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第ニ章
タラータ 第6話
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ロームルさんは従属条約を締結する為にカルッタ聖国に赴き、さっき帰って来たばかりだ。
帰って来るなり、いきなり授業モードに突入した。僕は今、王座に座りながらモニターに映されているものを懸命に記憶している。
「アルディマ卿も何を考えていらっしゃることのですか?『第370番代兵器』を使うのは禁忌であることはご存知な筈。」
「経緯に関してはロームル神殿長も知っていましょう?私がしたことの何がいけないのでしょうか?」
「無論、アルディマ卿がソルヤー共和国を滅ぼすと決めたことに関しては賛成しましょう。しかし、『第370番代兵器』を使う必要は本当にあるのかが疑問なのです。」
「私はそれがあると判断しました。」
ロームルさんが珍しく困った顔をしている。普段はずっとニコニコしながら話しているのに、今は額を右手で抑えながらため息をついている。
「ともあれ、軍の全権はは貴公に委ねられています。何より、これは陛下のご意思。否定しようなどとは思いませんし、思えません。ただ、これがどういった兵器なのかを陛下に説明します。」
モニターに映されているものが変わる。画面を埋め尽くす程の公式や、緻密で芸術的な絵と間違われそうな設計図が映し出される。
アルディマさんとナナーリアンさんは王座の部屋から礼をとって出て行った。
「簡潔に説明しましょう。『第300番代兵器』は俗に言う生物兵器です。ウィルスや細菌などを使った兵器のことを指します。
中でも、『第330番代』は屈指の凶悪さを誇ります。それを使わずに、『第370番代』を使ったということは、アルディマ卿はまだ理性が残っているようですね。」
なるほど、生物兵器か。
地球でも国際法で生物兵器の使用は禁じられている。核兵器・生物兵器・化学兵器の三つを大量殺戮兵器と呼び、全て禁止されている。
それを禁忌と言うのも納得がいく。
「勿論、これの利便性は否定しません。費用対効果が最も高い兵器の一つでもありますから。単純に敵兵の死亡数を見れば、これはかなり良い兵器でしょう。禁忌にしたのは、やむを得ない訳があったのです。」
あれ?なんか想像してた流れと違う。
あまりに惨い兵器だから、使わないようにしよう、とか。そんな理由じゃないの?話し方からして倫理道徳的な理由ではないように聞こえる。
「何かをするのに、何かをされる覚悟も持たなくてはなりません。当時、強力な生物兵器を持っている国は我が国だけではありませんでした。」
画面が再び変わる。今度はいくつかの国旗と国名が映し出された。
あっ、うちの国の名前もある。うちの国旗ってこんな感じなんだね。
「我が国以外にも、『アマツ六島連合』と『大昌皇朝』が生物兵器を持っていました。当時の国王であらせられるフィーレンボーゼ様は三国は互いに絶対に生物兵器を使わないように、条約を結びました。
ですので、生物兵器は開発こそされているものの、長い間使われたことは一度もありませんでした。効果に関しては、シミュレーションの結果しかありません。」
なるほど、開発したのはいいけど、使ったことは一度もない。強いて言うなら牽制に使われていると言えるだろう。
しかし、それを今使ったということは使われる口実になってしまうということを意味しないだろうか。
そんな僕の悩みを察知したかのように、いつものニコニコ顔でロームルが言葉を続ける。
「今は使われる心配はないでしょう。『大昌皇朝』は既に事実上の亡国。『アマツ連合』はヘルゴウン帝国との戦争に忙しいようですので、態々敵国を更に増やそうとはしないでしょう。」
ふう~、どうやら特に心配することはないようだ。もっとも、僕が心配しても役に立つようなことないと思われる。
「アルディマ卿がいきなり禁忌兵器を使ったのですから、慌ててこれに関する授業を用意しましたが、ご理解頂けたでしょうか?」
「問題ないです。今回はもうしょうがありませんが、次は使わないようにしたほうがよさそうですね。」
「流石は陛下。既にバテゲルイェーとソルヤーとの戦争が終わり、次の戦争が始まるところまで考えていらっしゃる。」
いや、そういうことを言いたい訳じゃないよ?なんとなく次の場合はどうこうという口癖を言っただけだから!そんなに先読みとかしている訳じゃないから!!
と、言えたら世界はどんなに素晴らしいものでしょうか?
