異世界で刀を抜いて旅をする ~転生すると剣豪になっていたが、自分の中に変な奴がいた~

夏樹高志

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奇妙なアトラクション その2

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 すると、カルディさん達のチームは既に到着していた。

 僕はカルディさんに話しかけた。

「そちらはどうでした?」

「こっちは絵画に関する質問ばかりだったね。幸い、私はその手の事に詳しいので何とかなったよ。一問分からなかったが、ファードスが知っていた。五問のクイズだったが、何とかなった。そちらはどうだい?」

「僕の方は数学っぽい問題がメインでした。あとはビルド達がどうなるかですね」

 そう言って、二十分ほどカルディさん達とその場で待っていると、ビルド達もこの部屋に入って来た。ビルド達三人は疲れているような顔をしている。そこで、質問してみた。

「どうしたの?」

「いやー、それが参ったよ。クイズって云うから、問題を解かされるのかと思ったけど、まさかのアトラクションだった。ガルレーンさんのおかげで助かった」

 セリサも汗をかいている。話を聞いてみると、雑学クイズではあったらしいが、一問正解するたびに、次の扉へ走っていく必要があったらしい。三十秒で次の扉を開かないとアウトだったそうだ。十問ほど問題を解かされたが、最後はガルレーンさんが二人を担いで走ったそうだ。
 それを聞いて、僕達は思わず苦笑いしてしまった。
 三チームが揃うと、目の前にピエロが現れた。
 今度は怒った表情をしている。

「では、あと二問でこのアトラクションのクリアになります。皆様にはご健闘を願いたい」

 そう言って、険しい顔を崩さない。

「問題を発表致します。回答時間は三十分以内となります」

 そう言われて皆が真剣にピエロを見据える。

「x+y+z=1 を満たす非負の実数 x,y,zに対して、次の不等式を証明せよ0≤xy+yz+zx-2xyz≤7/27 」

 問題を聞いた瞬間、全員がポカーンとした。

「え? どういうことですか?」

 セリサがピエロに質問し返す。

「問題については既に提示してあります」

 ピエロはそれしか言わない。

 僕は、慌ててビルドから白い紙を貰って、そこで問題を解いていく。

 僕達は騙されたのか――。

 最初からこのアトラクションは、景品など渡す気は無かったのだ。

 適当に客を楽しませて、最後に難しい問題を与えて、参加料をボッタクっているわけだ。

 クソっ、と思う。

 ただ、問題を聞いた限りでは時間内に解けないことはないかもしれない、とは思った。

 おそらく、今のメンバーでこの問題を解ける可能性がある人物は僕だけだ。

 三十分という時間が短すぎるが、やるしかないと思って問題に集中する。

 ……。

 …………。

 ギリギリで解けた感覚がある。

 再確認したいが時間がない。

 急いでピエロに結果を渡した。

 ピエロはそれを見定めている。

 しばらくして、ピエロがこちらを見た。

「正解になります」

 僕達全員が、ほっと溜息をついた。
 
 同時にセリサがピエロに文句を言う。

「ちょっとズルくない? 誰にも出来ないような問題を提示しては金を奪っているわけ?」

 すると、ピエロは怒った表情のままで返答してきた。

「このアトラクションは、参加する人によって問題のレベルが変更されます。そのチームにおいて、最適な負荷が掛かるような問題が、自動で生成されるようになります。この問題については、このアトラクションに入った段階で、その当人に合わせた問題が自動で組成されました」

