1 / 45
第1章~呪いの勇者降臨~
1-1 呪いのスキルと追放
しおりを挟む
「おいジーク。呪いのスキルを授かった貴様など一族の恥晒しだ! 直ちに出て行け!」
「そ、そんな……待って下さいッ! お願いします父上!」
まるでゴミでも見るかの如く冷酷な目つきで僕を見下しているのは、僕の実の父であるキャバル・レオハルト。
何故こんな事になってしまったんだろう。
いや、そんなの考えなくても分かる。
全ては昨日の洗礼の儀が始まりだ――。
♢♦♢
~大聖堂・洗礼の儀~
「次、ジーク・レオハルト。 前へ!」
「はい!」
多くの人が大聖堂に集まる中、僕の名前が呼ばれた。
「おめでとう。君にも“スキル”を授ける――」
スキル――。
これは全人類が当たり前に手にするもの。
スキルの種類は数えられない程存在し、与えられた“腕輪の色”によってランク分けされる。
一般的にスキルを与えられた人の8割がブロンズの腕輪であり、その上のシルバーの腕輪が約1割半。そして真の選ばれし者に与えられるのがゴールドの腕輪となっている。
この腕輪の色によって授かるスキルも大きく変わり、その後の人生を決定づけると言っても過言ではない。
僕が狙っているのは勿論ゴールドの腕輪。そして『勇者』のスキルを授かるんだ。
「お、遂にレオハルト家のご子息の番だぞ。何のスキルを授かるかな?」
「そりゃ勿論ゴールドの腕輪で『勇者』スキルだろうが!」
「そうですね。これまでにも幾度となく『勇者』のスキルを授かったレオハルト一族ですから、間違いなく出るでしょう」
「名家だからと現を抜かさず、毎日厳しい鍛錬を行っていたとも聞いた。ご縁があればウチの倅でもジーク君のパーティに入れてもらいたいものだ」
名のあるレオハルト家の名前が呼ばれた事により、自然と皆の注目が僕に集まっていた。余り目立つの様な場所は得意じゃないんだよな……。
「もっと胸を張れジークよ。我がレオハルト家の跡継ぎであるお前ならば『勇者』に間違いない。他のも者達とは違うという事を証明してやれ。この瞬間からお前の存在は世界に轟くのだ。期待しているぞ」
「分かりました。レオハルト家の名に恥じぬ様使命を果たします」
「ジーク様ならきっと大丈夫ですよ」
「ありがとう、レベッカ」
最後に父上と僕の使用人であるレベッカと言葉を交わし、いざスキルを授かるべく1歩前へ踏み出した僕は遂に洗礼の儀を受けた。
今日まで毎日必死に特訓をしてきた。
全ては勇者のスキルを授かり多くの人を救う為。世界を平和にする為。
僕の人生はここから新たな幕を上げる。
……と、思っていたのに――。
「ジーク・レオハルト。こちらが貴方に与えられしスキルとなります」
洗練の儀はまさに一瞬。
目の前に用意された大きな水晶に触れるだけ。
水晶に手をかざした瞬間パッと光が輝き、次の瞬間、僕の手首には“ブロンズ色の腕輪”が付いていた。
しかも腕輪には『引寄せ』というスキルを示す文字が確かに刻まれており、自分に起きている事がまるで理解出来なかった僕はただただ呆然とした。
狙っていたゴールドでもなければ勇者のスキルでもない。それどころか1番下のブロンズ。挙句の果てにはまだ自分でも目を疑ってしまう『引寄せ』というスキルの文字。
これは何時か書物で見た事があったブロンズの腕輪の中でも最弱のスキル……いや、世界に災いをもたらすとまで語られる“呪いのスキル”だ――。
「なッ、なんだと! こんな事は有り得ないッ!」
無音に包まれた大聖堂の静寂を打ち破ったのは父上の叫び。
父上は目を見開き驚愕の表情を浮かべながら僕を見ていたが、その表情は驚きや失望というよりも憎悪と怒り。何よりも名声や肩書を1番に考える父上らしい答えが顔に出ていた。
息子の僕にはよく分かる。
