呪われた勇者~呪いのスキル『引寄せ』を授かった俺は、災いを引寄せると一族を追放。だが気が付けば災いどころか最強スキルばかり引寄せて最強に~

きょろ

文字の大きさ
42 / 45
最終章~真の勇者~

5-2 スタンピード阻止作戦を引寄せ・後編

しおりを挟む
「ルルカ! ミラーナ! その調子だ!」

 ルルカとミラーナの誘導によって5万のモンスター軍はどんどん列が狭まり、スタンピードの“幅が約200m”ぐらいまで凝縮した。

「後は頼んだんよレベッカちゃん!」
「上手くやってみたいねルルカ」
「来るぞレベッカ君」
「はい、何時でも大丈夫です!」

 そして。

 何も考えずに突き進んで来るモンスター軍の先頭とルルカとミラーナが誘導してきた両端が重なり、凝縮したスタンピードはそのまま地面に広げられたレベッカの“空間の穴”へと勢いよく落ちて行くのだった。

 ――ズドドドドドドドドド!
『『ヴゴォォォォッ……⁉』』

 突撃の勢いそのままに、モンスター軍は吸い込まれる様に一気に落ちる。視界を悪くしていた大量の砂煙が少しづつ晴れていくと、次に僕達の視界に映ったのは数が激減したスタンピードの成れの果てだった。

「ヒャハハ! こりゃ思った以上の成果なんよ」
「凄いわよレベッカ! 一気にモンスターがいなくなったわ」
「よし。そのまま空間を切り離すんだ」
「はい!」

 次の瞬間、大量のモンスターを飲み込んだ空間の穴は一瞬で消え去り、どっと疲れが押し寄せたであろうレベッカはその場に座り込んだ。

「よくやったぞレベッカ君! あのモンスター軍を一網打尽にしたよ」
「凄いぞレベッカ!」
「あ……ありがとうございます」

 レベッカの空間魔法が絶大な効果を発揮し、モンスター軍はほぼ消滅。辛うじて残ったモンスターはざっと2000以下となった。

 よし、これならいけるぞ!

「ありがとうレベッカ! イェルメスさん、レベッカと一緒に離れていて下さい」

 レベッカのお陰でピタリと動きが止まったスタンピードの残党モンスター達。数は決して少なくはないが、さっきと大群と比べれば無いに等しく思える。

 ここまで皆作戦通り。後は僕だけだ。
 剣を握り締めた僕は岩場から飛び降り、モンスター達と対峙する。

「こうなりゃ一気に片付けるか」
「そうね。久々のベヒーモス化なのに暴れ足りないわ」

 そう口にしたルルカとミラーナはほぼ同時に残党モンスター達に突っ込んで行き次々に倒していく。

「しまった。完全に出遅れた」

 ルルカとミラーナに続く様に僕は『神速』スキルで一気にモンスター達と距離を詰めると、1番前にいたオーク目掛けて『必中』スキルを発動。

 そこへ更に“新しく習得した”ばかりの『連鎖』スキルを重ね合わせて剣を振り抜く――。

「はあッ!」

 ――パキィン! パキン、パキン、パキン、パキンッ!
『『ギギャァァァ⁉』』

 新しく習得した『連鎖』スキルは僕の攻撃を連鎖させるもの。オークの核を破壊した一撃が他のモンスター達にも連鎖し、敵が密集している事も相まって一振りで100体近くのモンスターを倒すのに成功した。

「えげつないスキルだな」
「流石私の王子様。また強くなってるわ」
「凄いですねジーク様……」
「ハハハハ。まるであの時の勇者を見ている様だ。懐かしいねぇ」

 1体たりともここから先は通さない。
 僕は持てる力を駆使して攻撃し続けた結果、思った以上の速さで残党モンスター達を一蹴してしまった。

「今ので全部倒したか」
「ヒャハハ、マジであのスタンピードを止めちゃったんよ」
「貴方は大して役に立っていないわよ」
「まぁまぁ。これは皆の力を合わせた結果だよミラーナ。強いて言えばレベッカの力が無ければッ……『ヴボォォォォォ――!』

