花の下心

一

気になる彼は……

 あぁ今日も色気が凄い……

オフィスの椅子にかけて、パソコンのキーボードを打ちながら霜月 花はチラチラと視線を動かす。


目当ては同じ部署の一年後輩、鮎川亮介。25歳。


ハンサムな顔立ちに、スタイルの良い体型。

チャラそうで真面目。そこが大人しめな花にとっては惹かれる部分だった。

そしてまんまと、どハマり中だ……。




(でも絶対彼女いるんだろうな……)



花は小さくため息を吐くと、目の前の仕事に専念する。




……恋愛なんて、高校の時に1度彼氏が出来たぐらいで、それからは皆無。彼氏は欲しいけど、きっかけがないままズルズルとこの歳まで出来なかった。



そろそろ本気で欲しい。というか……SEXしたい。




「…………」



花はまたチラッと斜め右の方へ視線を向けると、向かい合わせでデスクの椅子に座っている亮介へキラキラとした眩しい視線を送った。


……あんな逞しい腕で抱き締められたい。荒々しく抱かれてみたい。好き……鮎川君、好き……。



でも、そんな事私の人生で起こる筈はない……。