「おいおい、まさかレオハルト家の跡継ぎがブロンズの腕輪なんて……」
「しかもあの『引寄せ』ってスキルは確か……!」
「ああ、そうだ! ブロンズの腕輪の中でも最弱にして最低。モンスターや災いを引寄せるという呪いのスキルだぞ!」
数秒前の状況が嘘だったかの様に、大聖堂は全く間に混乱と動揺に包まれた。
「無様だな“兄さん”。終わったなら早くどいてくれ。次は俺の番だ――」
そう言って水晶の元まで寄って来たのは僕の弟であるグレイ・レオハルト。
「貴方の洗練の儀は終了しましたジーク・レオハルト。次の者の儀を行うのでお下がりください」
洗練の儀を行っている神官に促され、僕は頭が真っ白になりながら場を後にする。
頭がボーっとしている。呼吸もしづらい。体だって自分のものじゃないみたいに重い。
「次、グレイ・レオハルト。 前へ!」
「はい!」
整理がつかない僕なんかを他所に、洗練の儀は次々と進んでいく。弟の番なのに僕はグレイを見る余裕がない。
「私に恥をかかせるとは、貴様何をしているのだ!」
「も、申し訳ありません……父上」
やはり父上は怒っていた。それはそうか。
「ジーク様ッ……! 大丈夫ですよ、そう気を落とさッ……「おー! 出たぞ! アレは紛れもなくゴールドの腕輪だ!」
使用人のレベッカが心配そうに僕に声を掛けてきたが、その彼女の言葉を掻き消す様に再び大聖堂が湧いた。
反射的に水晶の方へ振り返った僕の視線の先には、金色に煌めくゴールドの腕輪が付いた腕を高々と掲げるグレイの姿が。
「流石レオハルト家のご子息!」
「やはりゴールドの腕輪を引き当てたか。しかもアレは『勇者』スキルだぞ!」
「凄い! レオハルト家の血統は本物であったか。さっきのは例外だろうな、可哀想に」
「キャー! グレイ様ぁ! どうか私を同じパーティに!」
「よしよしよし! でかしたぞグレイよ! それでこそレオハルト家の一族だ!」
弟のグレイが『勇者』のスキルを授かった事で大聖堂は異様な盛り上がりを見せている。
そもそもゴールドが出る事自体稀の確率である上に、ゴールドの腕輪の中でも『ヒーラー』、『魔法使い』、『賢者』、『剣聖』と限られた最強スキルの中でも最も名誉ある『勇者』を引き当てたのだから当然の事だろう。
「クッハッハッハッ! 当たり前ですよ父上。レオハルト家の者がゴールド以外なんて考えられない。なるべくしてなったのですよ。俺が勇者に――!」
大歓声に包まれるグレイを横目に、僕のこれからの運命を左右する大事な1日が静かに終わった。
♢♦♢
~レオハルト家~
「おいジーク。呪いのスキルを授かった貴様など一族の恥晒しだ! 直ちに出て行け!」
洗礼の儀の翌日――。
顔を合わせた父上の第一声がこれだった。
「そ、そんな……待って下さいッ! お願いします父上!」
父上が怒っている理由は明確。でも幾らなんでもあんまりじゃないか。緊迫した空気の中、何故かグレイだけが金色の髪を靡かせ愉快に笑い声を発していた。
「クハハハ、マジで笑える。やっちまったな兄さん。レオハルト家の跡継ぎ本命のアンタがまさかブロンズの腕輪を出すとはな! しかもよりによって勇者よりも確率が低い呪いのスキルなんて普通引き当てねぇだろ。クッハッハッハッ!」
「た、確かにそう呼ばれているかもしれないけど、まだこの力が本当に呪われているかなんて分からないだろ! 今まで以上にもっと特訓だってすればッ……「はぁ? この期に及んで何言ってんだよ」
グレイはそう言いながら僕に近付くと、ブロンズの腕輪が付いた腕をガッと握った。
「見ろ! コレが現実だ!」
「で、でもッ……」
「でもじゃねぇ! これまでの歴史でブロンズの腕輪で大成した奴なんて1人もいない! 落ちこぼれの証明と変わらねぇんだよ。分かったか?
