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第一章

イトネン 第1話

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 僕はイトネン・ヒグチ。二番目です。
 只今、僕はかつてないほど困惑してる。
 想像してみてほしい、何処かの大聖堂の中に、八人の神々しいオーラを纏った超絶美形が跪いてる、その対象は美少女のような少年である。
 その少年は誰か、僕である。

 この情景を目にしてなお正気を保てる方は、果たして居るのだろうか。ましてや僕はその対象である、気を確かに持てるはずがない。もし居るのであれば僕のところへ来てほしい、土下座でもしましょう。
 それくらいの事態だ。
 だから責めないでほしい、この時言った言葉を。
「あの、すみません、トイレはどこですか?」
 なんだ、この意味不明な発言は!いや、意味は分かる、わかりますよ!トイレに逃げたくなったんですよ!しょうがないじゃないですか!

「こちらです。」
 一人の美形が立ち上がり、僕が座っていた“玉座”?みたいから見て右にある扉まで案内してくれた。近未来と言わず、遠未来のオーバーテクノロジーで作られた扉。
 しかし、その向こうはあまりに、“現在”だった。というより、僕の前世の部屋だ。
 美形は扉の外で待っている、僕はこの身体に慣れていないため歩くのが少し大変。歩幅も目線の高さも目の大きさも何もかも違う。慣れている風景に慣れていない動き、なんだかちぐはぐだ。
 覚束ない足取りでやっとトイレの前に到着、さっき美少年で美少女でないと自分で言ったが、今ここで実証された。何がどうやってとは言わない、男性諸君なら分かるだろうこの安心感。嗚呼、ついてるという安心感。

 便器に座って感傷しているとピロリン~という音が鳴った。

 ピロリン~
『念話』が来ました。
 ▶︎出る
 ▶︎出ない

『出る』を選択する。

「ヤッホー、私ですよ~。元気にやってますか?
 新しい身体は気に入りました?使用感想を。」
 野生のギャグ神が現れた。
「モンスター扱いですか!?なんでみんなそろってギャグ神って呼ぶんですか!?打ち合わせでもしたんですか!?」
 見事な連続ツッコミ、さすがは神。
「それで褒められても嬉しくありませんよ!」

「新しい身体にはまだ慣れていません、もうちょっとカッコいい方にやらなかったんですか?
 確かに“美形になったらいいな~”とは思いましたが、こっち方面の美形ではありませんよ。」

「あぁ、それは僕の趣味ですので特に気になさらないでください。」
 なるほど、ギャグ神はショタコンであると。
「そうとも言えますね。」

「え、否定しないのですか?」
 ギャグ神らしからぬ返答だ。

「逆に聞きますが、どうして否定するのですか?どうしてくだらない嘘なんでつくんですか?
 あと、私はあなたの中でどういう存在…
 ギャァァアア、もう想像しないでください!私はそんなに汚らわしくないし、変態でもありません!」

「取り敢えずここから出ましょう。」
 ずっとズボンを下げたまま誰かと話す趣味はない。

「う~ん、弁明した方がいいような、しても無駄のような。」

「ギャグ神さん、これ『念話』なのにこっちの状況がわかるんですか?」

「あっ、これは『念話』と関係なく、私の力によって見えているだけです。」

「早速ですが、この状況を説明してください。」

「はい、もちろんしますよ。あなたがおかしなことをして話を変な方向に持っていかなければ、もっと早くできましたよ。」
 一番騒がしかったのはそちらの気がしますけど。
「それはあなたのせいでしょうが…」
 ギャグ神はハァーと深々とため息をして、何かに諦めたようだった。

「今の状況を説明しますよ。世界について説明するのはあなただけですよ。あなたは他の5名と違って、私が世界を指定したのですから特別です。」
 そういえばそんな話もあったな~。
「この世界の名は『フュルレイ』。簡単に言うとあなたは神になりました。おめでとうございます。あなたの眷属は『機族』、とても素晴らしい種族ですよ、『神力』さえあればいくらでも増やせる。あなたの勢力はこの世界の神の中では中堅レベル、弱くなければ強くもない。神はあなたを含めて合計7柱。他の神とは協力するのもよし、倒すのもよし、配下にするのもよし、吸収してしまうのもよしのなんでもあり。心赴くままにこの世を楽しんでください。」
 よく噛まずに一息で会えましたね。
「反応するのそこ!神になってるのに反応そこだけ!」

「流石と言うか、やはりと言うか……
 話を進めますよ、まずステータスを確認した方が良さそうですね。」

 頷いて確認する。
【ステータス】
 名前:イトネン・ヒグチ
 神格:5
 種族:人族
 メインジョブ:『神」
 管轄:未登録
 信者数:ーー
 眷属:機族
 眷属数:25468
 称号:『世界に愛されし者』 
 スキル:『精神同調』 『世界之門』 『言語LvMAX』 『大図書館』 『至高神の加護』 『収容魔法』 『念話』
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