チンチンチン、コトンコトンコトン

朝日みらい

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 それから、半年が過ぎて、ぼくは二年生になった。

 ある朝、家の前にトラックがとまった。玄関から、おじいちゃんが出てきた。引っ越しの時みたいな、大きなトラックだった。二階にいたぼくら四人は、あわてて外に飛び出した。

 作業服を着たおじさんたちが、せっせと、何かをかつぎおろした。

 黄色と黒のしま模様の、踏切の信号機だ。荷台から信号機はおろされて、門の前にデンと置かれた。

 おじさんたちは、郵便ポストや、家のフェンスをとりこわして、かわりに信号機をボンと置いた。

「たけし。廃線で使わなくなった信号機を、もらい受けたのだ。踏切の棒は長すぎたから、信号機だけだ」

 おじいちゃんは、とくいげにあごひげをなでながら言った。

「すごいね、おじいちゃん。格好いいね」

 ぼくは、信号機に飛びついたけれど、お父さんとお母さん、ひろみ姉ちゃんの顔はまったく浮かない顔だ。口はそろって、とんがっている。

「父さん、なんだ、これは……」と、お父さん。

「おじいちゃん、わざわざ家に踏切の信号機はいりませんよ。電車、見に行けばいいじゃないですか」と、お母さん。
「はずかしいよ。学校の友だちを呼べないよ。 どかそうよ……」と、ひろみ姉ちゃん。
すると、とつぜん、おじいちゃんは宣言した。
「これからは信号機のために、我が家だけの新路線を開通する。ぜったい廃線はない」
「やったあ!」

 ぼくはガッツポーズをした。

「新路線……?」

 お父さんたち三人は顔を見合わせた……。
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