かずのこ牧場→三人娘

パピコ吉田

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第十七話 偽かずのこ撃退作戦

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根子:とりあえず、数鋸くんの気持ちは後で聞くとして、さっきのやつをどうにかしないと。
 
美留來:そうだよね・・何か良い方法ないのかな。
 
花音:うーん。
 
根子:それじゃ、私の方は同級生の知り合いの弁護士に聞いてみてあげる。
 
びす子:じゃ、こっちは勅使河原家の方であいつの身元調査してみる。
 
花音:根子さん、びす子ありがとう。
 
美留來:私はお兄ちゃんの気持ちを探ってみるけど期待しないで。
 
花音:それは無理に聞かなくて良いから。
 
びす子:よし!『偽かずのこ撃退作戦』を今から発動だ!
 
美留來:うん!
 
 びす子と美留來が立つと二人とも右手を前に伸ばすと、根子も立ち上がり二人の手の上に右手を重ね、それを見た花音が慌てて立って三人の手の上に右手を重ねた。
 
びす子:あいつなんかに負けるな!
 
美留來:花音ファイト!
 
根子:私達がついてるからね!
 
花音:うん、ありがとう。
 
 全員で気合を入れるとその日は解散となった。
 
 後日、根子から連絡が入り、蔵カフェで弁護士と打ち合わせする事になった。
 
 弁護士と縁がなかった花音は緊張しながら待っていた。
 
 約束の時間になるとスーツ姿の男性が店の中に入って来た。
 
 花音が座っているテーブルまで来ると胸元から名刺を取り出した。
 
立浪:はじめまして。立浪弁護士事務所代表の立浪です。大滝花音様ですよね。本日はよろしくお願いします。
 
 花音:こちらこそよろしくお願いします。
 
 花音は慌てて立ち上がり名刺を受け取っていると厨房から根子がやって来た。
 
根子:立浪、今日はよろしく。私の妹みたいな子なのでちゃんと話を聞いてあげてね。
 
立浪:勿論、きちんとお仕事はさせて頂きますよ、
 
根子:ありがとう。今コーヒー持って来るから二人とも話進めてて。
 
立浪:では、立ち話でもなんですから座りましょうか。
 
花音:はい。
 
立浪:大体のお話は根子からお聞きしましたが、ご本人様から直接お話を聞く為に本日お時間を頂戴する形となりました。

花音:はい。
 
立浪:では、根子から聞いた話を最初からお話ししますので間違っていたり、付け加える事が御座いました仰って下さい。
 
花音:分かりました。
 
 そこへ根子がコーヒーを運んで来た。

根子:花音ちゃん大丈夫?緊張しすぎよ。リラックスリラックス。
 
花音:は、はい。
 
立浪:弁護士と話す事なんて一般の方は少ないでしょうから緊張しますよね。
 
花音:はい、初めてです。
 
立浪:私の事はお友達だと思って接して下さればと思います。

根子:うん。だから、気軽に話してね。
 
花音:はい。それを聞いてなんだが緊張がほぐれました。
 
根子:良かった。じゃ後はお願いね。
 
立浪:了解。では、始めますね。
 
 立浪は根子から聞いた話をゆっくり丁寧に花音に確認を取りながら何が問題なのかをピックアップしていた。
 
立浪:式場はキャンセルは済み、婚約指輪は貰ってないで合ってますか?
 
花音:はい。
 
立浪:物理的な金額面では問題はなさそうですが、相手に非が無い場合に一方的に婚約破棄や式場をキャンセルするなどは心理的なダメージを被るとして慰謝料が発生する事はあります。
 
花音:そうですか・・。
 
立浪:ですが、相手の方からモラハラやDVを受けるなど何かしらある場合は慰謝料を払う必要はございません。
 
花音:なるほど。
 
立浪:花音様からの話ですと、相手が半ば強引に婚約、式場予約、両親との顔合わせをさせらたという事で合ってますか?
 
花音:はい。それに和孝さんは私の両親に一度も会ってませんし、結婚の事も話していませんでした。
 
立浪:こういう方は相手の女性が特に拒否しなかったらと言ってくる場合が御座います。
 
花音:そ、それはデートする場所を和孝さんが式場にしたり、すぐ予約する訳じゃないからとか言われて、そのままドレスを試しに着ただけなんです。
 
立浪:ふむ。
 
花音:そ、それにまさかその時に和孝さんのご両親が来るとも思わなかったし、帰るに帰れなくなったんです。
 
根子:花音ちゃんが断れない子だと分かっててやってたんだわそいつ。悪質ね。どうにかならないの?
 
 こっそり離れて聞いていた根子が苛立った様子で横のテーブルから椅子を持って来て花音の隣に座った。
 
立浪:そうだな。勅使河原さんの方で身元調査してるんだっけ?
 
根子:びす子ちゃんが調べるって言ってたわ。
 
立浪:その結果次第かな。相手がすぐに裁判とか騒がなければ良いが・・。
 
根子:そこはどうなんだろうね。花音ちゃんは何か言い残した事ない?
 
花音:だ、大丈夫です。
 
立浪:では、今日はこの辺で。また進展がありましたらこちらから連絡します。お疲れ様でした。
 
花音:ありがとうございました。根子さんも。
 
根子:うん。早く解決しないとね。立浪よろしくね。
 
立浪:了解。コーヒー美味しかったよ。じゃ。
 
 立浪は花音に軽く会釈するとお店を出て行った。
 
つづく
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