それに引き替え俺は文句なしのゴールドの腕輪。しかも勇者だ! それに早くも俺は“ファイアスラッシュ”と言う強力なスキルも授かった。これから俺は次々に最強のスキルを習得して最強の勇者になる事はもう確実!
落ちこぼれの呪いスキルに選ばれたお前はもう終わりなんだよ。一族の恥晒しがッ!」
言いたい事を言い切ったのか、グレイは鼻で笑いながら僕を突き飛ばした。不意な事でバランスを崩し床に膝を着くと、次は父上が。
「グレイの言う通りだ。まだ何か言いたい事が?」
僕をこれでもかと見下す父上。悔しい反面、事実なのも確か。言い返せない僕の姿を見て、次に口を開いたのは使用人のレベッカだった。
「お言葉ですがキャバル様! ジーク様はこれまで毎日厳しい訓練を行っておりました。少しでもレオハルト家の名に恥じぬようにと。困っている人を1人でも多く救える様にと。
それなのに、与えられたスキルが少し違ったからと言ってあんまりではッ……「使用人の分際で偉そうな口を利くなッ!」
一層険しい表情を浮かべた父上の怒号が響く。
「由緒あるレオハルト家の一族にこんな落ちこぼれを置いておける訳がなかろう! 昨日あれだけの民衆の前で恥をかかせた上に、更にこの先レオハルト家の面を汚す気つもりか? 貴様も使用人だからと図に乗るなよ奴隷の小娘が!」
吐き捨てる様に俺とレベッカに罵声を浴びせた父上。
今の言葉は許せない。
僕はそう思いながらも何とか怒りを抑えつけた。
成程、これが父上の本音か――。
「路頭に迷われてこれ以上恥を晒されたら敵わん。この金で王都から出て行け」
「……分かりました」
この人は何よりも面子や世間体が大事。もう言い返すの馬鹿らしい。確かに僕は期待に応えられなかったかもしれないし、呪いのスキルなんかを授かってしまった。
だけど僕は与えられた力を、僕だけは最後まで自分の力を信じてみたい。
父上から渡された袋を握り締め、僕はそのままレオハルト家を後にした――。
「そ、そんな……待って下さいッ! お願いします父上!」
まるでゴミでも見るかの如く冷酷な目つきで僕を見下しているのは、僕の実の父であるキャバル・レオハルト。
何故こんな事になってしまったんだろう。
いや、そんなの考えなくても分かる。
全ては昨日の洗礼の儀が始まりだ――。
♢♦♢
~大聖堂・洗礼の儀~
「次、ジーク・レオハルト。 前へ!」
「はい!」
多くの人が大聖堂に集まる中、僕の名前が呼ばれた。
「おめでとう。君にも“スキル”を授ける――」
スキル――。
これは全人類が当たり前に手にするもの。
スキルの種類は数えられない程存在し、与えられた“腕輪の色”によってランク分けされる。
一般的にスキルを与えられた人の8割がブロンズの腕輪であり、その上のシルバーの腕輪が約1割半。そして真の選ばれし者に与えられるのがゴールドの腕輪となっている。
この腕輪の色によって授かるスキルも大きく変わり、その後の人生を決定づけると言っても過言ではない。
僕が狙っているのは勿論ゴールドの腕輪。そして『勇者』のスキルを授かるんだ。
「お、遂にレオハルト家のご子息の番だぞ。何のスキルを授かるかな?」
「そりゃ勿論ゴールドの腕輪で『勇者』スキルだろうが!」
「そうですね。これまでにも幾度となく『勇者』のスキルを授かったレオハルト一族ですから、間違いなく出るでしょう」
「名家だからと現を抜かさず、毎日厳しい鍛錬を行っていたとも聞いた。ご縁があればウチの倅でもジーク君のパーティに入れてもらいたいものだ」
名のあるレオハルト家の名前が呼ばれた事により、自然と皆の注目が僕に集まっていた。余り目立つの様な場所は得意じゃないんだよな……。
