ショートな時間

レン太郎

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突然の来訪者

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 突然、空に浮遊物体が現れた。そしてそれは、ふわふわと旋回をしながら、徐々に地上へ近づいてるように見受けられた。

「た、大変だ」

 それを見ていた群集の中から、一人がそう叫んだ。それはそうだ、正体不明の浮遊物体が現れて、地球に着陸しようとしているのだから。
 この前代未聞の事態に、警察はもちろん、軍隊までもが出撃し、国をあげてその物体を出迎えようとしていた。

「もし、地球を侵略しにきたエイリアンだったらどうしよう」

「いや、もしかしたら、地球と親交を深めようと、送りこまれた使者が乗っているかもしれない」

 という声が囁かれたが、すべては、あの物体が着陸しない限り、わからないということだ。

 その物体は、長方形の四角い箱のようだった。全長は約五メートルほどで、うっすらと光を放ちながら、ゆっくりと旋回をしており、それは、降り立つ場所を探しているようにも見えた。
 そこで地球人は、ヘリコプターを飛ばし、その物体を空港の方へ誘導しようと試みた。すると、ヘリコプターの先導に気付いたのか、その物体は、導かれるままに空港へと降り立つことに成功した。

 着陸をすると、その物体は、光を放つのを止めた。駆け付けた軍隊は機関銃を構え、その後ろでは、人々は遠巻きに集まり、これから起こる世紀の瞬間を、固唾を飲んで見守っていた。
 やがて、その物体の側面から、扉のようなものが現れ、ゆっくりと開いた。中から登場するのは、やはり宇宙人だろうと、誰もが高をくくっていたその時、ついにそいつは姿を現した。
 しかし、現れたそいつを見た人々は、拍子抜けをしていた。なぜなら、そいつは人間のようだったからだ。地球に住む人類のように、ちゃんと手足と頭もあり、集まっていた人々と、なんら変わりのない姿をしていた。

「お、お前は誰だ」

 機関銃を構える軍隊の中から、隊長らしき人物が問い掛けた。

「驚かしてすみません。私はあなたがたと同じ人間ですよ」

 なんと、乗っていたのは、エイリアンでも宇宙人でもなく、人間だったのだ。性別は男性のようで、地球人と同じ言葉を流暢にしゃべっていた。

「人間だという証拠はあるのか」

 しかし、警戒体制は崩さなかった。もしかしたら、宇宙人が地球人を騙そうと、人間になりすましているだけなのかもしれないからだ。

「私は、百年後の未来からきた人間です。そしてこの乗り物は、タイムマシーン」

「そんなことが信じられるものか」

「それならば、どうぞ私を捕らえて、お調べになってください。私は抵抗しませんから」

 その男がそう言うと、軍隊はじわじわとにじり寄り、未来からやってきたという男を捕らえた。男は言った通り、抵抗はしなかった。

 捕らえられた男は、病院で徹底的に調べられた。レントゲンにCT検査。そして、血液検査に尿検査を終え、ようやく人間だと認められた。
 もちろん、男がタイムマシーンと呼ぶ乗り物も、科学者により調べられた。たしかに、仕組みは、現代において創造しうる代物ではなかったが、部品やその他もろもろに使われている金属は、地球で採掘できる資源で作られてることがわかった。
 しかし、スイッチ入れても始動はしない。でも、壊れてはいないようだ。どうやら、一回のタイムトラベルしかできないらしい。

 こうして、この乗り物がタイムマシーンで、男が未来からやってきた使者てあることが証明されたのだ。

 当然のことながら、そのことは世界中に知れ渡った。未来から、タイムマシーンに乗って現れた使者の言葉を聞こうと、記者会見場が設けられ、ありとあらゆる国々から、記者が詰めかけた。

「今日は、私のためにお集まりいただき、ありがとうございます」

 男は、記者会見場に現れると、数えきれないほどのフラッシュを浴びながら、席についた。
 この模様は、全世界へと生放送で中継された。仕事を休んでテレビに見入る者や、深夜に寝るのを惜しんでテレビに見入る者。そう、世界中のすべての人々が、男の言葉に耳を傾けていた。

「では、質問です。あなたはなぜ、未来からやってきたのですか」

 やはり、最初の質問はこれだった。わざわざ、百年後の未来からやってきた理由。一回のタイムトラベルしかできないタイムマシーンで、この男はやってきたのだから、よほどの理由があるに違いない。
 人々は、男が言葉を発するのを、今か今かと待ちわびた。そしてついに、男が口を開き、その理由を述べたのである。

「地球は、百年後の未来に滅亡します。だから私は、タイムマシーンで過去に逃げてきたんです」

 その後、世界中の科学者が集結し、タイムマシーンの制作が計画された。
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