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第1章~呪いの勇者降臨~
1-10 仲間との信頼関係を引寄せ
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~クラフト村~
「早ッ! もう着いた」
「ハハハ、ベヒーモスの力は凄まじいな」
「まぁ私にかかればこんなものよ」
ミラーナのベヒーモス変化に加えて強力なイェルメスさんの付与魔法サポートもあり、僕達は険しいビッグマウンテン山を一気に下山する事に成功した。
でもまだこれで終わりじゃない。
早くルルカを助けられる人を探さないと。
皆がそれだけを願ってクラフト村に辿り着くと、僕達の視界に飛び込んできたのは信じられない光景だった――。
「大変ですジーク様、村の方達が……!」
「何で⁉ サラさん、町長さん!」
クラフト村に入ると、そこにはルルカと同様に息を荒くして地面に倒れている多くの村人達の姿があった。
皆苦しそうな表情を浮かべて呻き声を上げている。
町長さんもサラさんも凄い熱だ。
「大丈夫ですか!」
「ジ、ジーク君……それにイェルメス様まで」
何故……? 一体何が起きているんだ。
「やはりそうだったか――」
戸惑う僕を他所に、村を見たイェルメスさんは焦った様にそう言った。
「イ、イェルメスさん! これはどういう事ですか!」
「ああ。ルルカ君の症状を見た時にまさかとは思っていたが、これは
ルルカ君単体を狙ったものではなく“広範囲”を狙った黒魔術だ。
発動条件が分からぬが、恐らくクラフト村の者達全員が同じ状況だろう」
なんだそれは。
幾ら小さなクラフト村と言っても優に100人は超えている筈。ルルカを助けるヒーラーを探すどころじゃない。一刻も早く手を打たなければ村自体が壊滅しかねない。
「ぐッ!」
「しっかりして下さい町長さん、サラさん! 絶対に助けますから! クラフト村にヒーラースキルを持った人はいませんか?」
胸を押さえて苦しむ町長さんとサラさん。
僕の問いに苦しみながらも返答をくれた2人だったが、その答えは無情だった。
「ジークさん……クラフト村にはヒーラーのスキルを持っている人はいないわ……」
「はい……残念ですがサラ君の言う通りです。一体私達に……村に何が起きて……ゔゔッ!」
「町長さんッ!」
くそッ、これは本当にヤバい。一体どうすればいいんだ。
クラフト村の皆は僕が呪いのスキルを持っているにも関わらず、分け隔てなく接してくれたんだ。それどころかこんな僕にありがとうって――。
絶対に死なせない。
何か……何か方法は無いのか……!
「イェルメスさん! 回復薬では黒魔術に効きませんか?」
「残念だがそれは無理だ。黒魔術は魔法の中でも更に特殊な部類。黒魔術を消す専門のスキルか術者を倒さなければこの力は消えない」
イェルメスさんの苦虫を嚙み潰したような表情が全ての答えを出していた。
この状況では1人として助けられる術がないという“最悪の結末”を。
胸の奥で心臓がドクンと高鳴る。
目の前で倒れ苦しむ村人達。
一刻を争う事態なのに打つ手がない。
唯一の賭けであったヒーラーも断たれた。
どうする。
どうする。
どうする――。
様々な考えが脳裏を駆け巡ったと同時、僕は村長さんを抱える自分の腕輪に目が留まった。
そうだ……もしかして――。
「イ、イェルメスさんッ! 黒魔術って一応魔法なんですよね⁉」
「ああ、確かに黒魔術も魔法だが……」
「だったら僕の『無効』のスキルは使えないでしょうか⁉」
「ッ! そうか、その手があったか」
そう。
もしこれが何かしらのスキルによるものだとしたら、僕のスキルで消せるかもしれない。僕は町長さんをゆっくりと地面に寝かせ剣を握った。そして『無効』スキルを発動させる。
これで皆を助けられるかもしれない。でも失敗したら……。
スキルを発動して剣を構える僕だったが、いざ剣の切っ先を町長さんに向けたら万が一が頭を過り躊躇してしまった。
「ジーク様……!」
「無効スキル確かに全てのスキルを無効化するもの。だが流石の私もこの使い方は試したことがない」
他ならぬイェルメスさんの言葉で更に気持ちが揺らいでしまう。
だって、もしダメだったら間違いなく“死”――。
僕がそんな事を考えて躊躇していると、次の瞬間何かが僕の肩に乗った。
「ハァ……ハァ……何ビビってるんよジーク……」
「ルルカ⁉」
振り返ると、そこには今にも倒れそうに意識を朦朧とさせるルルカの姿があった。
