ウォルヴァンシアの王兄姫~番外編集~

古都助(幸織)

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~季節イベント~

ハロウィン仕様~IFルート・ルイヴェル×幸希編~

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※WEB拍手にUPしていたものです。


 幸希
「はぁ……何だか、気が重いなぁ」

 ――ルイヴェルの待つ部屋に辿り着いたものの、扉の前で立ち尽くしている幸希。

 幸希
「IFルートで唯一、私とルイヴェルさんは両想いじゃない仕様だし……。この部屋に入ったら、確実に何かされそうな予感しかしな……きゃああっ!!」

 ――気配を感じたのか、扉が開き、ルイヴェルが幸希を中へと引き込む。

 ルイヴェル
「いつまで待たせる気なんだろうな? お前は……」

 幸希
「る、ルイヴェ……え?」

 ルイヴェル
「何だ?」

 幸希
「あ、あの、……そ、そのお姿はっ」

 ――振り向くと、幸希の目の前には漆黒のマントに身を包み、顔の左側だけを仮面で隠しているルイヴェルの姿があった。

 ルイヴェル
「クジ引きで当たった仮装だ。どこぞの劇場に出現する怪人の仮装だそうだ。お前の方は……、小悪魔、といったところか?」

 ――ガチャ。

 幸希
(今、鍵閉めた!! 逃げ道を塞いできたー!!)

 ルイヴェル
「少々膝丈が短い気もするが……、まぁいいだろう。ユキ、ちょっとこっちに来い」

 幸希
「い、嫌……ですっ」

 ルイヴェル
「……二度言わせる気か? お望みなら、昔のように首根っこを掴まえてやるが」

 幸希
「な、何もしないって……や、約束……して、くれ、ます、かっ」

 ルイヴェル
「……」

 幸希
「何で無言のままこっちに来るんですか~!! やっぱり何かする気なんですね!?」

 ――歩み寄って来るルイヴェルから逃げるように部屋の中を移動する幸希(笑)

 ルイヴェル
「ふぅ……、言っておくが、ここは鍵を閉めてある上、俺の結界が張ってあるから、逃げても無駄なんだが、な!」

 ――地を蹴り、一瞬で幸希の背後に移動したルイヴェルが、後ろからマントで包み込むように捕獲完了!

 幸希
「いや~!! は、放してください!!」

 ルイヴェル
「大人しくしろ。……昔は追い払っても自分から寄って来ていただろう、お前は」

 幸希
「そ、それは、大昔の事です~!! って、どこ触ってるんですかっ」

 ルイヴェル
「お前の体重が増加していないかのチェックだ」

 幸希
「何失礼過ぎる事をしれっと言ってるんですか~!!」

 ルイヴェル
「それにしても……、やはりこれは、丈が短すぎるな。作った者の趣味だろうが、風が吹けばすぐに中が見えるぞ」

 幸希
「冷静にそんな事を指摘しないでくださいっ!! うぅっ、私が何をしたって言うんですか~!! そもそも、両想いじゃないのに、IFルートって名づけるのはおかしいですよ!!」

 ――ジタバタと暴れる幸希。しかし、ルイヴェルの腕の力が緩む事はない。

 ルイヴェル
「一応言っておくが……、俺はお前達よりは歳が上だが、何を言われても機嫌を損ねないわけじゃないんだぞ?」

 幸希
「――っ!!」

 ――低い声音に、微かな苛立ちが混じったように、幸希の身体は強く抱き込まれ、見下ろしてくる仮面越しの深緑の双眸が不穏に煌めく。

 幸希
「あ、あ、あ……あのっ」

 ルイヴェル
「俺も一人の男だからな? 惚れた女に拒まれ続けるのが、我慢ならない時もある。大人を焦らして逃げようとする事が、どれほど危うい事か……お前には教えてやらなければならないな」

 幸希
「結構です!! うーっ、うーっ!! 何でこんなに強く抱え込むんですか~!!」

 ルイヴェル
「放せば逃げようとするからな。さぁ……今夜のイベントをこなすとするか。ユキ、お前からで構わないぞ?」

 幸希
「な、何を……ですか?」

 ルイヴェル
「ハロウィンの定番台詞とやらだ。一応ルールには従わないと次の行動が出来ない仕様だからな」

 幸希
(お菓子を貰うのも、この人に悪戯するのも、色々と怖い気がするのだけど!!)

 ルイヴェル
「……」

 幸希
「と、……トリック・オア・トリートっ」

 ――ぽふん。
 ルイヴェルの片手が持ち上がり、棒付キャンディーが出現。

 幸希
「あ……有難う、ござい、ます」

 ルイヴェル
「次は俺の番か……」

 幸希
「え、きゃあっ」

 ――幸希を腕の中に抱え、ソファーに座り込むルイヴェル。横抱きになっている為、幸希は非常に不安定(笑)

 ルイヴェル
「お前が俺からの台詞に菓子を差し出せば、そこでイベントは終了だ」

 幸希
(お、お菓子はちゃんと用意してあるし、だ、大丈夫……の、はずっ)

 ルイヴェル
「……トリック・オア・トリート?」

 幸希
「……」

 ――ゴソゴソとスカートの中に入れておいたお菓子を探る幸希。
 しかし、そこにお菓子の感触はない。

 幸希
(あれ、落としたのかな……。で、でも、こっちの袖に隠したお菓子は……ない!?)

 ルイヴェル
「どうした? 菓子がなければ、悪戯とやらをお前にする事になるらしいが」

 幸希
「ル、ルイヴェルさん……、『何』をしたんですかっ」

 ルイヴェル
「何を、とは?」

 幸希
「私が用意していたお菓子を……っ」

 ルイヴェル
「あぁ、少々小腹が空いていたからな。さっき拝借しておいた。……袖の方に仕込んでいた菓子も、な」

 ――幸希の視線の先に在るのは、王宮医師、というよりも、いや、怪人よりも遥かに厄介な悪魔の微笑みであった(笑)

 幸希
「ず、ズルイですよ!! こんなのナシです、ナシ!!」

 ルイヴェル
「どんな理由であっても、今のお前に、俺へ差し出せる物はないだろう? なら、大人しく怪人の悪戯を受けたらどうだ。想いを報われず、辛い思いを堪えている俺からの……愛のこもった悪戯を、な」

 幸希
「い、いいいいい、いりませ~ん!! って、迫って来ないでください!! んんっ!!」

 ――こうして、ズルい大人こと、麗しの怪人様に囚われた小悪魔は、パーティーの開始時間まで、多大な疲労を伴うとんでもない目に遭い続けるのであった(笑)

 IFルート・ルイヴェル 完。
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