「今回、アルディマ卿は『第370番代兵器』を使ったのですが、我が国の兵士か一般的に使っているのはこちらの『第750番代兵器』となります。」
画面が揺らぎ、今度は銃みたいな立体映像が映し出された……………かと思いきや、実体を持った本物の銃だった。
「戦場で使われることはないかと思いますが、使用方法を知って損はない筈です。
まず、『晶石』を込めます。後は引き金を引いて撃つだけです。『晶石弾』は中のエネルギーを発射させてできる物です。『晶石』が透明になったになった場合は『晶石』を交換しましょう。」
ロームルさんは『晶石』という物を銃に込めて笑顔で目の前の的を寸分違わぬ精度で撃ち抜く。
一発しか撃ってないじゃないか?と疑いそうになる程に寸分狂わずに。
僕はこの世界の銃の威力よりも、透明になった晶石を見つめていた。そして、ある名案を思いついた。
帰って来るなり、いきなり授業モードに突入した。僕は今、王座に座りながらモニターに映されているものを懸命に記憶している。
「アルディマ卿も何を考えていらっしゃることのですか?『第370番代兵器』を使うのは禁忌であることはご存知な筈。」
「経緯に関してはロームル神殿長も知っていましょう?私がしたことの何がいけないのでしょうか?」
「無論、アルディマ卿がソルヤー共和国を滅ぼすと決めたことに関しては賛成しましょう。しかし、『第370番代兵器』を使う必要は本当にあるのかが疑問なのです。」
「私はそれがあると判断しました。」
ロームルさんが珍しく困った顔をしている。普段はずっとニコニコしながら話しているのに、今は額を右手で抑えながらため息をついている。
「ともあれ、軍の全権はは貴公に委ねられています。何より、これは陛下のご意思。否定しようなどとは思いませんし、思えません。ただ、これがどういった兵器なのかを陛下に説明します。」
モニターに映されているものが変わる。画面を埋め尽くす程の公式や、緻密で芸術的な絵と間違われそうな設計図が映し出される。
アルディマさんとナナーリアンさんは王座の部屋から礼をとって出て行った。
「簡潔に説明しましょう。『第300番代兵器』は俗に言う生物兵器です。ウィルスや細菌などを使った兵器のことを指します。
中でも、『第330番代』は屈指の凶悪さを誇ります。それを使わずに、『第370番代』を使ったということは、アルディマ卿はまだ理性が残っているようですね。」
なるほど、生物兵器か。
地球でも国際法で生物兵器の使用は禁じられている。核兵器・生物兵器・化学兵器の三つを大量殺戮兵器と呼び、全て禁止されている。
それを禁忌と言うのも納得がいく。
「勿論、これの利便性は否定しません。費用対効果が最も高い兵器の一つでもありますから。単純に敵兵の死亡数を見れば、これはかなり良い兵器でしょう。禁忌にしたのは、やむを得ない訳があったのです。」
あれ?なんか想像してた流れと違う。
あまりに惨い兵器だから、使わないようにしよう、とか。そんな理由じゃないの?話し方からして倫理道徳的な理由ではないように聞こえる。
「何かをするのに、何かをされる覚悟も持たなくてはなりません。当時、強力な生物兵器を持っている国は我が国だけではありませんでした。」
画面が再び変わる。今度はいくつかの国旗と国名が映し出された。
あっ、うちの国の名前もある。うちの国旗ってこんな感じなんだね。
「我が国以外にも、『アマツ六島連合』と『大昌皇朝』が生物兵器を持っていました。当時の国王であらせられるフィーレンボーゼ様は三国は互いに絶対に生物兵器を使わないように、条約を結びました。
ですので、生物兵器は開発こそされているものの、長い間使われたことは一度もありませんでした。効果に関しては、シミュレーションの結果しかありません。」
なるほど、開発したのはいいけど、使ったことは一度もない。強いて言うなら牽制に使われていると言えるだろう。
しかし、それを今使ったということは使われる口実になってしまうということを意味しないだろうか。
そんな僕の悩みを察知したかのように、いつものニコニコ顔でロームルが言葉を続ける。
「今は使われる心配はないでしょう。『大昌皇朝』は既に事実上の亡国。『アマツ連合』はヘルゴウン帝国との戦争に忙しいようですので、態々敵国を更に増やそうとはしないでしょう。」
ふう~、どうやら特に心配することはないようだ。もっとも、僕が心配しても役に立つようなことないと思われる。
「アルディマ卿がいきなり禁忌兵器を使ったのですから、慌ててこれに関する授業を用意しましたが、ご理解頂けたでしょうか?」
「問題ないです。今回はもうしょうがありませんが、次は使わないようにしたほうがよさそうですね。」
「流石は陛下。既にバテゲルイェーとソルヤーとの戦争が終わり、次の戦争が始まるところまで考えていらっしゃる。」
いや、そういうことを言いたい訳じゃないよ?なんとなく次の場合はどうこうという口癖を言っただけだから!そんなに先読みとかしている訳じゃないから!!
と、言えたら世界はどんなに素晴らしいものでしょうか?
「今回、アルディマ卿は『第370番代兵器』を使ったのですが、我が国の兵士か一般的に使っているのはこちらの『第750番代兵器』となります。」
画面が揺らぎ、今度は銃みたいな立体映像が映し出された……………かと思いきや、実体を持った本物の銃だった。
「戦場で使われることはないかと思いますが、使用方法を知って損はない筈です。
まず、『晶石』を込めます。後は引き金を引いて撃つだけです。『晶石弾』は中のエネルギーを発射させてできる物です。『晶石』が透明になったになった場合は『晶石』を交換しましょう。」
ロームルさんは『晶石』という物を銃に込めて笑顔で目の前の的を寸分違わぬ精度で撃ち抜く。
一発しか撃ってないじゃないか?と疑いそうになる程に寸分狂わずに。
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