呪われた勇者~呪いのスキル『引寄せ』を授かった俺は、災いを引寄せると一族を追放。だが気が付けば災いどころか最強スキルばかり引寄せて最強に~

きょろ

文字の大きさ
11 / 45
第1章~呪いの勇者降臨~

1-10 仲間との信頼関係を引寄せ

しおりを挟む
~クラフト村~ 

「早ッ! もう着いた」
「ハハハ、ベヒーモスの力は凄まじいな」
「まぁ私にかかればこんなものよ」

 ミラーナのベヒーモス変化に加えて強力なイェルメスさんの付与魔法サポートもあり、僕達は険しいビッグマウンテン山を一気に下山する事に成功した。

 でもまだこれで終わりじゃない。
 早くルルカを助けられる人を探さないと。

 皆がそれだけを願ってクラフト村に辿り着くと、僕達の視界に飛び込んできたのは信じられない光景だった――。

「大変ですジーク様、村の方達が……!」
「何で⁉ サラさん、町長さん!」

 クラフト村に入ると、そこにはルルカと同様に息を荒くして地面に倒れている多くの村人達の姿があった。

 皆苦しそうな表情を浮かべて呻き声を上げている。
 町長さんもサラさんも凄い熱だ。

「大丈夫ですか!」
「ジ、ジーク君……それにイェルメス様まで」

 何故……? 一体何が起きているんだ。

「やはりそうだったか――」

 戸惑う僕を他所に、村を見たイェルメスさんは焦った様にそう言った。

「イ、イェルメスさん! これはどういう事ですか!」
「ああ。ルルカ君の症状を見た時にまさかとは思っていたが、これは
ルルカ君単体を狙ったものではなく“広範囲”を狙った黒魔術だ。
発動条件が分からぬが、恐らくクラフト村の者達全員が同じ状況だろう」

 なんだそれは。
 幾ら小さなクラフト村と言っても優に100人は超えている筈。ルルカを助けるヒーラーを探すどころじゃない。一刻も早く手を打たなければ村自体が壊滅しかねない。

「ぐッ!」
「しっかりして下さい町長さん、サラさん! 絶対に助けますから! クラフト村にヒーラースキルを持った人はいませんか?」

 胸を押さえて苦しむ町長さんとサラさん。
 僕の問いに苦しみながらも返答をくれた2人だったが、その答えは無情だった。

「ジークさん……クラフト村にはヒーラーのスキルを持っている人はいないわ……」
「はい……残念ですがサラ君の言う通りです。一体私達に……村に何が起きて……ゔゔッ!」
「町長さんッ!」

 くそッ、これは本当にヤバい。一体どうすればいいんだ。

 クラフト村の皆は僕が呪いのスキルを持っているにも関わらず、分け隔てなく接してくれたんだ。それどころかこんな僕にありがとうって――。

 絶対に死なせない。
 何か……何か方法は無いのか……!

「イェルメスさん! 回復薬では黒魔術に効きませんか?」
「残念だがそれは無理だ。黒魔術は魔法の中でも更に特殊な部類。黒魔術を消す専門のスキルか術者を倒さなければこの力は消えない」

 イェルメスさんの苦虫を嚙み潰したような表情が全ての答えを出していた。

 この状況では1人として助けられる術がないという“最悪の結末”を。

 胸の奥で心臓がドクンと高鳴る。
 目の前で倒れ苦しむ村人達。
 一刻を争う事態なのに打つ手がない。
 唯一の賭けであったヒーラーも断たれた。

 どうする。
 
 どうする。
 
 どうする――。

 様々な考えが脳裏を駆け巡ったと同時、僕は村長さんを抱える自分の腕輪に目が留まった。

 そうだ……もしかして――。

「イ、イェルメスさんッ! 黒魔術って一応魔法なんですよね⁉」
「ああ、確かに黒魔術も魔法だが……」
「だったら僕の『無効』のスキルは使えないでしょうか⁉」
「ッ! そうか、その手があったか」

 そう。
 もしこれが何かしらのスキルによるものだとしたら、僕のスキルで消せるかもしれない。僕は町長さんをゆっくりと地面に寝かせ剣を握った。そして『無効』スキルを発動させる。

 これで皆を助けられるかもしれない。でも失敗したら……。
 スキルを発動して剣を構える僕だったが、いざ剣の切っ先を町長さんに向けたら万が一が頭を過り躊躇してしまった。

「ジーク様……!」
「無効スキル確かに全てのスキルを無効化するもの。だが流石の私もこの使い方は試したことがない」

 他ならぬイェルメスさんの言葉で更に気持ちが揺らいでしまう。
 
 だって、もしダメだったら間違いなく“死”――。

 僕がそんな事を考えて躊躇していると、次の瞬間何かが僕の肩に乗った。

「ハァ……ハァ……何ビビってるんよジーク……」
「ルルカ⁉」

 振り返ると、そこには今にも倒れそうに意識を朦朧とさせるルルカの姿があった。

「ジーク……それ、俺で試せ。町長のおっさんよりは……剣向けやすいだろ……ヒャハハ」

 ルルカはそう言うと僕の目の前に倒れ込んだ。

「早くするんよ……」
「で、でもッ……! もし失敗したらッ「お前なら大丈夫だ……ジーク。安心しろ……失敗してもただ俺が死ぬだけ……どの道このままだと全員死ぬんよ」
「ルルカ……」
「皆を助けてやってくれジーク……。小さい村だけど、俺が育った大事な場所だ……。お前はもう1度村を救ってる……だから頼むぜ……真の勇者さんよ――」