「ジーク……それ、俺で試せ。町長のおっさんよりは……剣向けやすいだろ……ヒャハハ」
ルルカはそう言うと僕の目の前に倒れ込んだ。
「早くするんよ……」
「で、でもッ……! もし失敗したらッ「お前なら大丈夫だ……ジーク。安心しろ……失敗してもただ俺が死ぬだけ……どの道このままだと全員死ぬんよ」
「ルルカ……」
「皆を助けてやってくれジーク……。小さい村だけど、俺が育った大事な場所だ……。お前はもう1度村を救ってる……だから頼むぜ……真の勇者さんよ――」
悪戯に口元を緩ませたルルカの瞳は、力強く真っ直ぐ僕を見ている。
「分かった。やるよ、ルルカ」
まるでさっきまでの迷いが無かったかの様に、僕の気持ちは自然と固まっていた。
それも何故だろう……。
絶対に失敗しない保証なんて無かったのに、今は絶対にルルカを助けられる確信が生まれていた。
「絶対にルルカを、村の皆を助ける――!」
――ストン。
無効のスキルを発動させた剣を、僕はルルカの胸に突き刺した。
すると次の瞬間、剣から何かを砕く手応えを確かに感じた。
そして直後、ルルカや村人達の体から黒い蒸気の様なものが勢いよく溢れ出し、その黒い蒸気は瞬く間に揺らめきながら消え去ってしまった。
「これは……成功だぞジーク君!」
イェルメスさんの勢いある言葉と共に、ルルカや他の皆の苦しみが一斉に止まった。
「ヒャハハ、流石真の勇者ジーク。体の痛みが全く無くなったんよ」
「ほ、本当だ……苦しかった胸の締め付けもない。体が軽くなりました!」
直ぐ側にいた町長さんやサラさん、それに他の村人達も次々に立ち上がっていく。イェルメスさんは直ぐにルルカの状態を確かめた。
「ハハハハ、驚いた。やはり成功しているぞジーク君。黒魔術の効果が完璧に消えている」
「す、凄いですジーク様ッ!」
「本当に……? 皆もう無事なんだよね……? 良かった~!」
全身を襲っていた緊張の糸が切れ、皆が起き上がる中僕は逆にその場に倒れ込んだ。
良かった。
本当に良かった。
ルルカを……皆を助けられて――。
「ヒャハハ、今回は流石に死ぬかと思ったんよ。ありがとなジーク」
そう言って何時もの調子に戻ったルルカは、倒れる僕に手を差し伸べてきた。
僕はそのルルカの手をグッと掴み、2人で笑い合った――。
「早ッ! もう着いた」
「ハハハ、ベヒーモスの力は凄まじいな」
「まぁ私にかかればこんなものよ」
ミラーナのベヒーモス変化に加えて強力なイェルメスさんの付与魔法サポートもあり、僕達は険しいビッグマウンテン山を一気に下山する事に成功した。
でもまだこれで終わりじゃない。
早くルルカを助けられる人を探さないと。
皆がそれだけを願ってクラフト村に辿り着くと、僕達の視界に飛び込んできたのは信じられない光景だった――。
「大変ですジーク様、村の方達が……!」
「何で⁉ サラさん、町長さん!」
クラフト村に入ると、そこにはルルカと同様に息を荒くして地面に倒れている多くの村人達の姿があった。
皆苦しそうな表情を浮かべて呻き声を上げている。
町長さんもサラさんも凄い熱だ。
「大丈夫ですか!」
「ジ、ジーク君……それにイェルメス様まで」
何故……? 一体何が起きているんだ。
「やはりそうだったか――」
戸惑う僕を他所に、村を見たイェルメスさんは焦った様にそう言った。
「イ、イェルメスさん! これはどういう事ですか!」
「ああ。ルルカ君の症状を見た時にまさかとは思っていたが、これは
ルルカ君単体を狙ったものではなく“広範囲”を狙った黒魔術だ。
発動条件が分からぬが、恐らくクラフト村の者達全員が同じ状況だろう」
なんだそれは。
幾ら小さなクラフト村と言っても優に100人は超えている筈。ルルカを助けるヒーラーを探すどころじゃない。一刻も早く手を打たなければ村自体が壊滅しかねない。
「ぐッ!」
「しっかりして下さい町長さん、サラさん! 絶対に助けますから! クラフト村にヒーラースキルを持った人はいませんか?」
胸を押さえて苦しむ町長さんとサラさん。
僕の問いに苦しみながらも返答をくれた2人だったが、その答えは無情だった。
「ジークさん……クラフト村にはヒーラーのスキルを持っている人はいないわ……」
「はい……残念ですがサラ君の言う通りです。一体私達に……村に何が起きて……ゔゔッ!」
「町長さんッ!」
くそッ、これは本当にヤバい。一体どうすればいいんだ。
クラフト村の皆は僕が呪いのスキルを持っているにも関わらず、分け隔てなく接してくれたんだ。それどころかこんな僕にありがとうって――。
絶対に死なせない。
何か……何か方法は無いのか……!
