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うん、私、腐ってる気がする
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彼氏が欲しいという願いを込めて、出会い系サイトに登録した。
やり方は簡単だった。めぼしい相手にメールを送り、返信がある。ただそれだけ。
そんな、空虚なメールのやり取りを繰り返していると、私の身体はつま先から徐々に腐っているように感じる。
「どんなタイプが好き?」
「写メ送って」
「趣味は何?」
要求されたことに従うだけ。それで、今の寂しい生活から抜け出せたらいいと思い、私はご主人の命令に従い続けた。
「お帰りなさいませご主人さま」
なんか違うような気がする。
私は、その中の一人と会う約束をした。目印は、彼が緑が好きだというのでガチャピンの格好をしてきてもらい、私は赤が好きだということでムックの格好をすることになった。
なぜか、何の疑いもなく決まった。
うん、私、確実に腐ってる。
ムックの格好は楽勝で確保できた。
野生のムックが生息する鳥取砂丘まで出向き、好物であるポンデリングをちぎって撒き散らした。そして、匂いに誘われたムックが巣穴から出てきたところを、バットでフルスイング。
天に召されたムックの皮を剥ぎ取ったらそれで終了。ムックの肉は、高値がつくので競りに出し、キロ一万三千円で取引を終え、これぞまさに一石二鳥。
「バットはやっぱりミズノだな」そう思った。
当日、私はムックの格好をして待ち合わせ場所であるガストにいる。
ビックリしたウエイトレスが注文を聞きにきたが、「ガチャピンと待ち合わせてる」と言うと、妙に納得した顔をされた。
私は、何食わぬ顔で出された水を飲んだ。
「ポンキッキって何でもアリか?」そう思った。
しばらくすると、ガチャピンがやってきた。私の待ち合わせ相手である。
彼は、真っすぐと私の元へ駆け寄り「はじめまして」と挨拶。
うん、なんかワクワクしてきた。
私達は、ダイエットペプシを飲みながら話をし、彼はガチャピンを捕まえた武勇伝を語っていた。
どうやら、ガチャピンは琵琶湖に生息しているらしい。私がムックを捕まえた時とは違い「釣る」んだとか。
撒き餌にはコンソメパンチを使い、釣り針には寒干し大根を使う。これが一番相性がいいらしい。
そして、ガチャピンが食いついた時に一気に引き上げ、とどめはお玉杓子の裏でパコーンと一発。
うん、彼も腐ってる気がする。
そういう話を延々としていたら、あっという間に時は過ぎた。彼は、私に気を遣ってか「そろそろ帰ろうか?」と言った。
私は「う、うん」とはっきりしない生返事。
イヤ!
本当は、まだ帰りたくない!
しかし、彼はレジで会計を済ませ、私を出口で待っている。私は、悶々とした気持ちのまま、彼に誘導されるようにガストを出た。
本当にこのまま帰っていいの?
そう思った時、信じられないことに、私は彼の手を握っていた。すると、彼も握り返してくれた。
強く、そして温かく──。
私は、彼に身体を預けた。
ネオンままたく夜のホテル街に、ガチャピンとムックの影が消えて行く。ただ、それだけの話。
うん、やっぱり、私達って腐ってるような気がする。
やり方は簡単だった。めぼしい相手にメールを送り、返信がある。ただそれだけ。
そんな、空虚なメールのやり取りを繰り返していると、私の身体はつま先から徐々に腐っているように感じる。
「どんなタイプが好き?」
「写メ送って」
「趣味は何?」
要求されたことに従うだけ。それで、今の寂しい生活から抜け出せたらいいと思い、私はご主人の命令に従い続けた。
「お帰りなさいませご主人さま」
なんか違うような気がする。
私は、その中の一人と会う約束をした。目印は、彼が緑が好きだというのでガチャピンの格好をしてきてもらい、私は赤が好きだということでムックの格好をすることになった。
なぜか、何の疑いもなく決まった。
うん、私、確実に腐ってる。
ムックの格好は楽勝で確保できた。
野生のムックが生息する鳥取砂丘まで出向き、好物であるポンデリングをちぎって撒き散らした。そして、匂いに誘われたムックが巣穴から出てきたところを、バットでフルスイング。
天に召されたムックの皮を剥ぎ取ったらそれで終了。ムックの肉は、高値がつくので競りに出し、キロ一万三千円で取引を終え、これぞまさに一石二鳥。
「バットはやっぱりミズノだな」そう思った。
当日、私はムックの格好をして待ち合わせ場所であるガストにいる。
ビックリしたウエイトレスが注文を聞きにきたが、「ガチャピンと待ち合わせてる」と言うと、妙に納得した顔をされた。
私は、何食わぬ顔で出された水を飲んだ。
「ポンキッキって何でもアリか?」そう思った。
しばらくすると、ガチャピンがやってきた。私の待ち合わせ相手である。
彼は、真っすぐと私の元へ駆け寄り「はじめまして」と挨拶。
うん、なんかワクワクしてきた。
私達は、ダイエットペプシを飲みながら話をし、彼はガチャピンを捕まえた武勇伝を語っていた。
どうやら、ガチャピンは琵琶湖に生息しているらしい。私がムックを捕まえた時とは違い「釣る」んだとか。
撒き餌にはコンソメパンチを使い、釣り針には寒干し大根を使う。これが一番相性がいいらしい。
そして、ガチャピンが食いついた時に一気に引き上げ、とどめはお玉杓子の裏でパコーンと一発。
うん、彼も腐ってる気がする。
そういう話を延々としていたら、あっという間に時は過ぎた。彼は、私に気を遣ってか「そろそろ帰ろうか?」と言った。
私は「う、うん」とはっきりしない生返事。
イヤ!
本当は、まだ帰りたくない!
しかし、彼はレジで会計を済ませ、私を出口で待っている。私は、悶々とした気持ちのまま、彼に誘導されるようにガストを出た。
本当にこのまま帰っていいの?
そう思った時、信じられないことに、私は彼の手を握っていた。すると、彼も握り返してくれた。
強く、そして温かく──。
私は、彼に身体を預けた。
ネオンままたく夜のホテル街に、ガチャピンとムックの影が消えて行く。ただ、それだけの話。
うん、やっぱり、私達って腐ってるような気がする。
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