「もっと胸を張れジークよ。我がレオハルト家の跡継ぎであるお前ならば『勇者』に間違いない。他のも者達とは違うという事を証明してやれ。この瞬間からお前の存在は世界に轟くのだ。期待しているぞ」
「分かりました。レオハルト家の名に恥じぬ様使命を果たします」
「ジーク様ならきっと大丈夫ですよ」
「ありがとう、レベッカ」
最後に父上と僕の使用人であるレベッカと言葉を交わし、いざスキルを授かるべく1歩前へ踏み出した僕は遂に洗礼の儀を受けた。
今日まで毎日必死に特訓をしてきた。
全ては勇者のスキルを授かり多くの人を救う為。世界を平和にする為。
僕の人生はここから新たな幕を上げる。
……と、思っていたのに――。
「ジーク・レオハルト。こちらが貴方に与えられしスキルとなります」
洗練の儀はまさに一瞬。
目の前に用意された大きな水晶に触れるだけ。
水晶に手をかざした瞬間パッと光が輝き、次の瞬間、僕の手首には“ブロンズ色の腕輪”が付いていた。
しかも腕輪には『引寄せ』というスキルを示す文字が確かに刻まれており、自分に起きている事がまるで理解出来なかった僕はただただ呆然とした。
狙っていたゴールドでもなければ勇者のスキルでもない。それどころか1番下のブロンズ。挙句の果てにはまだ自分でも目を疑ってしまう『引寄せ』というスキルの文字。
これは何時か書物で見た事があったブロンズの腕輪の中でも最弱のスキル……いや、世界に災いをもたらすとまで語られる“呪いのスキル”だ――。
「なッ、なんだと! こんな事は有り得ないッ!」
無音に包まれた大聖堂の静寂を打ち破ったのは父上の叫び。
父上は目を見開き驚愕の表情を浮かべながら僕を見ていたが、その表情は驚きや失望というよりも憎悪と怒り。何よりも名声や肩書を1番に考える父上らしい答えが顔に出ていた。
息子の僕にはよく分かる。
「おいおい、まさかレオハルト家の跡継ぎがブロンズの腕輪なんて……」
「しかもあの『引寄せ』ってスキルは確か……!」
「ああ、そうだ! ブロンズの腕輪の中でも最弱にして最低。モンスターや災いを引寄せるという呪いのスキルだぞ!」
数秒前の状況が嘘だったかの様に、大聖堂は全く間に混乱と動揺に包まれた。
「無様だな“兄さん”。終わったなら早くどいてくれ。次は俺の番だ――」
そう言って水晶の元まで寄って来たのは僕の弟であるグレイ・レオハルト。
「貴方の洗練の儀は終了しましたジーク・レオハルト。次の者の儀を行うのでお下がりください」
洗練の儀を行っている神官に促され、僕は頭が真っ白になりながら場を後にする。
頭がボーっとしている。呼吸もしづらい。体だって自分のものじゃないみたいに重い。
「次、グレイ・レオハルト。 前へ!」
「はい!」
整理がつかない僕なんかを他所に、洗練の儀は次々と進んでいく。弟の番なのに僕はグレイを見る余裕がない。
「私に恥をかかせるとは、貴様何をしているのだ!」
「も、申し訳ありません……父上」
やはり父上は怒っていた。それはそうか。
「ジーク様ッ……! 大丈夫ですよ、そう気を落とさッ……「おー! 出たぞ! アレは紛れもなくゴールドの腕輪だ!」
使用人のレベッカが心配そうに僕に声を掛けてきたが、その彼女の言葉を掻き消す様に再び大聖堂が湧いた。
反射的に水晶の方へ振り返った僕の視線の先には、金色に煌めくゴールドの腕輪が付いた腕を高々と掲げるグレイの姿が。
「流石レオハルト家のご子息!」
「やはりゴールドの腕輪を引き当てたか。しかもアレは『勇者』スキルだぞ!」
「凄い! レオハルト家の血統は本物であったか。さっきのは例外だろうな、可哀想に」
「キャー! グレイ様ぁ! どうか私を同じパーティに!」
「よしよしよし! でかしたぞグレイよ! それでこそレオハルト家の一族だ!」
