呪われた勇者~呪いのスキル『引寄せ』を授かった俺は、災いを引寄せると一族を追放。だが気が付けば災いどころか最強スキルばかり引寄せて最強に~

きょろ

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第1章~呪いの勇者降臨~

1-4 まさかのベヒーモスを引寄せてしまった

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 ――ガキィィン!
「なッ⁉」
「これは」

 一か八かで発動した『無効』スキル。
 これによって僕の剣とルルカの槍が激しく衝突した刹那、ルルカを纏っていた強力な風が一瞬にして消え去った。

 驚愕するルルカを横目に、今の一振りで僕にはスキルの効果を実感した。この『無効』のスキルは恐らく“相手の魔法やスキル関係”を無効化させるもの。だから物理攻撃の槍は何の変化もなかったけど風だけが綺麗に消えた。

 瞬時にそう悟った僕はまだ動揺を隠せていないルルカに追撃を加えて奴の手から槍を弾き落とし、そのままルルカの首元に剣を突きつけた。

「勝負ありだな」
「くッ、そんなのアリかよ」

 ルルカは意外にもあっさりと負けを認めると、両手を上に挙げひらひらと動かした。

 もう戦闘の意志は無い様だ。

「流石です、ジーク様!」
「凄い……。Bランクのルルカさんをあんな一方的に! もしかしてジークさんはAランク……いや、ひょっとしてそれ以上の実力者かも……!」

 見ていたサラさんも驚きの表情を浮かべている。すると、サラさんは突如何か思い出したかの様に声を上げた。

「そ、そうだ! ジークさん程の実力があればクラフト村の“異変”を解決してくれるんじゃ……! ちょっと待ってて下さいジークさん!私直ぐに村長さんを呼んできますので」

 慌ただしくそう言い残すと、サラさんは走って何処かへ行ってしまった。

 何がどうなっているのか。

 次から次へと展開が移り変わり、気が付けばサラさんは本当に村長さんとやらを連れて来た挙句、まるで先の決闘が嘘であったかの様に皆で会話が盛り上がりを始めたのだった――。

♢♦♢

~クラフト村・冒険者ギルド~

「ヒャハハハ! 悪かったんよ、急に突っかかったりして。レベッカちゃんも勘弁してくれな!」
「え、まぁ分かって頂けたのならいいですけど」

 何処からどうしてこうなったのか、今では僕もよく分からない。ルルカはさっきの態度とは打って変わってとても気さくに会話を続けている。

 ギルドの休憩スペースのテーブルには食べ物や飲み物が用意され、そこに僕、レベッカ、ルルカ、そしてサラさんとクラフト村の村長さんが椅子に座っているのだが、陽気な会話から急に村長さんが申し訳なさそうに口を開き始めた。

「先程サラ君から話は伺いましたが、ジーク君はとても強いらしいですね」
「い、いえ。全然そんな事はないですよ」
「おいおい、それは俺に対する嫌味かい?」
「違うよ」

 距離の詰め方が凄いな。なんかもう友達の距離感なんだけど。

「村長さん、ジークさんならきっと解決してくれると思うんですけど」

 そうだ。
 そう言えばさっきもサラさんはそんな事を口にしていた。村長さんも何か言いづらそうな雰囲気だし、一体どうしたんだろう。僕は気なってこちらから聞いてしまった。

「村長さん、何か困っている事でもあるんですか?」
「いや、実はですね……村を訪れたばかりのジーク君にこんな話をするのも申し訳ないのですが、少し前からこの村でモンスターの被害が出ておりまして」
「モンスターの被害?」
「はい。まだ幸いな事に人的被害は出ていないのですが、畑や作物がモンスターによって荒らされてしまい、村人達皆が困っているんです」

 成程、問題ってそういう事だったのか。

「それは困りましたね。でもそれなら僕の他に幾らでも冒険者がいるんじゃないですか? ルルカだって一応強いですし、それに人手がいないなら王都へ要請を出せば……」

 僕は皆まで言わず言葉が止まった。そして無意識にルルカへと視線を向ける。

「お、勘が良いなお坊ちゃん。そうなんよ。王都への要請はもう何回も出してるんだよ。でも実力ある貴族や王家の連中はこんな田舎に見向きもしてないみたいだ」

 ルルカの言葉で僕の一抹の不安が確信に変わった。

「もしかしてその要請の中には……」
「ご名答。勿論勇者一族として有名な“元お前ん家”も入っていたんよ」

 やっぱり――。
 これでルルカが僕の名前を聞いただけであそこまで嫌悪感を出して絡んできた理由が分かった。

「すいません村長さん。それにサラさんもルルカも」
「いやいや、頭を上げてくれジーク君! 君が謝る事じゃない」
「そうですよ。ジークさんは何も悪くありません」

 そうは言ってくれたけど、僕は心苦しかった。当たり前の様に王都に住んでいた僕には知り得る事が出来ない現実だったから。

「村長さん、その被害を出しているモンスターの目星は付いていますか?」

 僕がそう尋ねると、村長さんではなく何故かルルカが説明をし始めた。

「そこが最大の問題なんよジーク! つい最近荒らされた畑の近くで“大型モンスター”の痕跡が見つかってな。いよいよ村に甚大な被害が出るんじゃないかって危惧していたところなんよ」
「大型って、もしかしてギガントゴブリンとか?」
「いいや、あの足跡は違うな。俺個人的にはもっとヤバい奴じゃないかと推測してる。何となくの直感だけッ……『グオォォォッ――!』 

 ルルカが皆まで言いかけた瞬間、それを遮る様にけたたましい雄叫びが村中に響いた。そしてそれとほぼ同時に村人がギルドへと駆け込んで来る。

「た、大変だ村長! モンスターがッ!」

 突如場は殺伐とした空気に包まれ、外からは逃げ惑う人影や声が聞こえてくる。そのタイミングで僕達も急いでギルドの外へと出た。

『グオォォォォ!』
「あ、あれはッ……⁉」

 僕達の目に飛び込んできたモンスターの正体。それはギガントゴブリンを優に上回る巨体で鋭い鉤爪を振り回しながら、強烈な魔力をその身に纏わせている“ベヒーモス”の姿だった――。

 何でベヒーモスなんて凶悪なモンスターがこんな所にッ⁉ しかも僕の記憶が正しければ確か奴は……。

「おいおい、悪い予感が当たっちまったなこりゃ。ベヒーモスなんて流石に笑えねぇぞ!」
「皆逃げて!」

 サラさんは村人達を煽る様に必死で訴え掛ける。家や建物からは続々と逃げ出して行く人々の姿が。

 ヤバいな。何とか皆が逃げ切れるように時間を稼がないと。

「レベッカ! 君も皆と一緒に早く逃げろ!」
「わ、私だけそんな事は出来ません! 相手はベヒーモスですよ!ジーク様も一緒にお逃げ下さい!」
「レベッカちゃんの言う通り、ベヒーモスは超危険な“Sランクモンスター”なんよ。同じSランクの冒険者の奴らでも倒せないレベルとか言われてるんだ! あんな化け物まともに相手なんか……ってお前何で剣抜いてやがる⁉」

 驚くルルカを他所に僕はゆっくりと切っ先をベヒーモスに向けた。

 Sランクだろうとなんだろうと僕の横にはレベッカがいる。絶対に彼女には手を出させないぞ。
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