「あんたみたいな雑魚が彼氏で恥ずかしい」と振られましたが、才色兼備な彼女ができて魔法師としても覚醒したので生活は順調です〜ヨリ?戻せないよ〜

桜 偉村

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第一章

第102話 シャルの決意

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 シャルの家で昼食を終えると、二人で僕の家に向かった。本を貸すためだ。
 今日、シャルは僕の部屋に泊まる。
 彼女の家に寄っていたのも、主な目的はその着替えなどを取るためで、昼食はついでに済ませた形だ。

 夕方のまったりとした時間も、お義父さんが仕事で遅くなるという事で、僕とシャルとお義母さんの三人での夕食時も、シャルは楽しそうにはしていたものの、どこか心ここに在らずといった感じだった。
 昨日、僕がWMUダブリュー・エム・ユーに入ると報告したあたりから、少し様子が変なのだ。

 相談があるなら彼女の方から話してくるだろうと待っていたが、心配だしちょっと探ってみるか。

「シャル。何か悩んでる?」

 シャルが風呂から上がり、僕の部屋に入ってきたところで尋ねてみた。
 彼女は驚いたように瞳を丸くした後、苦笑いを浮かべた。

「……やはり、ノア君には隠し通せませんか」
「まあ、これだけ一緒にいればね。僕でいいなら話くらいは聞くよ?」
「ありがとうございます。とは言っても、それほど深刻な悩みではないのです」

 シャルがお茶を口に含んだ。

「ただ、私はこのままでいいのかな、と」
「何が?」
「ノア君はWMUに入って、これからさらに強くなっていくでしょう。そうなれば、私との力の差は広がるばかりです。このままではケラベルスのような強敵が現れた時、ノア君の足手まといになってしまう。私は、戦闘の面でもノア君と支え合える関係になりたいのです——あっ」
「どうしたの?」
「いえ、整理がつきました。私は、ノア君を支えられる強さが欲しいようです」
「……なるほど」

 どうやら、喋っていたら自分の納得いく答えが口から出ていたらしい。
 一人で悩まずに人に話してみるといいというのは、こういう事か。

「シャルの強くなりたいっていう考えにはまったく反対しないけど、具体的にどうするの?」

 僕が強さを求める理由は、どんな状況でもシャルや両親といった大切な人たちを守り切れる、そう言い切れるだけの強さが欲しいからだけど、彼女自身が強いに越した事はない。
 修行の場にWMUを選んだ以上、いつでも彼女を守れる立場にあるとは限らないからね。

「師匠にお願いします。今でも不定期で稽古はつけてもらっていますが、今後は定期的により厳しくしてもらおうと思います」
「お、いいね」

 ルーカスさんなら、シャルに無理をさせすぎる事なく鍛えてくれるだろう。

「じゃあさ、なるべく僕がWMUに行く日とシャルの修行日を揃えようよ。そうすれば、シャルとの時間もそんなに減らさないで済むし」
「はい。ありがとうございます」

 はにかんだような笑顔を浮かべ、シャルが抱きついてきた。
 僕はベッドに腰掛けていたため、勢いに逆らわずに後ろに倒れた。
 そのまま、唇同士が触れるだけのキスを交わす。

「……こんなに自然にしたの、初めてじゃない?」
「ふふ、私もびっくりしています。ようやくカップルとして堂に入ってきましたね」
「堂に入るって言うのかはわからないけどね」

 シャルがイチャイチャに慣れてきたのなら、喜ばしい事だ。
 その笑みを見れば、決して僕への気持ちが醒めたわけじゃない事はわかるし。

 シャルが「なんでもいいのです」と笑いながら、首に腕を回して肩に顎を埋めてくる。
 その頭を撫でれば、彼女は嬉しそうに喉を鳴らした。

「なんだか甘えん坊さんだね」
「ここ二日ほど、あまりこういう事をできていなかったので」
「そうだね」

 エリアが来ていたから、それは仕方ない。

 風呂上がりのシャルから、彼女本来のものとシャンプーが混じった、さわやかな甘い匂いがしてくる。
 もっと嗅ぎたくて、その首元に顔を埋めて息を吸った。

「くすぐったいです」

 シャルが体をくねらせて笑う。

「ごめん。いい匂いがするから」
「お風呂上がりですからね」

 シャルがお返しとばかりに、僕の鎖骨のあたりに顔を埋めてスンスンと鼻を鳴らした。

「ノア君もいい匂いがします」
「それはよかった」

 匂いを嗅ぎ合った事がトリガーとなり、僕の大事なところは主張を始めていた。
 仰向けになっている僕の上にシャルが覆い被さっているため、彼女の太もものあたりにソレが当たっているが、彼女はリラックスした表情だ。

 受け入れてくれている。
 その事実によこしまな気分になり、僕はシャルの背中に回していた手を下に滑らせてお尻を揉んだ。

「ひゃっ⁉︎」

 予想外だったのだろう。シャルが可愛らしい悲鳴をあげた。
 思わずといった様子で離れようとするのを、片腕でがっちりホールドする。

「あ、あの、ノア君⁉︎」
「前に触っていいって言ったじゃん」
「そ、そうですけどっ、いやらしいのはダメだとも言いました!」
「でもさ、彼女のお尻を触るのにいやらしくないってあり得なくない? そもそも行為自体が普通じゃないんだし」
「そ、それは……確かに」

