だからね。イェルメスも」
「ありがとうティファーナちゃん」
「そう残念がる事はない。俺の時は握手しなくても力が覚醒したケロ」
「バレン君もありがとう」

 力が覚醒しなかったロセリーヌさんとイェルメスさんは手を離した。

「もう気が済んだかい? だったら改めて他の対象者をッ……『――ブワァァァンッ……!!』
「「……⁉」」

 手を離した刹那、あの独特な光が僕達の視界全てを覆った。

「こ、これはッ⁉」
「ゲロロ……」

 見間違える筈もない。
 
 これは間違いなくティファーナ、ディオルド、バレンの時と同じ……バースの魔力の輝き――。

「あーーー!見て!」

 続けざま、ティファーナは大きな声と共にある方向を指差した。

 僕が反射的にその指差された方向を見ると、そこにはバースの魔力の輝きに包まれるロセリーヌさんの姿が。そして、彼女の手の甲にはあの紋章が浮かび上がっていた。

「何か凄い力を感じる……。これって……?」

 ロセリーヌさんは自身に纏われた魔力と紋章に気付き驚いている。

 ええぇぇぇッ⁉⁉
 
 勿論それ以上に僕も驚くよ!

「おいおい、早くも4人目が覚醒したじゃねぇかよ。やるなティファーナ」
「ね! だから手繋いでみてって言ったの!」
「まぁ握手は関係なかったみたいだけどよ。これはラッキーだぜ」
「まさかロセリーヌさんまで⁉」

 これは驚かずにはいられない。まさかまた起きるとは……! しかもロセリーヌさんに。……って言うか、何で君達はそんなに冷静なんだ。

「ゲゲ!ちょ、ちょっと待つゲロッ……!」
 
 珍しく今度はバレンが声を張った。しかもまたどこかを指差している。次から次へと何なんだッ⁉

 そんな事を思いながら再び視線を移すと、そこにはロセリーヌさん。




 ……いや。

 ロセリーヌさんの“すぐ横”にいて区別が付きづらかったが、よ~~く見ると、なんとイェルメスさんにも淡く光るバースの魔力が出現していた。

「ええぇぇぇッ⁉ う、嘘でしょ……⁉ イェルメスさんも⁉」

 イェルメスさんは全身をローブで覆っていたから分かりづらかったけど、首筋のところにしっかりと例の紋章が浮かび上がっている。

 バレンはそれを見つけて驚きの声を上げていたらしい。

「これがバースの魔力……。確かに凄い力だが、何故私にまで……」
「ハッハッハッハッ!また一気に賑やかになってきたな」
「凄い凄い! ロセリーヌもイェルメスも一緒だね。私達と」
「これは驚いたケロ。まさか2人同時とは」

 どうなってるんだよホント……。最近出ないと思っていたらまさかロセリーヌさんとイェルメスさんに同時に現れたよ。この力は本当に理解出来ない。

「あの……この溢れ出る魔力は一体どうしたらいいのでしょう?」 
「大丈夫大丈夫!そのうち消えるよ。それでまた魔力使う時にバァー!って出るからね」

 ティファーナの言った通り、バースの魔力の光は次第に収まっていった。

「――よし。これで5人揃ったな」
「そうだね。この調子で残りの4人も見つけちゃおう!」

 切り替えが早過ぎる。

「これは想定外だ。見届け人として何とアグネスに伝えればいいか……」
「大丈夫よイェルメスさん。多くの人を守れる力を手に入したと知れば、シスターも喜んでくれますよ」
「まぁそうだな……。それでもロセリーヌ自身が力をちゃんと力を使いこなさねばいかんぞ」
「ええ。その為に旅に出ましたから」

 イェルメスさんもそうだが、ロセリーヌさんまでも切り替えが早い……。

「仲間を求めて冒険するなんてRPGみたいでワクワクするな。久々にゲームがしたくなってきたケロね~。ここまでくると残りの4人も探し出したくなるゲロ」
「何言ってるのよバレン。探したくなる……じゃなくて絶対見つけるのよ!」

 バレンは意味の分からない事まで言い出したか。どうせ元の世界の話だろう。

 兎にも角にも皆切り替えが早いよ。

 僕はまた恐ろしくなってきた……。

「――それじゃあ仲間が増えた事だし、飲み直すか!」
「賛成!」
「私お酒持ってくるわね」
「バレンや。君がいたという世界の話を少し聞かせてくれんか?」
「いいよ。イェルメスならひょっとして何か知っているかもケロな」

 こうして皆はまた祝い始めた。

 完成したこのギルドと、新たな仲間に祝して。














 いいよ。

 楽しくて賑やかなのは勿論いいけどさ。

 せめて1人ぐらい、僕の気持ちに寄り添ってくれる人はいないだろうか――。

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