 そういうと、セリサがジト目で僕の方を見て来る。

「じゃあ、あんたのせいで難しい問題を解かされているわけ?」

「そんなこと言われても! 僕のせいじゃない!!」

「まあ、解けたんだからいいじゃんよ」

 ビルドがそう仲裁に入ってくれる。

「ただ、最後の問題はかなり難しそうだ。どうするかだな」

 皆真剣な顔になっている。

 すると、ピエロは魔法陣を起動させた。

 一瞬で、僕達全員は警戒態勢を取った。

 ピエロの顔が今度は笑い顔に変化した。

「大丈夫ですよ。問題はありません。これは心音や脳波を測定する魔法陣になります。嘘か本当かを判断するための魔法陣になります。攻撃するためのものではありません」

 ピエロはそう言って、甲高い声で笑っている。そして、ガルレーンさんの方を指差す。

「試してみましょう。あなたは酒が好きですか? 嫌いですか?」

 ガルレーンさんが僕を見る。そこで、ガルレーンさんに指示を出した。

「酒は嫌いだと言って下さい」

「俺は酒が嫌いだ」

 すると、魔法陣が黒くなった。

「分かりますか? この魔法陣は嘘を付くと黒くなります。また、正解ならば白く光ります。それだけの魔法陣になります。では、あなた方に最後の問題を提示しましょう」

 ピエロは大きく手を振り回して、両手を頭上へ掲げる。

「七人での相談は禁止の問題になります。回答者はただ一人。先ほどの問題を解いた〝あなた〟になります」

 そう言って、ピエロは僕の方を見てきた。どうやら、僕が答えなければいけないらしい。

「最終問題です。あなた方、七人の中で、チーム内のメンバーを対象に、恋慕の情を抱いている者はいるか、それともいないか?」

 思わず、呆気に取られてしまった。
 何かもっと難しい問題が来るのかと思っていたからだった。
 これは簡単だ。

「誰も恋仲ではない」

 魔法陣が黒くなった。
 するとピエロはニヤッと笑った。

「はい。不正解になります」

 は? なわけないだろう。

「おかしくないですか? 私達の中でそのような関係はないですよ」

「いやいや、事実ですよ。だって、この魔法陣が反応しているわけですから。嘘だと思うなら後で、あなた方同士で調べてもらえば分かるでしょう」

 確かに魔法陣が黒くなっている。つまり、僕達七人の中で、恋愛感情を持っている者がいる事になる。
 ピエロは胡散臭いが、嘘は付かない気はする。きっと、事実なのだろう。

 じゃあ、誰が恋仲にあるのだろうか?

 犯人探しとばかりにビルドを見る。

 が、ビルドは怒ったような表情をしてこちらを見ている。セリサもだ。

 ということは、この二人は知っていることになる。

 そして、僕は気づいた。

 いや、気づいてしまった。

 そういえば、最近ガルレーンさんとファードスさんが仲良さげだった。

 そうだったのか。

 僕は気づかなかったが、おそらく皆は気づいていたのだろう。

 あの二人の絵面を想像してみるが、僕はそっち系ではない。
 しかし、本人達が満足しているならそれはそれで個人の自由だ。
 僕が口を出すというのは野暮だろう。

 そう思って、リーシャを見るとやや赤い顔をしている。
 そうか。
 リーシャも気付いていたのか。
 なら僕も黙っておいた方がいいだろう。
 リーシャの耳元に近づいて囁くことにした。

「皆にはガルレーンさん達の事は内緒にしておこうね」

 すると、リーシャが悲しそうな顔になっている。
 どういうことだろう?
 そんなにガルレーンさんとファードスさんの関係が気になるのだろうか?

 すると、次の瞬間だった。
 その場にあった全ての物が一瞬で消えてしまった。
 と、同時に僕達は元にいた場所にいた。
 皆で、周囲をキョロキョロと見渡す。

「え?」

 セリサが驚愕した表情をしている。
 先ほど、アトラクションに入ろうとした場所であるのは間違いない。僕達は全員、看板を間違いなく見た。が、今は何もない。

 僕達がアトラクションに失敗したからだろうか?

 それにしてはおかしい。

 あれだけの設備が一瞬で無くなるなんてことがあるのだろうか?

 皆で、周囲を調べてみたが、何もない。

 それに、この後、遊園地の従業員にピエロのアトラクションについて質問をしたが、従業員は〝そんなアトラクションは存在しません〟と訝しがっていた。

 皆で、思わず顔を見合わせてしまった。

 ビルドが言う。

「白昼夢か」

 カルディさんが財布を確認してからこう言ってきた。

「いや、違うね。参加料はしっかり無くなっている。どうやら私達は実際にあのアトラクションに参加したようだ」

「どういうことしょうか?」

 カルディさんは冷ややかな笑みを浮かべたままだ。

「さあ、よく分からないね。ただ、何かしら不思議な存在が私達を試したようだ。まぁ、珍しい魔道具が手に入らなかったのは残念だが、暇つぶしとしては楽しめたんじゃないかな。面白かったからいいだろう。それよりせっかくだから、もう少し遊園地で遊んで行こうか」

 そう言って、カルディさんは歩いて行ってしまった。

 僕達も首を傾げていたが、この後も遊園地で遊んで行くことにしたのだった。
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感想 3

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みんなの感想(3件)

林木
2018.07.18 林木

47話がないですよ

2018.07.18 夏樹高志

申し訳ありませんでした。
一個間違えてました。ご確認お願い致します。

解除
キタ━(゚∀゚)━!

おもしろいです🤣

2018.07.06 夏樹高志

ありがとうございます。

毎日更新できるよう、頑張ります!

解除
八神 風
2018.07.05 八神 風

時々ですが

4メートルや四メートル

10メートルや十メートル

と統一性が無い


朝稽古の素振りの所で

置き手紙 が お気手紙 

と誤字

2018.07.05 夏樹高志

ご指摘ありがとうございます。

小説だと漢用数字が基本らしいので、それで統一しようと思います。ただ、量が多いので、修正に時間が掛かります……。
すみません。

あと、横書きの場合は算用数字でもいいらくしくて、数字が多く出る場面だと、算用数字の方が見やすいことがあるかもしれません。
そういう時は話数によって使い分けることがあるかもしれません。
宜しくお願いします。

解除

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