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第31召喚 炎Cランクになってしまった
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彼女曰く、この世界にダンジョンが出現して以降、1番最初に設立されたのがあの封筒に記されていた『一の園』ギルドの事。
ギルド一の園はイヴ・アプルナナバを筆頭に、当時のまだ数少ないハンター達も皆彼女のギルドに所属しており、その時からハンター達は今と変わらないダンジョン攻略を行っていたそうだ。
この時代は当然今よりもハンターの人数が少なく、圧倒的にダンジョンやスキル、アーティファクトなど全てにおいて知識が不足していた。その為今とは違ってハンターの死亡や生存確率が極めて高く、毎日当然の如く誰かが犠牲となった。そんな先人達のかけがえのない努力と結晶が、アーサーのいる現代まで100年近く紡がれ、人類は遂に前人未到のフロア90まで到達したのだ。
無論、このダンジョンがどこまで続いているのか誰も分からない。しかし大昔に1度、ダンジョンは“フロア100”が頂きであると噂になった事があった――。
アーサーがいる現代においては、最早知る人ぞ知るお伽話のような感覚で伝わっている話である。アーサー自身もこれまでの人生で数回耳にした事がある程度だ。誰もこんな話を信じていない。
だが。
何でもこの噂の出元が他ならぬ、ギルド『一の園』のイヴ・アプルナナバかもしれないとの事。つまり、これはあくまでリリアの憶測であるが、彼女はこのダンジョンについて何か重要な事を知っている可能性がある。勿論それと同時に全くのデマという可能性も否めない為、どの道真相に辿り着くには彼女を探さねばならないという結論に至った。
「……という感じなのよアーサー君。どう? 少しは役に立てたかしら」
「いやいや、少しどころじゃないですよ。こんな貴重な話をありがとうございます! やっぱりイヴという人を探すのが全ての答えになりそうですね」
正直、昨日からずっとアーサーは今後について悩んでいたが、どうやら彼の気持ちは固まった様子だ。
「ちょっと! まだ話は終わっていないわよアーサー君。私をそこら辺の受付嬢達と一緒にしないでくれる?」
突如リリアはそう言うと、ドヤ顔でアーサーを見つめ直した。彼女の鋭い視線と魅惑の谷間が毎度の如くアーサーの理性を襲う。
「……と言いますと?」
「フフフ。はい、これあげるわ」
リリアは徐に1枚の紙切れを取り出してアーサーに渡した。
「そこに書いておいたわよ。イヴの“居所”」
「えッ!? 本当ですか!?」
余りに予想外の展開にアーサーは慌てて紙に視線を落とした。するとそこには“ツインマウンテン”という文字が。
「ツインマウンテン……。あんな山にいるんですか!?」
「そうみたいよ。とは言ってもその情報も確実ではないわ。ハンター評議会の上のおじ様達にちょっと聞いただけだから。普通に考えてあんな所に人がいるとも思えないし」
(ハンター評議会の上のおじ様……?)