「イェルメスさん! 回復薬では黒魔術に効きませんか?」
「残念だがそれは無理だ。黒魔術は魔法の中でも更に特殊な部類。黒魔術を消す専門のスキルか術者を倒さなければこの力は消えない」
イェルメスさんの苦虫を嚙み潰したような表情が全ての答えを出していた。
この状況では1人として助けられる術がないという“最悪の結末”を。
胸の奥で心臓がドクンと高鳴る。
目の前で倒れ苦しむ村人達。
一刻を争う事態なのに打つ手がない。
唯一の賭けであったヒーラーも断たれた。
どうする。
どうする。
どうする――。
様々な考えが脳裏を駆け巡ったと同時、僕は村長さんを抱える自分の腕輪に目が留まった。
そうだ……もしかして――。
「イ、イェルメスさんッ! 黒魔術って一応魔法なんですよね⁉」
「ああ、確かに黒魔術も魔法だが……」
「だったら僕の『無効』のスキルは使えないでしょうか⁉」
「ッ! そうか、その手があったか」
そう。
もしこれが何かしらのスキルによるものだとしたら、僕のスキルで消せるかもしれない。僕は町長さんをゆっくりと地面に寝かせ剣を握った。そして『無効』スキルを発動させる。
これで皆を助けられるかもしれない。でも失敗したら……。
スキルを発動して剣を構える僕だったが、いざ剣の切っ先を町長さんに向けたら万が一が頭を過り躊躇してしまった。
「ジーク様……!」
「無効スキル確かに全てのスキルを無効化するもの。だが流石の私もこの使い方は試したことがない」
他ならぬイェルメスさんの言葉で更に気持ちが揺らいでしまう。
だって、もしダメだったら間違いなく“死”――。
僕がそんな事を考えて躊躇していると、次の瞬間何かが僕の肩に乗った。
「ハァ……ハァ……何ビビってるんよジーク……」
「ルルカ⁉」
振り返ると、そこには今にも倒れそうに意識を朦朧とさせるルルカの姿があった。
「ジーク……それ、俺で試せ。町長のおっさんよりは……剣向けやすいだろ……ヒャハハ」
ルルカはそう言うと僕の目の前に倒れ込んだ。
「早くするんよ……」
「で、でもッ……! もし失敗したらッ「お前なら大丈夫だ……ジーク。安心しろ……失敗してもただ俺が死ぬだけ……どの道このままだと全員死ぬんよ」
「ルルカ……」
「皆を助けてやってくれジーク……。小さい村だけど、俺が育った大事な場所だ……。お前はもう1度村を救ってる……だから頼むぜ……真の勇者さんよ――」
悪戯に口元を緩ませたルルカの瞳は、力強く真っ直ぐ僕を見ている。
「分かった。やるよ、ルルカ」
まるでさっきまでの迷いが無かったかの様に、僕の気持ちは自然と固まっていた。
それも何故だろう……。
絶対に失敗しない保証なんて無かったのに、今は絶対にルルカを助けられる確信が生まれていた。
「絶対にルルカを、村の皆を助ける――!」
――ストン。
無効のスキルを発動させた剣を、僕はルルカの胸に突き刺した。
すると次の瞬間、剣から何かを砕く手応えを確かに感じた。
そして直後、ルルカや村人達の体から黒い蒸気の様なものが勢いよく溢れ出し、その黒い蒸気は瞬く間に揺らめきながら消え去ってしまった。
「これは……成功だぞジーク君!」
イェルメスさんの勢いある言葉と共に、ルルカや他の皆の苦しみが一斉に止まった。
「ヒャハハ、流石真の勇者ジーク。体の痛みが全く無くなったんよ」
「ほ、本当だ……苦しかった胸の締め付けもない。体が軽くなりました!」
直ぐ側にいた町長さんやサラさん、それに他の村人達も次々に立ち上がっていく。イェルメスさんは直ぐにルルカの状態を確かめた。
「ハハハハ、驚いた。やはり成功しているぞジーク君。黒魔術の効果が完璧に消えている」
「す、凄いですジーク様ッ!」
「本当に……? 皆もう無事なんだよね……? 良かった~!」
全身を襲っていた緊張の糸が切れ、皆が起き上がる中僕は逆にその場に倒れ込んだ。
良かった。
本当に良かった。
ルルカを……皆を助けられて――。
「ヒャハハ、今回は流石に死ぬかと思ったんよ。ありがとなジーク」
そう言って何時もの調子に戻ったルルカは、倒れる僕に手を差し伸べてきた。
僕はそのルルカの手をグッと掴み、2人で笑い合った――。
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