5 / 45
第1章 仲間に会おう
癒し様の武勇伝
しおりを挟む
しかし、彼らは我らが癒し様に言ってはならない禁句を言ってしまった。
「おい!これはどういうことだ!」
「なんのことでしょうか?」
「アステイル鉱山だよ!うちのギルドの物だろ!」
『国家』システムが導入される前。
どの組織がどこを占拠しているかは明確に決められてはいなかった。
『有能な物は有能な者が居する。』
それが暗黙の了解となった。
ギルド本拠地周辺の、資源地・採掘場・都市はそのギルドの物だけど。
それ以外は基本的にはフリー。
欲しければ力ずくで奪って、力が足りなければ諦める。
けれど、どうしても、それが理解しないアホが出て来る。
まだギルド『ラーメン美味しいよ』だった時代。
アルテイル地方の鉱山を巡って、そのアホどもと主人公のギルドが衝突した。
話によれば、そのギルド『インフィニティ』はずっと前からその地方の鉱山で鉱石を採掘していたらしい。
ここまでは分かる。
主人公のギルドも、先客がいるなら譲歩はするという方針に決めた。
完全に手を引くことは最初から考えてはいない。
その鉱山は当時、かなりの希少価値を持っていた山銅や秘銀を産出していた。それもかなりの量で。
だから、そこを手放すのはどう考えても無理があった。
何よりの決め手は『インフィニティ』は名前負けのギルドで、大して強くはなかった。
主人公達も、強ギルドが弱ギルドに譲歩しているから、大丈夫だろうと思った。
ここからが『インフィニティ』をアホどもと呼んでいる所以が出てくる。
あろうことか、うちに戦争を売ってきた。
それも、ギルドマスター間の個別メールではなく、ワールドチャンネルで派手に宣伝して。
そして、当然と言えば当然だが、主人公達が勝って、相手は負けた。当たり前だ。
さて、ここで終わらせてあれば、只のアホで終わったが、どうやら世にも珍しいアホだったよう。
よはや、あり得ないという域に達しているスーパーアホどもは課金アイテムを使って、なんと全サーバーチャンネルで自分達は虐められていると訴えた。
冗談じゃない。そもそもこんなことに課金するのであれば、主人公達との戦争に使えば良いものを。
全サーバーチャンネルは二十四時間体制で運営が目を光らせている。
不適切な発言があれば即座に○○○に置き換えられる。
ただし、相手が相手だ。
彼らはそんなことなど眼中になかった、もとい脳中になかったらしい。
「どうせお前らなど○○○の○○○○○だろうが!
昼間から○○○○とか○○○○○ばっかしてだろ!」
運営が二十四時間巡回しているからすぐに修正がかかったものの、その場にいた主人公達は数秒間の猶予があれば、何が書いてあるかをわかってしまう。
作者:修正部分を出してしまいますと、消されますのでご勘弁を。
その言葉は全サーバーのほぼ全員を怒らせてしまった。主人公達も当然激怒した。
皆どうやって『インフィニティ』をブチのめそうかと意見交換している時。
「皆さん、ちょっと出掛けます。」
スパゲッティさんの職業は『聖賦与霊師』。
『霊師』というのは、バフやデバフをかけることを専門とするサポート職業。
はっきり言って戦闘向きではない。
戦闘時も、スパゲッティさんはバフを味方にかけたり、敵にデバフをかけたりするだけだった。
ソロで戦っている姿を見た者は少数、ほとんどの人はスパゲッティさんを呼び止めた。
このタイミングで出掛けるということは、殴り込み以外に目的があるはずがない。
しかし、スパゲッティさんと付き合い深い『蕎麦大盛り』さんは苦笑いしながら「いってらっしゃい」と言っただけであった。
勿論、みんな心配だから、その時ログインしているメンバー全員が殴り込みに随伴して行った。
そこで見た光景は衝撃的なものだった。
『シェラン戦記』バーチャルリアリティ・フルダイバーゲームである。
場所をとる機械を必要とせず、ヘルメットをパソコンにつなげてコンセントを挿すだけの簡単設置。
従来の…
失礼、職業病でつい、セールストークをしてしまいました。
とにかく、スパゲッティさんはハンパなく強かった。そして、戦い方がめちゃくちゃだった。
相手が横切りかかった時、相手の肘に『遅延』をかけ、手に『加速』をかける。
あら不思議、関節が動かない、そして手が異常に速くなる。剣が自分の方にグサリ。
敵の『魔術士』、『魔法使』、『ガンナー』が超広範囲の『技能』攻めと来れば、『時間停止』を身の回りの空気にかけて防御。
本来、『時間停止』はほぼ没スキルである。
詠唱時間が長い、範囲が狭い、範囲内に対象がいなければ使えない。
しかし、かける対象は空気。そんなこと御構いなしである。
驚愕すべきことに、スパゲッティさんだけで、一つのギルドを壊滅させてしまった。
「おい!これはどういうことだ!」
「なんのことでしょうか?」
「アステイル鉱山だよ!うちのギルドの物だろ!」
『国家』システムが導入される前。
どの組織がどこを占拠しているかは明確に決められてはいなかった。
『有能な物は有能な者が居する。』
それが暗黙の了解となった。
ギルド本拠地周辺の、資源地・採掘場・都市はそのギルドの物だけど。
それ以外は基本的にはフリー。
欲しければ力ずくで奪って、力が足りなければ諦める。
けれど、どうしても、それが理解しないアホが出て来る。
まだギルド『ラーメン美味しいよ』だった時代。
アルテイル地方の鉱山を巡って、そのアホどもと主人公のギルドが衝突した。
話によれば、そのギルド『インフィニティ』はずっと前からその地方の鉱山で鉱石を採掘していたらしい。
ここまでは分かる。
主人公のギルドも、先客がいるなら譲歩はするという方針に決めた。
完全に手を引くことは最初から考えてはいない。
その鉱山は当時、かなりの希少価値を持っていた山銅や秘銀を産出していた。それもかなりの量で。
だから、そこを手放すのはどう考えても無理があった。
何よりの決め手は『インフィニティ』は名前負けのギルドで、大して強くはなかった。
主人公達も、強ギルドが弱ギルドに譲歩しているから、大丈夫だろうと思った。
ここからが『インフィニティ』をアホどもと呼んでいる所以が出てくる。
あろうことか、うちに戦争を売ってきた。
それも、ギルドマスター間の個別メールではなく、ワールドチャンネルで派手に宣伝して。
そして、当然と言えば当然だが、主人公達が勝って、相手は負けた。当たり前だ。
さて、ここで終わらせてあれば、只のアホで終わったが、どうやら世にも珍しいアホだったよう。
よはや、あり得ないという域に達しているスーパーアホどもは課金アイテムを使って、なんと全サーバーチャンネルで自分達は虐められていると訴えた。
冗談じゃない。そもそもこんなことに課金するのであれば、主人公達との戦争に使えば良いものを。
全サーバーチャンネルは二十四時間体制で運営が目を光らせている。
不適切な発言があれば即座に○○○に置き換えられる。
ただし、相手が相手だ。
彼らはそんなことなど眼中になかった、もとい脳中になかったらしい。
「どうせお前らなど○○○の○○○○○だろうが!
昼間から○○○○とか○○○○○ばっかしてだろ!」
運営が二十四時間巡回しているからすぐに修正がかかったものの、その場にいた主人公達は数秒間の猶予があれば、何が書いてあるかをわかってしまう。
作者:修正部分を出してしまいますと、消されますのでご勘弁を。
その言葉は全サーバーのほぼ全員を怒らせてしまった。主人公達も当然激怒した。
皆どうやって『インフィニティ』をブチのめそうかと意見交換している時。
「皆さん、ちょっと出掛けます。」
スパゲッティさんの職業は『聖賦与霊師』。
『霊師』というのは、バフやデバフをかけることを専門とするサポート職業。
はっきり言って戦闘向きではない。
戦闘時も、スパゲッティさんはバフを味方にかけたり、敵にデバフをかけたりするだけだった。
ソロで戦っている姿を見た者は少数、ほとんどの人はスパゲッティさんを呼び止めた。
このタイミングで出掛けるということは、殴り込み以外に目的があるはずがない。
しかし、スパゲッティさんと付き合い深い『蕎麦大盛り』さんは苦笑いしながら「いってらっしゃい」と言っただけであった。
勿論、みんな心配だから、その時ログインしているメンバー全員が殴り込みに随伴して行った。
そこで見た光景は衝撃的なものだった。
『シェラン戦記』バーチャルリアリティ・フルダイバーゲームである。
場所をとる機械を必要とせず、ヘルメットをパソコンにつなげてコンセントを挿すだけの簡単設置。
従来の…
失礼、職業病でつい、セールストークをしてしまいました。
とにかく、スパゲッティさんはハンパなく強かった。そして、戦い方がめちゃくちゃだった。
相手が横切りかかった時、相手の肘に『遅延』をかけ、手に『加速』をかける。
あら不思議、関節が動かない、そして手が異常に速くなる。剣が自分の方にグサリ。
敵の『魔術士』、『魔法使』、『ガンナー』が超広範囲の『技能』攻めと来れば、『時間停止』を身の回りの空気にかけて防御。
本来、『時間停止』はほぼ没スキルである。
詠唱時間が長い、範囲が狭い、範囲内に対象がいなければ使えない。
しかし、かける対象は空気。そんなこと御構いなしである。
驚愕すべきことに、スパゲッティさんだけで、一つのギルドを壊滅させてしまった。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
5
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる