魔力0の俺は王家から追放された挙句なぜか体にドラゴンが棲みついた~伝説のドラゴンの魔力を手に入れた俺はちょっと王家を懲らしめようと思います~

きょろ

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第五章 ~秘宝の眠る島(トレジャーアイランド)編~

80 落下の先

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――ズバッ!…………カン……。

「チッ!外した」

ランベルの攻撃はヒョロイの持つアイテムに当たらなかった。

硝煙で視界がままならない中、突如ランベルが出てきた為、全くの偶然であったが反射的にヒョロイはその攻撃を避けるのに成功した。

空を切ったランベルの剣は、図らずも横にいたボスの服を少し掠めただけであった。

「ガハハハッ!外したなガキ!今だヒョロイ!このままアイテム発動させろ!」

「りょ、了解!」

「やべッ」

ランベルが再度剣を振るう。
それとほぼ同時にヒョロイもアイテムを使おうとした次の瞬間―。

――ボガァァァンッッ!!

「「「――⁉⁉」」」

今までよりも大きい轟音が響いた刹那、今度は上でなく、地面が大きく割れて崩れ落ちていった。

「え⁉ 嘘⁉」

「おいまたかよッ……!」

悩む間もなく、その場にいた全員が地面と一緒に落下してしまった。

「キャッァァァ!」

「リエンナこっち!」

落下直後、ローラは何とかホウキを出して、落ちていくリエンナを見事キャッチした。

「助かりましたローラさん!」

「当たり前でしょ。それよりヤバいわ」

安心したのも束の間、ホウキに乗って落下は免れたものの、上から次々に岩の雨が降り注いでいる。
一発でも当たったら一溜りもない。ローラは落下してくる岩を上手く避けながら、落ちていったレイ達を追う。

「――またかよぉぉぉぉぉ!」

再び落ちるランベル。いや、ランベルだけでなく全員がもれなく落下中だ。勿論大量の金銀財宝も一緒に。

「どこまで深いんだよこの洞窟わぁぁぁ!」

どうにかして翼を出したかったレイだが、残念。今回はちょっと体勢が悪かった。まだ集中しないと上手く翼を出せないのだ。

「もうこれが最後だヒョロイ! 宝も出来るだけ多く持って、下に叩きつけられる前に移動だ!」

「了解ボス!」

三度目の正直。今度こそヒョロイは持っていた移動アイテムを発動させた。

――パァァァァァァ……!

「しまった……やられたッ!」

落下していく最中、ボス、ヒョロイ、コーデブの三人は消えてしまった。
その瞬間を確認したレイだが、どうにもこうにも今は何も出来る状態じゃない。
相も変わらず落ちていくレイとランベル。そしてズロース。二人と違って、こんな状況でもズロースは表情一つ変えずにいた。

どこまで落ちるんだと誰もが思っていると、ランベルが遂にその“終わり”を見つけた―。

「うあぁぁぁぁああぁぁ!!……っておい!……いつの間にか下が“海”だ!」

深い洞窟の一番底は海だった。
ドボンドボンと崩れた岩が海に落ちていく。それはまたレイ達も然り。

「これは良いのか悪いの分からッ……『――ドボォォンッ!!」

レイ、ランベル、ズロースも無事?海に着地した。

ここが本当に“海”だ助かった。もしただの水溜まりで底が“浅かった”ら、助かっていなかっただろう。
落下の勢いでかなり深く海へと沈んだが、すぐに海面へと姿を現したのだった。

――ザバンッ!

「――ぷはッ! 危っぶねぇ……何とか助かったぜ……」

「どうなってんだこの洞窟はよ……!」

海面から頭を出すレイとランベル。何とか地面直撃は免れたが、まだ上からは大量の岩の雨。
幸いな事に、数十メートル先に陸があるのを見つけたランベル。「レイ行くぞ」と、二人はその陸に急いで向かう。

「レイ危ないッ!!」

「――⁉」

洞窟内に響いたのはローラの声。
泳いで陸に向かっていたレイの頭上に、巨大な岩の塊が落ちてきていた。

「レイッ!!」

眼前まで迫った岩の塊に成す術なく、無意味ながらも、レイは反射的に両腕で顔をガードする事しか出来なかった。

「「レェェェイッ!!」」

ランベルとローラが同時に叫ぶ。リエンナはまさかの事にハッと目を見開き言葉を失っていた。
それと同時に、三人の脳裏に最悪なシナリオが過る。

“終わった―。

誰もがそう思った瞬間、予想だにしない事が起こった。

――ドパァァァンッッ!!

「大丈夫か少年」

レイにぶつかる直前、巨大な大岩が一瞬にして砕かれた。粉々になった岩の破片が辺りに勢いよく散る。
ついさっきまで眼前に迫っていた大岩は無くなり、代わりに目の前には体の大きいズロースの姿があった。

「ズロースさん……!」

「あ……ありがとう」

「それよりも早く陸に上がるぞ! このままでは生き埋めになる」

ズロースがそう言い、ランベルとレイも再び陸に急ぐのだった。

崩れ行く洞窟。降りしきる岩の雨。
何とか陸に上がりきったレイ、ランベル、ズロースの三人。ローラとリエンナもそこへ降り立った。

「大丈夫ですか皆さん」

「まぁ何とかな!」

「ズロースさん、危ない所をありがとう」

「ズロースさんって言うのか。俺はレイ。ありがとう!助かったよ」

「さっきも言ったが、兎に角今は逃げる事を優先に考えるんだ」

ズロースの言う通り、こうしている間にも洞窟はどんどん崩れ、最早逃げられそうな出口も道も無かったのだ。
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