弟のグレイが『勇者』のスキルを授かった事で大聖堂は異様な盛り上がりを見せている。
そもそもゴールドが出る事自体稀の確率である上に、ゴールドの腕輪の中でも『ヒーラー』、『魔法使い』、『賢者』、『剣聖』と限られた最強スキルの中でも最も名誉ある『勇者』を引き当てたのだから当然の事だろう。
「クッハッハッハッ! 当たり前ですよ父上。レオハルト家の者がゴールド以外なんて考えられない。なるべくしてなったのですよ。俺が勇者に――!」
大歓声に包まれるグレイを横目に、僕のこれからの運命を左右する大事な1日が静かに終わった。
♢♦♢
~レオハルト家~
「おいジーク。呪いのスキルを授かった貴様など一族の恥晒しだ! 直ちに出て行け!」
洗礼の儀の翌日――。
顔を合わせた父上の第一声がこれだった。
「そ、そんな……待って下さいッ! お願いします父上!」
父上が怒っている理由は明確。でも幾らなんでもあんまりじゃないか。緊迫した空気の中、何故かグレイだけが金色の髪を靡かせ愉快に笑い声を発していた。
「クハハハ、マジで笑える。やっちまったな兄さん。レオハルト家の跡継ぎ本命のアンタがまさかブロンズの腕輪を出すとはな! しかもよりによって勇者よりも確率が低い呪いのスキルなんて普通引き当てねぇだろ。クッハッハッハッ!」
「た、確かにそう呼ばれているかもしれないけど、まだこの力が本当に呪われているかなんて分からないだろ! 今まで以上にもっと特訓だってすればッ……「はぁ? この期に及んで何言ってんだよ」
グレイはそう言いながら僕に近付くと、ブロンズの腕輪が付いた腕をガッと握った。
「見ろ! コレが現実だ!」
「で、でもッ……」
「でもじゃねぇ! これまでの歴史でブロンズの腕輪で大成した奴なんて1人もいない! 落ちこぼれの証明と変わらねぇんだよ。分かったか?
それに引き替え俺は文句なしのゴールドの腕輪。しかも勇者だ! それに早くも俺は“ファイアスラッシュ”と言う強力なスキルも授かった。これから俺は次々に最強のスキルを習得して最強の勇者になる事はもう確実!
落ちこぼれの呪いスキルに選ばれたお前はもう終わりなんだよ。一族の恥晒しがッ!」
言いたい事を言い切ったのか、グレイは鼻で笑いながら僕を突き飛ばした。不意な事でバランスを崩し床に膝を着くと、次は父上が。
「グレイの言う通りだ。まだ何か言いたい事が?」
僕をこれでもかと見下す父上。悔しい反面、事実なのも確か。言い返せない僕の姿を見て、次に口を開いたのは使用人のレベッカだった。
「お言葉ですがキャバル様! ジーク様はこれまで毎日厳しい訓練を行っておりました。少しでもレオハルト家の名に恥じぬようにと。困っている人を1人でも多く救える様にと。
それなのに、与えられたスキルが少し違ったからと言ってあんまりではッ……「使用人の分際で偉そうな口を利くなッ!」
一層険しい表情を浮かべた父上の怒号が響く。
「由緒あるレオハルト家の一族にこんな落ちこぼれを置いておける訳がなかろう! 昨日あれだけの民衆の前で恥をかかせた上に、更にこの先レオハルト家の面を汚す気つもりか? 貴様も使用人だからと図に乗るなよ奴隷の小娘が!」
吐き捨てる様に俺とレベッカに罵声を浴びせた父上。
今の言葉は許せない。
僕はそう思いながらも何とか怒りを抑えつけた。
成程、これが父上の本音か――。
「路頭に迷われてこれ以上恥を晒されたら敵わん。この金で王都から出て行け」
「……分かりました」
この人は何よりも面子や世間体が大事。もう言い返すの馬鹿らしい。確かに僕は期待に応えられなかったかもしれないし、呪いのスキルなんかを授かってしまった。
だけど僕は与えられた力を、僕だけは最後まで自分の力を信じてみたい。
父上から渡された袋を握り締め、僕はそのままレオハルト家を後にした――。
0
あなたにおすすめの小説
魔力ゼロで出来損ないと追放された俺、前世の物理学知識を魔法代わりに使ったら、天才ドワーフや魔王に懐かれて最強になっていた
黒崎隼人
ファンタジー
「お前は我が家の恥だ」――。
名門貴族の三男アレンは、魔力を持たずに生まれたというだけで家族に虐げられ、18歳の誕生日にすべてを奪われ追放された。
絶望の中、彼が死の淵で思い出したのは、物理学者として生きた前世の記憶。そして覚醒したのは、魔法とは全く異なる、世界の理そのものを操る力――【概念置換(コンセプト・シフト)】。
運動エネルギーの法則【E = 1/2mv²】で、小石は音速の弾丸と化す。
熱力学第二法則で、敵軍は絶対零度の世界に沈む。
そして、相対性理論【E = mc²】は、神をも打ち砕く一撃となる。
これは、魔力ゼロの少年が、科学という名の「本当の魔法」で理不尽な運命を覆し、心優しき仲間たちと共に、偽りの正義に支配された世界の真実を解き明かす物語。
「君の信じる常識は、本当に正しいのか?」
知的好奇心が、あなたの胸を熱くする。新時代のサイエンス・ファンタジーが、今、幕を開ける。
【本編45話にて完結】『追放された荷物持ちの俺を「必要だ」と言ってくれたのは、落ちこぼれヒーラーの彼女だけだった。』
ブヒ太郎
ファンタジー
「お前はもう用済みだ」――荷物持ちとして命懸けで尽くしてきた高ランクパーティから、ゼロスは無能の烙印を押され、なんの手切れ金もなく追放された。彼のスキルは【筋力強化(微)】。誰もが最弱と嘲笑う、あまりにも地味な能力。仲間たちは彼の本当の価値に気づくことなく、その存在をゴミのように切り捨てた。
全てを失い、絶望の淵をさまよう彼に手を差し伸べたのは、一人の不遇なヒーラー、アリシアだった。彼女もまた、治癒の力が弱いと誰からも相手にされず、教会からも冒険者仲間からも居場所を奪われ、孤独に耐えてきた。だからこそ、彼女だけはゼロスの瞳の奥に宿る、静かで、しかし折れない闘志の光を見抜いていたのだ。
「私と、パーティを組んでくれませんか?」
これは、社会の評価軸から外れた二人が出会い、互いの傷を癒しながらどん底から這い上がり、やがて世界を驚かせる伝説となるまでの物語。見捨てられた最強の荷物持ちによる、静かで、しかし痛快な逆襲劇が今、幕を開ける!
さんざん馬鹿にされてきた最弱精霊使いですが、剣一本で魔物を倒し続けたらパートナーが最強の『大精霊』に進化したので逆襲を始めます。
ヒツキノドカ
ファンタジー
誰もがパートナーの精霊を持つウィスティリア王国。
そこでは精霊によって人生が決まり、また身分の高いものほど強い精霊を宿すといわれている。
しかし第二王子シグは最弱の精霊を宿して生まれたために王家を追放されてしまう。
身分を剥奪されたシグは冒険者になり、剣一本で魔物を倒して生計を立てるようになる。しかしそこでも精霊の弱さから見下された。ひどい時は他の冒険者に襲われこともあった。
そんな生活がしばらく続いたある日――今までの苦労が報われ精霊が進化。
姿は美しい白髪の少女に。
伝説の大精霊となり、『天候にまつわる全属性使用可』という規格外の能力を得たクゥは、「今まで育ててくれた恩返しがしたい!」と懐きまくってくる。
最強の相棒を手に入れたシグは、今まで自分を見下してきた人間たちを見返すことを決意するのだった。
ーーーーーー
ーーー
閲覧、お気に入り登録、感想等いつもありがとうございます。とても励みになります!
※2020.6.8お陰様でHOTランキングに載ることができました。ご愛読感謝!