一瞬リリアに聞こうか迷ったアーサーであったが、何となく止めておこうと思いそのまま口を閉ざしたのだった。
「あ、ありがとうございますリリアさん! 今度の休みに試しに行ってみます」
「あらそう。まぁアーサー君ならそう言うと思ったわ。でも気を付けてね。ダンジョン程ではないけど、あそこに生息するモンスターも多いから。
それにツインマウンテンは標高6,000mを超える山が2つ。モンスターの被害よりも“遭難”で死ぬ方がずっと多いから絶対に1人で行かないようにね。万が一の為に」
そう。
時と場合によってはダンジョンよりも危険であるツインマウンテン。国の最南端に位置する巨大な山であり、標高6,660mの山が2つ並んでいる有名な山だ。
リリアから情報を貰ったアーサーは一先ず今日分のフロア周回をし終えると、改めて炎Cランクの昇格テストを受けたいとリリアに告げて日程を調整してもらった。
**
それから2日後。
今度こそ昇格テストを受けたアーサーは見事合格。遂に彼は炎Cランクハンターとなったのだった――。
ギルド一の園はイヴ・アプルナナバを筆頭に、当時のまだ数少ないハンター達も皆彼女のギルドに所属しており、その時からハンター達は今と変わらないダンジョン攻略を行っていたそうだ。
この時代は当然今よりもハンターの人数が少なく、圧倒的にダンジョンやスキル、アーティファクトなど全てにおいて知識が不足していた。その為今とは違ってハンターの死亡や生存確率が極めて高く、毎日当然の如く誰かが犠牲となった。そんな先人達のかけがえのない努力と結晶が、アーサーのいる現代まで100年近く紡がれ、人類は遂に前人未到のフロア90まで到達したのだ。
無論、このダンジョンがどこまで続いているのか誰も分からない。しかし大昔に1度、ダンジョンは“フロア100”が頂きであると噂になった事があった――。
アーサーがいる現代においては、最早知る人ぞ知るお伽話のような感覚で伝わっている話である。アーサー自身もこれまでの人生で数回耳にした事がある程度だ。誰もこんな話を信じていない。
だが。
何でもこの噂の出元が他ならぬ、ギルド『一の園』のイヴ・アプルナナバかもしれないとの事。つまり、これはあくまでリリアの憶測であるが、彼女はこのダンジョンについて何か重要な事を知っている可能性がある。勿論それと同時に全くのデマという可能性も否めない為、どの道真相に辿り着くには彼女を探さねばならないという結論に至った。
「……という感じなのよアーサー君。どう? 少しは役に立てたかしら」
「いやいや、少しどころじゃないですよ。こんな貴重な話をありがとうございます! やっぱりイヴという人を探すのが全ての答えになりそうですね」
正直、昨日からずっとアーサーは今後について悩んでいたが、どうやら彼の気持ちは固まった様子だ。
「ちょっと! まだ話は終わっていないわよアーサー君。私をそこら辺の受付嬢達と一緒にしないでくれる?」
突如リリアはそう言うと、ドヤ顔でアーサーを見つめ直した。彼女の鋭い視線と魅惑の谷間が毎度の如くアーサーの理性を襲う。
「……と言いますと?」
「フフフ。はい、これあげるわ」
リリアは徐に1枚の紙切れを取り出してアーサーに渡した。
「そこに書いておいたわよ。イヴの“居所”」
「えッ!? 本当ですか!?」
余りに予想外の展開にアーサーは慌てて紙に視線を落とした。するとそこには“ツインマウンテン”という文字が。
「ツインマウンテン……。あんな山にいるんですか!?」
「そうみたいよ。とは言ってもその情報も確実ではないわ。ハンター評議会の上のおじ様達にちょっと聞いただけだから。普通に考えてあんな所に人がいるとも思えないし」
(ハンター評議会の上のおじ様……?)
一瞬リリアに聞こうか迷ったアーサーであったが、何となく止めておこうと思いそのまま口を閉ざしたのだった。
「あ、ありがとうございますリリアさん! 今度の休みに試しに行ってみます」
「あらそう。まぁアーサー君ならそう言うと思ったわ。でも気を付けてね。ダンジョン程ではないけど、あそこに生息するモンスターも多いから。
それにツインマウンテンは標高6,000mを超える山が2つ。モンスターの被害よりも“遭難”で死ぬ方がずっと多いから絶対に1人で行かないようにね。万が一の為に」
そう。
時と場合によってはダンジョンよりも危険であるツインマウンテン。国の最南端に位置する巨大な山であり、標高6,660mの山が2つ並んでいる有名な山だ。
リリアから情報を貰ったアーサーは一先ず今日分のフロア周回をし終えると、改めて炎Cランクの昇格テストを受けたいとリリアに告げて日程を調整してもらった。
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それから2日後。
今度こそ昇格テストを受けたアーサーは見事合格。遂に彼は炎Cランクハンターとなったのだった――。
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