女の子がほとんど産まれない国に転生しました。

さくらもち

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娘が誘拐された!(パパン目線)

唯一の子であり、至高の宝でもある娘が誘拐された。
相手は娘に無礼を働いたこの国の元第2王子で現在は王位継承を剥奪され辺境の離宮に幽閉が決まったのだが、移送直前の今日になって脱走したそうだ。
その話を知って慌ててお茶会に出かける娘を家から出ないようにと家に帰ると、既に出発後で、すぐに誘拐されたと報告があった。

頭が真っ白になったが、有能な執事が喝を入れてくれ、すぐに助け出すために動きだす。
幸い影でつけていた護衛がおり、伝言した者以外が娘を追いかけているそうなので、人員を集め急ぎ誘拐先に向かう。
貴族に逆らうと面倒だが娘の貞操には変えられない。
向かっている途中で婚約者候補の2人と何故か合流するが、公爵家の次男である彼が私にも内緒で影をつけていたらしく、報告を受けて慌てて駆けつけてくれた。
娘への溺愛故であるならば影はいくらでもいても良いので感謝しかないな。
表立って護衛していなかった事とかなりの数で押し寄せたそうなので加勢は断念して王子の手先の特定の為に現在は動いてくれているらしい。
たまたま公爵家に出向いていた子爵家嫡男の方も一緒に来てくれていたので、娘を大切にする2人が娘のために動いてくれていることは不謹慎ながらに喜ばしく思ってしまう。
王都からヤツらが出ていってから遅れること1時間、私達も王都を出るが、無事で居ることを祈るばかりだ。

「リオなら大丈夫ですよ。」
車の中で1人考え事をしているとふいに声をかけられる。
「ムルクル様」
「リオは賢いですからきっと私たちが助けに行くことを分かっていて時間を稼いでくれますよ。」
その言葉にハッとさせられる。
「そうですよ、リオならきっと。」
「セルジューク様」
「私たちに今できることは少しでも早くリオの元に行くことです。それと、義父上になられるので様は付けないでください。」
「私も同じく付けないで頂けると嬉しいです。」
「ではムルクル君、セルジューク君でもいいかな?」
娘が婚約者候補にあだ名をつけていたが、ムルクル君は推し、セルジューク君は癒し。
推しはよく分からなかったが(応援したくなる舞台俳優的なイメージだそうだ)この2人は娘の言う通りそんな感じがする。
このふたりは娘が見つけてきたのだが、見る目があると素直に感心する。
正直跡取り候補と思っていた男は思っていたようなヤツではなかったが他に適任もおらず娘とどう手網をとるかと話し合った事もある。ちなみにあだ名は財布だ。
もう1人は護衛の為に名目上でも夫となってもらう予定の男で娘次第ではあったが特に問題はなく序列下位の夫として迎え入れる予定だ。あだ名はそのままで護衛。

娘がいる建物の前に着いたが、様子がおかしい。
物の割れる音やなだめすかす声が外まで聞こえる。
「ふふ、リオかな?物を投げているのは。」
ムルクル君がふいに笑って言うが、普段の娘の様子を知っているだけに想像がつかなくて気がつかなかった。
「そうですね、必死な顔でワガママを言っているつもりで物を投げたりしてそうです。」
セルジューク君の言うことは、なんとなく想像出来るな。
「さあ、私たちの姫を助けに行きますか。」

なんとも頼もしい義理の息子たちだな。
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