 悪戯に口元を緩ませたルルカの瞳は、力強く真っ直ぐ僕を見ている。

「分かった。やるよ、ルルカ」

 まるでさっきまでの迷いが無かったかの様に、僕の気持ちは自然と固まっていた。

 それも何故だろう……。

 絶対に失敗しない保証なんて無かったのに、今は絶対にルルカを助けられる確信が生まれていた。

「絶対にルルカを、村の皆を助ける――!」

 ――ストン。
 無効のスキルを発動させた剣を、僕はルルカの胸に突き刺した。

 すると次の瞬間、剣から何かを砕く手応えを確かに感じた。
 そして直後、ルルカや村人達の体から黒い蒸気の様なものが勢いよく溢れ出し、その黒い蒸気は瞬く間に揺らめきながら消え去ってしまった。

「これは……成功だぞジーク君!」

 イェルメスさんの勢いある言葉と共に、ルルカや他の皆の苦しみが一斉に止まった。

「ヒャハハ、流石真の勇者ジーク。体の痛みが全く無くなったんよ」
「ほ、本当だ……苦しかった胸の締め付けもない。体が軽くなりました!」

 直ぐ側にいた町長さんやサラさん、それに他の村人達も次々に立ち上がっていく。イェルメスさんは直ぐにルルカの状態を確かめた。

「ハハハハ、驚いた。やはり成功しているぞジーク君。黒魔術の効果が完璧に消えている」
「す、凄いですジーク様ッ!」
「本当に……? 皆もう無事なんだよね……? 良かった~!」

 全身を襲っていた緊張の糸が切れ、皆が起き上がる中僕は逆にその場に倒れ込んだ。

 良かった。

 本当に良かった。

 ルルカを……皆を助けられて――。

「ヒャハハ、今回は流石に死ぬかと思ったんよ。ありがとなジーク」

 そう言って何時もの調子に戻ったルルカは、倒れる僕に手を差し伸べてきた。

 僕はそのルルカの手をグッと掴み、2人で笑い合った――。
しおりを挟む
感想 8

あなたにおすすめの小説

魔力ゼロで出来損ないと追放された俺、前世の物理学知識を魔法代わりに使ったら、天才ドワーフや魔王に懐かれて最強になっていた

黒崎隼人
ファンタジー
「お前は我が家の恥だ」――。 名門貴族の三男アレンは、魔力を持たずに生まれたというだけで家族に虐げられ、18歳の誕生日にすべてを奪われ追放された。 絶望の中、彼が死の淵で思い出したのは、物理学者として生きた前世の記憶。そして覚醒したのは、魔法とは全く異なる、世界の理そのものを操る力――【概念置換(コンセプト・シフト)】。 運動エネルギーの法則【E = 1/2mv²】で、小石は音速の弾丸と化す。 熱力学第二法則で、敵軍は絶対零度の世界に沈む。 そして、相対性理論【E = mc²】は、神をも打ち砕く一撃となる。 これは、魔力ゼロの少年が、科学という名の「本当の魔法」で理不尽な運命を覆し、心優しき仲間たちと共に、偽りの正義に支配された世界の真実を解き明かす物語。 「君の信じる常識は、本当に正しいのか?」 知的好奇心が、あなたの胸を熱くする。新時代のサイエンス・ファンタジーが、今、幕を開ける。

【本編45話にて完結】『追放された荷物持ちの俺を「必要だ」と言ってくれたのは、落ちこぼれヒーラーの彼女だけだった。』

ブヒ太郎
ファンタジー
「お前はもう用済みだ」――荷物持ちとして命懸けで尽くしてきた高ランクパーティから、ゼロスは無能の烙印を押され、なんの手切れ金もなく追放された。彼のスキルは【筋力強化(微)】。誰もが最弱と嘲笑う、あまりにも地味な能力。仲間たちは彼の本当の価値に気づくことなく、その存在をゴミのように切り捨てた。 全てを失い、絶望の淵をさまよう彼に手を差し伸べたのは、一人の不遇なヒーラー、アリシアだった。彼女もまた、治癒の力が弱いと誰からも相手にされず、教会からも冒険者仲間からも居場所を奪われ、孤独に耐えてきた。だからこそ、彼女だけはゼロスの瞳の奥に宿る、静かで、しかし折れない闘志の光を見抜いていたのだ。 「私と、パーティを組んでくれませんか?」 これは、社会の評価軸から外れた二人が出会い、互いの傷を癒しながらどん底から這い上がり、やがて世界を驚かせる伝説となるまでの物語。見捨てられた最強の荷物持ちによる、静かで、しかし痛快な逆襲劇が今、幕を開ける!

さんざん馬鹿にされてきた最弱精霊使いですが、剣一本で魔物を倒し続けたらパートナーが最強の『大精霊』に進化したので逆襲を始めます。

ヒツキノドカ
ファンタジー
 誰もがパートナーの精霊を持つウィスティリア王国。  そこでは精霊によって人生が決まり、また身分の高いものほど強い精霊を宿すといわれている。  しかし第二王子シグは最弱の精霊を宿して生まれたために王家を追放されてしまう。  身分を剥奪されたシグは冒険者になり、剣一本で魔物を倒して生計を立てるようになる。しかしそこでも精霊の弱さから見下された。ひどい時は他の冒険者に襲われこともあった。  そんな生活がしばらく続いたある日――今までの苦労が報われ精霊が進化。  姿は美しい白髪の少女に。  伝説の大精霊となり、『天候にまつわる全属性使用可』という規格外の能力を得たクゥは、「今まで育ててくれた恩返しがしたい!」と懐きまくってくる。  最強の相棒を手に入れたシグは、今まで自分を見下してきた人間たちを見返すことを決意するのだった。 ーーーーーー ーーー 閲覧、お気に入り登録、感想等いつもありがとうございます。とても励みになります! ※2020.6.8お陰様でHOTランキングに載ることができました。ご愛読感謝!

弟に裏切られ、王女に婚約破棄され、父に追放され、親友に殺されかけたけど、大賢者スキルと幼馴染のお陰で幸せ。

克全
ファンタジー
「アルファポリス」「カクヨム」「ノベルバ」に同時投稿しています。

隠して忘れていたギフト『ステータスカスタム』で能力を魔改造 〜自由自在にカスタマイズしたら有り得ないほど最強になった俺〜

桜井正宗
ファンタジー
 能力(スキル)を隠して、その事を忘れていた帝国出身の錬金術師スローンは、無能扱いで大手ギルド『クレセントムーン』を追放された。追放後、隠していた能力を思い出しスキルを習得すると『ステータスカスタム』が発現する。これは、自身や相手のステータスを魔改造【カスタム】できる最強の能力だった。  スローンは、偶然出会った『大聖女フィラ』と共にステータスをいじりまくって最強のステータスを手に入れる。その後、超高難易度のクエストを難なくクリア、無双しまくっていく。その噂が広がると元ギルドから戻って来いと頭を下げられるが、もう遅い。  真の仲間と共にスローンは、各地で暴れ回る。究極のスローライフを手に入れる為に。

解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る

早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」 解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。 そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。 彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。 (1話2500字程度、1章まで完結保証です)

無能な勇者はいらないと辺境へ追放されたのでチートアイテム【ミストルティン】を使って辺境をゆるりと開拓しようと思います

長尾 隆生
ファンタジー
仕事帰りに怪しげな占い師に『この先不幸に見舞われるが、これを持っていれば幸せになれる』と、小枝を500円で押し売りされた直後、異世界へ召喚されてしまうリュウジ。 しかし勇者として召喚されたのに、彼にはチート能力も何もないことが鑑定によって判明する。 途端に手のひらを返され『無能勇者』というレッテルを貼られずさんな扱いを受けた上に、一方的にリュウジは凶悪な魔物が住む地へ追放されてしまう。 しかしリュウジは知る。あの胡散臭い占い師に押し売りされた小枝が【ミストルティン】という様々なアイテムを吸収し、その力を自由自在に振るうことが可能で、更に経験を積めばレベルアップしてさらなる強力な能力を手に入れることが出来るチートアイテムだったことに。 「ミストルティン。アブソープション!」 『了解しましたマスター。レベルアップして新しいスキルを覚えました』 「やった! これでまた便利になるな」   これはワンコインで押し売りされた小枝を手に異世界へ突然召喚され無能とレッテルを貼られた男が幸せを掴む物語。 ~ワンコインで買った万能アイテムで幸せな人生を目指します~

収納魔法を極めた魔術師ですが、勇者パーティを追放されました。ところで俺の追放理由って “どれ” ですか?

木塚麻弥
ファンタジー
収納魔法を活かして勇者パーティーの荷物持ちをしていたケイトはある日、パーティーを追放されてしまった。 追放される理由はよく分からなかった。 彼はパーティーを追放されても文句の言えない理由を無数に抱えていたからだ。 結局どれが本当の追放理由なのかはよく分からなかったが、勇者から追放すると強く言われたのでケイトはそれに従う。 しかし彼は、追放されてもなお仲間たちのことが好きだった。 たった四人で強大な魔王軍に立ち向かおうとするかつての仲間たち。 ケイトは彼らを失いたくなかった。 勇者たちとまた一緒に食事がしたかった。 しばらくひとりで悩んでいたケイトは気づいてしまう。 「追放されたってことは、俺の行動を制限する奴もいないってことだよな?」 これは収納魔法しか使えない魔術師が、仲間のために陰で奮闘する物語。

処理中です...