 次の瞬間、突如荒地の向こうから激しい咆哮が響き渡った。

 僕達が反射的にそちらへ振り向くと、遠い真っ青な上空から黒い影が勢いよくこちらに向かって来きていた。

 大きな翼を羽ばたかせ全身を黒い鱗に纏ったそれは、かつて魔王と共に世界を脅かした“黒龍”。しかもその大きな黒龍の背にはなんと、グレイとゲノムの姿があった――。

「グレイ! ゲノム!」
「ハーハッハッハッハッ! 忌々しいジークよ。この間の借りを返しに来てやったぜッ!」

 高らかに笑いながら僕達を見下ろすグレイ。
 そして隣にはローブ越しに不敵な笑みを浮かべているゲノムの姿も。
 
 やはりこの2人は一緒にいたか。

「何でそんな奴と一緒にいるんだグレイ! スタンピードで王都を襲って何の意味があるんだ!」
「相変わらずグチグチうるせぇ奴だな。意味なんて知らねぇ。俺はただ誰よりも強い事を証明して、世界中の奴らに最強が誰であるかを分からせてやるのさ! その犠牲第1番がテメェだジークッ!」

 グレイがそう口にした瞬間、黒龍が僕目掛けて凄まじい炎ブレスを吐いてきた。

 ――グボォォォォ!
「くッ⁉」
「ハッハッハッハッ! 全て焼き尽くせ!」
「きゃあッ!」
「ゔッ……!」

 強力な黒龍のブレスは僕だけでなはく周りにいた皆にも襲い掛かった。

 ぐッ、皆が危ない。
 僕は『無効』スキルと『神速』スキルを発動させて広範囲のブレスを全て斬り払った。

「ちっ! 生意気な野郎だなジーク」
「ルルカ! 槍を!」
「了解」

 ルルカから槍を受け取った僕はすぐさま『必中』スキルを発動。そのまま黒龍目掛けて勢いよく投擲した。

 ――パキィン!
『ギゴァァァァァ……!』
「何ッ⁉」
「あら、これはマズいですね」

 見事黒龍の核を砕くと、黒龍は呻き声を発しながらその巨体を一直線に地面へと落下。落ちた黒龍は凄い衝撃音と地響きと共に完全に動かなくなってしまった。

「畜生、あの野郎次から次へと……」
「ヒヒヒヒ。まさかこうも簡単に黒龍を落とされるとは」

 黒龍と共に落下したものの、グレイとゲノムはどうやら無傷の様だ。

「まぁいい。最後は結局俺の手で殺らないと気が済まないからな。おいゲノム! お前は手を出すんじゃねぇ。コイツは俺の獲物だ」
「勿論。グレイ様の邪魔など致しませんよ」
「さぁ、あの時の続きといこうか!」

 僕に物凄い殺意を放ちながら剣を構えるグレイは、この間の時よりも更に体が異形な姿になっている。全身からは不気味な黒い魔力が溢れ、体の半分以上が人間のそれではない。

 最早人と言うよりも人外、魔族に近い。

「グレイ、お前自分がどんな姿か分かっているのか⁉」
「見た目などどうでもいい。俺が何よりも欲しいのは力だ! 誰よりも強いな。それさえあれば結局は全てが手に入るんだよ」

 そう言うグレイの言葉に対し、僕は無意識にレベッカやこれまで出会った人達の事が思い浮かんでいた――。

「やっぱり……僕とお前が求めるものは全く違うみたいだなグレイ」
「あぁ? 何を訳分からない事言ってやがる。お前だって結局は力を手にしただろうが。同じ事をしているくせに自分だけ優等生ぶるんじゃねぇって言ってんだよッ!」

 ――ガキィィィン!
 グレイが振り下ろしてきた強烈な一撃を受け止めた僕。
 鍔迫り合いをしながら互いの視線が交差する。

 分かったよ。

 お前が僕の大事なものを奪おうとするなら、僕はお前を倒すぞグレイ――!
しおりを挟む
感想 8

あなたにおすすめの小説

魔力ゼロで出来損ないと追放された俺、前世の物理学知識を魔法代わりに使ったら、天才ドワーフや魔王に懐かれて最強になっていた

黒崎隼人
ファンタジー
「お前は我が家の恥だ」――。 名門貴族の三男アレンは、魔力を持たずに生まれたというだけで家族に虐げられ、18歳の誕生日にすべてを奪われ追放された。 絶望の中、彼が死の淵で思い出したのは、物理学者として生きた前世の記憶。そして覚醒したのは、魔法とは全く異なる、世界の理そのものを操る力――【概念置換(コンセプト・シフト)】。 運動エネルギーの法則【E = 1/2mv²】で、小石は音速の弾丸と化す。 熱力学第二法則で、敵軍は絶対零度の世界に沈む。 そして、相対性理論【E = mc²】は、神をも打ち砕く一撃となる。 これは、魔力ゼロの少年が、科学という名の「本当の魔法」で理不尽な運命を覆し、心優しき仲間たちと共に、偽りの正義に支配された世界の真実を解き明かす物語。 「君の信じる常識は、本当に正しいのか?」 知的好奇心が、あなたの胸を熱くする。新時代のサイエンス・ファンタジーが、今、幕を開ける。

【本編45話にて完結】『追放された荷物持ちの俺を「必要だ」と言ってくれたのは、落ちこぼれヒーラーの彼女だけだった。』

ブヒ太郎
ファンタジー
「お前はもう用済みだ」――荷物持ちとして命懸けで尽くしてきた高ランクパーティから、ゼロスは無能の烙印を押され、なんの手切れ金もなく追放された。彼のスキルは【筋力強化(微)】。誰もが最弱と嘲笑う、あまりにも地味な能力。仲間たちは彼の本当の価値に気づくことなく、その存在をゴミのように切り捨てた。 全てを失い、絶望の淵をさまよう彼に手を差し伸べたのは、一人の不遇なヒーラー、アリシアだった。彼女もまた、治癒の力が弱いと誰からも相手にされず、教会からも冒険者仲間からも居場所を奪われ、孤独に耐えてきた。だからこそ、彼女だけはゼロスの瞳の奥に宿る、静かで、しかし折れない闘志の光を見抜いていたのだ。 「私と、パーティを組んでくれませんか?」 これは、社会の評価軸から外れた二人が出会い、互いの傷を癒しながらどん底から這い上がり、やがて世界を驚かせる伝説となるまでの物語。見捨てられた最強の荷物持ちによる、静かで、しかし痛快な逆襲劇が今、幕を開ける!

さんざん馬鹿にされてきた最弱精霊使いですが、剣一本で魔物を倒し続けたらパートナーが最強の『大精霊』に進化したので逆襲を始めます。

ヒツキノドカ
ファンタジー
 誰もがパートナーの精霊を持つウィスティリア王国。  そこでは精霊によって人生が決まり、また身分の高いものほど強い精霊を宿すといわれている。  しかし第二王子シグは最弱の精霊を宿して生まれたために王家を追放されてしまう。  身分を剥奪されたシグは冒険者になり、剣一本で魔物を倒して生計を立てるようになる。しかしそこでも精霊の弱さから見下された。ひどい時は他の冒険者に襲われこともあった。  そんな生活がしばらく続いたある日――今までの苦労が報われ精霊が進化。  姿は美しい白髪の少女に。  伝説の大精霊となり、『天候にまつわる全属性使用可』という規格外の能力を得たクゥは、「今まで育ててくれた恩返しがしたい!」と懐きまくってくる。  最強の相棒を手に入れたシグは、今まで自分を見下してきた人間たちを見返すことを決意するのだった。 ーーーーーー ーーー 閲覧、お気に入り登録、感想等いつもありがとうございます。とても励みになります! ※2020.6.8お陰様でHOTランキングに載ることができました。ご愛読感謝!

弟に裏切られ、王女に婚約破棄され、父に追放され、親友に殺されかけたけど、大賢者スキルと幼馴染のお陰で幸せ。

克全
ファンタジー
「アルファポリス」「カクヨム」「ノベルバ」に同時投稿しています。

隠して忘れていたギフト『ステータスカスタム』で能力を魔改造 〜自由自在にカスタマイズしたら有り得ないほど最強になった俺〜

桜井正宗
ファンタジー
 能力(スキル)を隠して、その事を忘れていた帝国出身の錬金術師スローンは、無能扱いで大手ギルド『クレセントムーン』を追放された。追放後、隠していた能力を思い出しスキルを習得すると『ステータスカスタム』が発現する。これは、自身や相手のステータスを魔改造【カスタム】できる最強の能力だった。  スローンは、偶然出会った『大聖女フィラ』と共にステータスをいじりまくって最強のステータスを手に入れる。その後、超高難易度のクエストを難なくクリア、無双しまくっていく。その噂が広がると元ギルドから戻って来いと頭を下げられるが、もう遅い。  真の仲間と共にスローンは、各地で暴れ回る。究極のスローライフを手に入れる為に。

解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る

早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」 解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。 そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。 彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。 (1話2500字程度、1章まで完結保証です)

無能な勇者はいらないと辺境へ追放されたのでチートアイテム【ミストルティン】を使って辺境をゆるりと開拓しようと思います

長尾 隆生
ファンタジー
仕事帰りに怪しげな占い師に『この先不幸に見舞われるが、これを持っていれば幸せになれる』と、小枝を500円で押し売りされた直後、異世界へ召喚されてしまうリュウジ。 しかし勇者として召喚されたのに、彼にはチート能力も何もないことが鑑定によって判明する。 途端に手のひらを返され『無能勇者』というレッテルを貼られずさんな扱いを受けた上に、一方的にリュウジは凶悪な魔物が住む地へ追放されてしまう。 しかしリュウジは知る。あの胡散臭い占い師に押し売りされた小枝が【ミストルティン】という様々なアイテムを吸収し、その力を自由自在に振るうことが可能で、更に経験を積めばレベルアップしてさらなる強力な能力を手に入れることが出来るチートアイテムだったことに。 「ミストルティン。アブソープション!」 『了解しましたマスター。レベルアップして新しいスキルを覚えました』 「やった! これでまた便利になるな」   これはワンコインで押し売りされた小枝を手に異世界へ突然召喚され無能とレッテルを貼られた男が幸せを掴む物語。 ~ワンコインで買った万能アイテムで幸せな人生を目指します~

収納魔法を極めた魔術師ですが、勇者パーティを追放されました。ところで俺の追放理由って “どれ” ですか?

木塚麻弥
ファンタジー
収納魔法を活かして勇者パーティーの荷物持ちをしていたケイトはある日、パーティーを追放されてしまった。 追放される理由はよく分からなかった。 彼はパーティーを追放されても文句の言えない理由を無数に抱えていたからだ。 結局どれが本当の追放理由なのかはよく分からなかったが、勇者から追放すると強く言われたのでケイトはそれに従う。 しかし彼は、追放されてもなお仲間たちのことが好きだった。 たった四人で強大な魔王軍に立ち向かおうとするかつての仲間たち。 ケイトは彼らを失いたくなかった。 勇者たちとまた一緒に食事がしたかった。 しばらくひとりで悩んでいたケイトは気づいてしまう。 「追放されたってことは、俺の行動を制限する奴もいないってことだよな?」 これは収納魔法しか使えない魔術師が、仲間のために陰で奮闘する物語。

処理中です...