ティーシェラン戦記

ニコニ

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第3章 軍を強化しよう

予算の問題は問題ない。

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 「ナポリタンさん、軍の予算を三倍にしてくれ。」

 「へっ!?」

 主人公は一瞬、「こいつ何言ってんの?」と口走りそうになるのを我慢して、しばらく考え込む。

 「破亜斗さん、メッチャ真剣なオーラを発していましたが、要件はそれだけじゃないですよね?」

 主人公は思った、もしこの問いに肯定の回答が返ってきたら…

 「それだけだが?寧ろこれ以上のことがあるのか?」

 「なるほど、そうですか。」

 一息ついて、満面の笑みを浮かべる。ガソゴソととメニュー画面をタップし、自分が愛用している武器を装備する。

 主人公はチートアイテムを所持しているため、『暗影刺客』と『聖弓士』の、二つの職業を同時に使うことができる。
 ダガーナイフはアサシン系と盗賊系、スカウト系の武器で、弓矢は一般的にアーチャ系しか装備できない。

 だが、主人公は違う。
 両方の職業を同時に使える為、タガーナイフを矢のように弓で放つという、離れ業もできてしまう。

 「破亜斗さん、オレの心配とある意味のドキドキを返しやがれ!こんチクショョョオオオオオオ!!!」
 
 「おお!急にどうした!?」

 矢と化したタガーナイフは破亜斗さんに直撃する。
 しかし、『重装甲士』のバカげた防御力が立ちはだかる。
 結果、タガーナイフ、玉砕。
 チーーーン。

 「仲間に対する攻撃は良くないぞ。なんで急に武器を構えて攻撃する?
 ここは戦艦の整備倉庫なんだから、鎧も何も装備してない。フル装備はともかく、裸同然の仲間にそれは良くないぞ。
 そもそも、流れ弾が戦艦に当たったらどうする?」

 ここが破亜斗さんの強みの一つである。
 一見何も考えずにぶっ飛んでいるように見えなくもないが、ちゃんと理解すべきことば理解している。
 道徳と倫理の至高点を押さえ、完全なる理屈の盾と矛を装備する。

 (あ~、これはやっちまったな。)

 「申し訳ありません、オレもついカッとなって攻撃してしまいました。
 ここには絶対に攻撃傷つけてはならない大切な戦艦ばかりというのに……」

 「次からは気をつけてな。にしても、何に怒ってんだ?」

 「破亜斗さんのような軍事バカには分からないかもしれませんが、普段はバカしかやってない人が真剣な顔になどなったら、焦るものです。
 国の第一バカのあなたが、そんな顔をしたら、焦りまくるに決まってるじゃないですか。
 心配して、心配して、何事かと思って聞いてみたら些末なことだったら怒りもしますよ。」

 「バカ多くね?それは良いとして、いや良くないけど。
 えっと、そのう……」

 破亜斗さんはバカばっかりやっているから、困惑している様子は真剣な顔よりもレア度が高い。
 主人公も初めて見る顔だった。

 「予算を三倍も、あげることが些末、なのか?」

 破亜斗さんは恐る恐るといった感じで伺う。
 「これもレア度が高いな」などしょうもないことを主人公は心の中で考える。
 そして、問いに秒で答える。

 「今の軍部の予算から考えれば、大したことではないですね。
 もちろん、三倍ですから。予算案を審議して、書きかえる必要があるでしょう。
 でも、『税率』を上げる程じゃないですし、ラーさんに言うまでもなく、オレの独断でなんとかなる程度ですから。」

 「そうなのか?ってもしかして軍部、実は予算方面からイジメられてた?予算は実は半分しか回って来てないから三倍にしても大丈夫的な?予算着服してた?」

 ピシ、パシ、パリン!
 プチ、キュ、プッチン!

 何かが崩壊し、何かが途切れた。
 何が崩壊したのだろう、主人公の道徳の壁である。
 何が途切れたのだろう、主人公の倫理の縄である。

 理屈と大義が通用するのは文明を享受する者だけ、野蛮な者に通用しないし、向こうは何故それが武器になり得るのか分からない。

 ここに野生に回帰した主人公一匹?一頭?一体?一名?が爆誕。

 「やっぱ死ねねねねえぇぇえええぇぇぇ!!!!」

 「なっ!ここは艦隊整備倉庫だぞ!」

 「アンタが整備した戦艦がこんな攻撃でどうにかなるわけないだろろろおおぉおおぉぉぉ!!」

 「それもそうだな!」



 数時間後。
 「で、こうなってしまったということですが、そこのバカはともかく、なんであなたも一緒にやってるんですか!」

 大きな物音が聞こえたから駆けつけた舞雷九さんが来て、正座中のバカ2名。

 「予算を着服したと言われた。」

 どうやら主人公は謝る気は無い様子。
 寧ろ、自分こそは被害者であるかの振る舞い。当然、これから起こることは決まっていた。

 「コラァァァァ!!この愚弟!!!ナポリタンさんに何言ってくれとんじゃぁぁぁぁ!!!」

 舞雷九さんは見事な回し蹴りを破亜斗さんに食らわし、破亜斗さんもまた、綺麗に壁に刺さってしまった。
 『玉座の間』でも決めたように、綺麗に刺さるには何がコツでもあるだろうか。
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