隠して忘れていたギフト『ステータスカスタム』で能力を魔改造 〜自由自在にカスタマイズしたら有り得ないほど最強になった俺〜
桜井正宗
ファンタジー
能力(スキル)を隠して、その事を忘れていた帝国出身の錬金術師スローンは、無能扱いで大手ギルド『クレセントムーン』を追放された。追放後、隠していた能力を思い出しスキルを習得すると『ステータスカスタム』が発現する。これは、自身や相手のステータスを魔改造【カスタム】できる最強の能力だった。
スローンは、偶然出会った『大聖女フィラ』と共にステータスをいじりまくって最強のステータスを手に入れる。その後、超高難易度のクエストを難なくクリア、無双しまくっていく。その噂が広がると元ギルドから戻って来いと頭を下げられるが、もう遅い。
真の仲間と共にスローンは、各地で暴れ回る。究極のスローライフを手に入れる為に。
解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る
早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」
解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。
そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。
彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。
(1話2500字程度、1章まで完結保証です)
無能な勇者はいらないと辺境へ追放されたのでチートアイテム【ミストルティン】を使って辺境をゆるりと開拓しようと思います
長尾 隆生
ファンタジー
仕事帰りに怪しげな占い師に『この先不幸に見舞われるが、これを持っていれば幸せになれる』と、小枝を500円で押し売りされた直後、異世界へ召喚されてしまうリュウジ。
しかし勇者として召喚されたのに、彼にはチート能力も何もないことが鑑定によって判明する。
途端に手のひらを返され『無能勇者』というレッテルを貼られずさんな扱いを受けた上に、一方的にリュウジは凶悪な魔物が住む地へ追放されてしまう。
しかしリュウジは知る。あの胡散臭い占い師に押し売りされた小枝が【ミストルティン】という様々なアイテムを吸収し、その力を自由自在に振るうことが可能で、更に経験を積めばレベルアップしてさらなる強力な能力を手に入れることが出来るチートアイテムだったことに。
「ミストルティン。アブソープション!」
『了解しましたマスター。レベルアップして新しいスキルを覚えました』
「やった! これでまた便利になるな」
これはワンコインで押し売りされた小枝を手に異世界へ突然召喚され無能とレッテルを貼られた男が幸せを掴む物語。
~ワンコインで買った万能アイテムで幸せな人生を目指します~
【完結】帝国から追放された最強のチーム、リミッター外して無双する
エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング2位獲得作品】
スペイゴール大陸最強の帝国、ユハ帝国。
帝国に仕え、最強の戦力を誇っていたチーム、『デイブレイク』は、突然議会から追放を言い渡される。
しかし帝国は気づいていなかった。彼らの力が帝国を拡大し、恐るべき戦力を誇示していたことに。
自由になった『デイブレイク』のメンバー、エルフのクリス、バランス型のアキラ、強大な魔力を宿すジャック、杖さばきの達人ランラン、絶世の美女シエナは、今まで抑えていた実力を完全開放し、ゼロからユハ帝国を超える国を建国していく。
※この世界では、杖と魔法を使って戦闘を行います。しかし、あの稲妻型の傷を持つメガネの少年のように戦うわけではありません。どうやって戦うのかは、本文を読んでのお楽しみです。杖で戦う戦士のことを、本文では杖士(ブレイカー)と描写しています。
※舞台の雰囲気は中世ヨーロッパ〜近世ヨーロッパに近いです。
〜『デイブレイク』のメンバー紹介〜
・クリス(男・エルフ・570歳)
チームのリーダー。もともとはエルフの貴族の家系だったため、上品で高潔。白く透明感のある肌に、整った顔立ちである。エルフ特有のとがった耳も特徴的。メンバーからも信頼されているが……
・アキラ(男・人間・29歳)
杖術、身体能力、頭脳、魔力など、あらゆる面のバランスが取れたチームの主力。独特なユーモアのセンスがあり、ムードメーカーでもある。唯一の弱点が……
・ジャック(男・人間・34歳)
怪物級の魔力を持つ杖士。その魔力が強大すぎるがゆえに、普段はその魔力を抑え込んでいるため、感情をあまり出さない。チームで唯一の黒人で、ドレッドヘアが特徴的。戦闘で右腕を失って以来義手を装着しているが……
・ランラン(女・人間・25歳)
優れた杖の腕前を持ち、チームを支える杖士。陽気でチャレンジャーな一面もあり、可愛さも武器である。性格の共通点から、アキラと親しく、親友である。しかし実は……
・シエナ(女・人間・28歳)
絶世の美女。とはいっても杖士としての実力も高く、アキラと同じくバランス型である。誰もが羨む美貌をもっているが、本人はあまり自信がないらしく、相手の反応を確認しながら静かに話す。あるメンバーのことが……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる