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羞恥心のブルース
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あれは、私がまだ高校生だったころ──。
一番の楽しみといえば、仲の良い友人と麻雀をすることだった。麻雀といえば、賭け麻雀をアナタは想像するかもしれないが、私達の麻雀とは、最下位の人が一位の人にアイスをおごるという、非常にかわいいものであった。
そんなある日、いつものように、友人宅で麻雀をしていると、そのうちの一人が突然こんな事を言い出したのである。
「最下位の人に、なんか罰ゲームをやって貰おうぜ」と。
いつもアイスばっかりだったので、そろそろ飽きてきたのだろう。そして、その罰ゲームを内容を聞いた私は、びっくらたまげてしまう事となってしまうのである。
その罰ゲームの内容とは──。
【罰ゲーム】
・場所…コンビニ
・ターゲット…女子バイト
・買う物…エロ本
【ミッション】
コンビニに入り、成人雑誌コーナーでエロ本を物色後、女子バイトに「すいません、これよりエロい本はありますか?」と質問する。
という、非人道的な、思春期まっ盛りの男子にとって致命的ダメージを与える、だがエロ本は手に入って嬉ピーみたいな、ジレンマ的罰ゲームであった。
私は麻雀が強くない。ていうか弱い。実はこの時も、連続最下位記録を更新中だったのだ。
だが、この戦いばかりは「負けるわけにはいかねえ」と思っていた。
そして、数時間にわたる激闘の末──。
私は見事に、最下位となってしまった。罰ゲーム決定である。
神様……私が何か悪いことをしたでしょうか。
一日三回の自慰行為は、多すぎたでしょうか。
女性のブラ線をガン見していたのが、いけなかったのでしょうか。
18禁のビデオを観たのは、そんなにヤバイことだったのでしょうか。
とかなんとか思っているうちに、ミッションは開始を迎えてしまうのであった。
私は今、ミッションを遂行するべくコンビニの前にいる。そして少し離れた所で、麻雀仲間が私を監視している。
私は「やっぱ止めない?」とのサインを送ったが、麻雀仲間は「ダメだ早くいけ」とのサイン。私はこの時、殺人を犯す人の気持ちがわかったような気がしていた。
母さん……私は今から、女の子の目の前でエロ本を買います。
公然で羞恥プレイです。もしかしたら、変態の容疑で警察のご厄介になり、鑑別所に送られ、精神鑑定をうけるかもしれません。
最後まで親不孝な息子で、ごめんなさい。
そう思いながら、私はコンビニの自動扉へと向かったのであった。
ウィーンという自動扉の音が、私の頭のスイッチを切り替えた。
もうやるしかないんだな。そう思いながら、レジにいる女子バイトに目をやった。
「……………!」
か、可愛い……。
ちくしょう! 可愛いじゃねえか! 女子バイト! はっきり言って、好みのタイプだぜ! ウハハーッ!
……待て待て、落ち着け俺。
俺は今から、あの可愛い女子バイトのレジで“エロ本を買わなければならない”のだぞ。
しかも「これよりエロい本はありますか?」と、質問せねばならないのだぞ。
私はとりあえず店内を一周した。その際に、成人雑誌の棚にあるエロ本を確認。その姿はまるで、意味なくウロウロしている、動物園のシロクマのようだったであろう。
客は私一人。レジには可愛い女子バイト一人。
やるなら今だ!
頑張れ俺!
しずまれ下半身!
意を決した私は、エロ本を一冊むんずと掴み、レジへと一目散に駆け寄った。そして可愛い、ていうか結婚したい女子バイトに向かって、言い放ったのである。
「こ、こ、これよりエロいのありますか?」と。
すると、女子バイトの顔色が一気に曇り、まるで汚いものを見るかの如く、こう言い放ったのだ。
「知らん!」
うん、そうだ! そらそうだよねー! だって知ってたら、ある意味スゲーじゃん! 間違ったことは言ってないよな、うん。
結局私は、最初に手に取ったエロ本を購入し、コンビニの出口へと向かった。イマイチすっきりしない結果に終わったように思えるが、私自身はそうではなく、これまでにない達成感に満たされていた。
出口に差し込んでいた陽射しが、とてもまぶしかった。
父さん……今日の私の姿を、父さんにも見せたかった。
アナタの息子は、こんなにも大人になりました。
もう私に、羞恥心はありません。
父さんならきっと、こう言ってくれるでしょう。
「お前こそ、真の夜の四番バッターだ」と。
父さん……俺、打つよ!
今夜は場外ホームランだ!
そして今現在、私はレンタルショップの女の子の前で、いかがわしいDVDを、何食わぬ顔で五本借りるまでに成長した。
私の羞恥心は、あのコンビニに置いたままだ。
一番の楽しみといえば、仲の良い友人と麻雀をすることだった。麻雀といえば、賭け麻雀をアナタは想像するかもしれないが、私達の麻雀とは、最下位の人が一位の人にアイスをおごるという、非常にかわいいものであった。
そんなある日、いつものように、友人宅で麻雀をしていると、そのうちの一人が突然こんな事を言い出したのである。
「最下位の人に、なんか罰ゲームをやって貰おうぜ」と。
いつもアイスばっかりだったので、そろそろ飽きてきたのだろう。そして、その罰ゲームを内容を聞いた私は、びっくらたまげてしまう事となってしまうのである。
その罰ゲームの内容とは──。
【罰ゲーム】
・場所…コンビニ
・ターゲット…女子バイト
・買う物…エロ本
【ミッション】
コンビニに入り、成人雑誌コーナーでエロ本を物色後、女子バイトに「すいません、これよりエロい本はありますか?」と質問する。
という、非人道的な、思春期まっ盛りの男子にとって致命的ダメージを与える、だがエロ本は手に入って嬉ピーみたいな、ジレンマ的罰ゲームであった。
私は麻雀が強くない。ていうか弱い。実はこの時も、連続最下位記録を更新中だったのだ。
だが、この戦いばかりは「負けるわけにはいかねえ」と思っていた。
そして、数時間にわたる激闘の末──。
私は見事に、最下位となってしまった。罰ゲーム決定である。
神様……私が何か悪いことをしたでしょうか。
一日三回の自慰行為は、多すぎたでしょうか。
女性のブラ線をガン見していたのが、いけなかったのでしょうか。
18禁のビデオを観たのは、そんなにヤバイことだったのでしょうか。
とかなんとか思っているうちに、ミッションは開始を迎えてしまうのであった。
私は今、ミッションを遂行するべくコンビニの前にいる。そして少し離れた所で、麻雀仲間が私を監視している。
私は「やっぱ止めない?」とのサインを送ったが、麻雀仲間は「ダメだ早くいけ」とのサイン。私はこの時、殺人を犯す人の気持ちがわかったような気がしていた。
母さん……私は今から、女の子の目の前でエロ本を買います。
公然で羞恥プレイです。もしかしたら、変態の容疑で警察のご厄介になり、鑑別所に送られ、精神鑑定をうけるかもしれません。
最後まで親不孝な息子で、ごめんなさい。
そう思いながら、私はコンビニの自動扉へと向かったのであった。
ウィーンという自動扉の音が、私の頭のスイッチを切り替えた。
もうやるしかないんだな。そう思いながら、レジにいる女子バイトに目をやった。
「……………!」
か、可愛い……。
ちくしょう! 可愛いじゃねえか! 女子バイト! はっきり言って、好みのタイプだぜ! ウハハーッ!
……待て待て、落ち着け俺。
俺は今から、あの可愛い女子バイトのレジで“エロ本を買わなければならない”のだぞ。
しかも「これよりエロい本はありますか?」と、質問せねばならないのだぞ。
私はとりあえず店内を一周した。その際に、成人雑誌の棚にあるエロ本を確認。その姿はまるで、意味なくウロウロしている、動物園のシロクマのようだったであろう。
客は私一人。レジには可愛い女子バイト一人。
やるなら今だ!
頑張れ俺!
しずまれ下半身!
意を決した私は、エロ本を一冊むんずと掴み、レジへと一目散に駆け寄った。そして可愛い、ていうか結婚したい女子バイトに向かって、言い放ったのである。
「こ、こ、これよりエロいのありますか?」と。
すると、女子バイトの顔色が一気に曇り、まるで汚いものを見るかの如く、こう言い放ったのだ。
「知らん!」
うん、そうだ! そらそうだよねー! だって知ってたら、ある意味スゲーじゃん! 間違ったことは言ってないよな、うん。
結局私は、最初に手に取ったエロ本を購入し、コンビニの出口へと向かった。イマイチすっきりしない結果に終わったように思えるが、私自身はそうではなく、これまでにない達成感に満たされていた。
出口に差し込んでいた陽射しが、とてもまぶしかった。
父さん……今日の私の姿を、父さんにも見せたかった。
アナタの息子は、こんなにも大人になりました。
もう私に、羞恥心はありません。
父さんならきっと、こう言ってくれるでしょう。
「お前こそ、真の夜の四番バッターだ」と。
父さん……俺、打つよ!
今夜は場外ホームランだ!
そして今現在、私はレンタルショップの女の子の前で、いかがわしいDVDを、何食わぬ顔で五本借りるまでに成長した。
私の羞恥心は、あのコンビニに置いたままだ。
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