 シャルも、今更ながら「いやらしい手つきでなければお尻を触っていい」という自分の出した条件の矛盾点に気がついたようだ。

「じゃあ、揉むくらいはいいよね?」

 僕がシャルのお尻に手を添えたまま尋ねれば、彼女は頬を真っ赤に染め、「や、優しくお願いしますっ……!」と目をつむった。

「仰せのままに」

 シャルの体のホールドを解除し、両手でお尻を揉む。
 程よく筋肉のついている二つのお山は、柔らかさの中にも張りがあり、とても揉みごたえがあった。

「おおっ……!」

 感動の声が漏れてしまう。

「その……ど、どうでしょうか?」

 シャルが頬を染めつつ、おずおずと尋ねてきた。

「いい感じの弾力で最高です」
「そ、そうですか……」

 シャルが恥ずかしげに、それでも嬉しそうにふにゃりと笑った。
 彼女がゴロリと回転したため、お互い横向きの状態で抱き合う形になる。

 そろそろと僕のお尻に触れてきた。
 どうやら、そのために体勢を変えたようだ。

 少しの間、お尻に手を添えたままでいたシャルは、やがて徐々に指先に力をこめてきた。

「……意外と男の人のも柔らかいのですね」
「ガチガチに鍛えてるわけじゃないからね」
「でも、ノア君って結構トレーニングはしていますよね」

 シャルがお尻から脇腹を通って腹筋に触れてきた。

「ちょっと押してみてもいいですか?」

 そう尋ねてくる彼女の表情は、どこかワクワクしていた。
 現在進行形で僕にお尻を揉まれているわけだが、だいぶ慣れたようだ。

「いいよ」
「失礼します……すごい、弾力があります。今、力は入れてないのですか?」
「うん」

 力を入れてみる。

「すごっ……固いんですね」
「ま、まあね」

 腹筋の事だとわかっていても、ベッドの上で触れ合っているという状況も相まって、いやらしいセリフのように聞こえてしまう。
 自制心が仕事をサボり出したのか、僕はシャルのお尻を手のひらで包み、揺らすように揉んでしまった。

「ひゃっ……! そ、それはダメですっ!」

 シャルがペシっと僕の手を払った。
 その頬は真っ赤に染まり、瞳は少し潤んでいた。
 ……やりすぎたかな。

「ごめんなさい。ちょっと調子に乗りました」
「……もう、ノア君は悪い子です」

 不満そうに言った後、シャルはニヤリと笑った。

「悪い子にはお仕置きが必要ですよね?」
「は、はい」

 やばい、シャルが悪い笑みを浮かべている。

「お仕置きなので、ノア君が反撃してはいけない事はわかっていますよね?」
「お、お手柔らかにお願いします……」

 調子に乗ってしまったのは事実なので、甘んじて受け入れた。
 前に結構本気で忠告した事もあり、シャルは前回よりは控えめにしてくれたが、胸筋や腹筋を触られたり、キスされたり、服で隠れるところではあるが、跡をつけられたりもした。

「お仕置きは以上です」

 そう言って満足そうに笑うシャルに加虐心が湧き上がるが、理性を総動員して堪えた。
 電気を暗くして、僕は床に敷いた布団に、シャルは僕のベッドに入った。

 シャルに布団で寝させるという選択肢はないし、今日添い寝をするのはやばい気がした。

「ねえ、シャル」
「何ですか?」
「また触っていい?」
「……た、たまになら」

 一拍置いて返事があった。
 その中には羞恥だけでなく、わずかな期待や媚びといった色合いが含まれているように感じられた。

「よっしゃ、ありがとう」
「そ、その代わり、私も触りますからね? それに、やりすぎたら今日みたいにお仕置きしますから」

 ……たまにならやりすぎてもいいか、と思ってしまった。
 決して、反撃できない状況でシャルに責められる事に喜びを見出しているわけじゃないけど。うん。

「わかった。ほどほどにするよ」
「そうしてくださいね」

 シャルがふふ、と笑った。

「明日も学校だし、もう寝ようか」
「はい。おやすみなさい」
「おやすみ。好きだよ、シャル」
「っ……わ、私を寝不足にしたいのですか」
「ごめんごめん。言いたくなっちゃってさ」
「……」

 シャルがもぞもぞと動く気配がする。
 どうやら反対側を向いたようだ。

「……私も好きですよ、ノア君」
「っ……うん、ありがとう。おやすみ」
「おやすみなさい」

 僕の動揺を感じ取ったのだろう。
 シャルが含み笑いをした。

 恥ずかしいけど、それ以上に幸せな気持ちで胸が満たされた。
 きっとシャルもそうだろうという、根拠のない確信があった。

 これからも、寝る前は好きの気持ちを伝えよう——。
 そう心に決めて、僕は笑みを浮かべながら目を閉じた。
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