【完結】虐げられてきた孤独な王女は政略結婚で呪われた獣人皇帝に嫁ぎました。

朝日みらい

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第19章: 皇帝の過去 

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その日、私はエイゼンの古くからの側近であるカシウスに、陛下のことを聞いてみたら、驚くべき話を聞くことになった。

エイゼンの過去についてだ。

いつも冷静で無表情なカシウスが、少しだけ緩んだ表情で話し始めたその瞬間、私は彼の言葉に釘付けになった。

「エイゼン殿の幼少期は、あまりにも厳しいものでしたよ。」

カシウスの声は穏やかで、でもどこか悲しそう。

「彼の父上は皇帝としての使命に生きており、母上もまた、冷徹なまでに彼を育てました。愛情に飢えていた彼は、自分を見てくれる存在を強く求めていましたが、誰も彼を支えることなく、孤独な時間が続きました。」

私は静かにカシウスの話に耳を傾ける。

エイゼンがどれほど寂しい思いをしてきたのか、考えただけで胸が痛くなる。

「その孤独こそが、あの呪いを呼び寄せた原因だと言われています。」

カシウスは少し間を置いてから続けた。

「エイゼン殿の心が歪んでしまったのは、誰かに認められたかった、愛されたいという強い思いからだったのです。」

その言葉が私の心にズシリと響く。

エイゼンの心に、あんなに大きな孤独があったなんて…考えたこともなかった。

私はいつも彼の冷徹さや強さにばかり目が行っていたけれど、その裏には、こんなにも深い悲しみと寂しさがあったのだ。

「エイゼンが…呪いに縛られているのは、こうした過去が原因だったんだ。」

私はつぶやいた。

カシウスは静かに頷く。

「ええ、ですから…お姫様が彼に寄り添うことで、少しでも彼の心を癒すことができれば、呪いを解く手助けになるかもしれません。」

その言葉を聞いた瞬間、私の中で何かが決まった。

私の手で、エイゼンの孤独を癒すんだ。

そう心に誓った。

「絶対に、彼の心を癒してみせる。」

私は強く心に誓った。

そして、胸の奥に不思議と湧き上がる温かい気持ちに気づいた。

それは、私がエイゼンを大切に思う気持ちから来るものだった。


その後、私はエイゼンに会いに行った。

部屋の前で少し躊躇ったけれど、扉を開けると、エイゼンが静かに椅子に座っていた。

いつもは冷静で遠い存在に感じるけれど、今日は何だか心が落ち着かない。

もしかしたら、私がエイゼンに何かを伝えなければいけない気がして、胸がドキドキしている。

「陛下、少し話があるの。」

私は少し恥ずかしそうに彼に声をかけた。

エイゼンは少しだけ顔を上げて、私を見つめる。

「話?」

彼の声はいつも通り冷たいけれど、少しだけ柔らかさを感じる気がした。

「うん、あなたの過去についてよ。」

私はその言葉を口にして、彼の反応を待った。

エイゼンは少し驚いたように目を見開いた。

でも、すぐに冷静に言った。

「過去の話はしたくない。」

「でも、私は知りたいの。」

私はしっかりと彼の目を見つめた。

こうやって、自分の気持ちをきちんと伝えることが大事だって思ったから。

エイゼンが少し黙った後、ゆっくりと口を開いた。

「…母上と父上は、僕を愛さなかった。」

彼の言葉は静かで、でもその中に深い痛みが込められていた。

私はその言葉を胸に受け止めて、ただ黙って彼の話を聞く。

「彼らは僕が何をしても、ただ冷たく見守っていただけだった。」

エイゼンの声に、私は何か温かいものが込み上げてくるのを感じた。

彼がどれほど孤独だったのか、それを想像するだけで、胸が締めつけられた。

「だから、僕は…誰かに認められたかったんだ。」

エイゼンはぽつりと言った。

その声には、少しの苦しみと、そしてどこか諦めが混じっているように感じた。

私はその場で、エイゼンの元へゆっくりと歩み寄る。

そして、何も言わずに彼の手を取った。

私が何を言っても、彼の心が少しでも癒されるなら、それが一番だと思ったから。

「陛下には私がいるから。」

私は彼の手を握りしめて、真剣に言った。

「これからも、あなたを支えるから。」

エイゼンはその言葉を聞いて、少しだけ驚いた顔をしてから、ゆっくりと微笑んだ。

その笑顔が、私の心を温かくした。

「ありがとう、フィオナ。」

彼のその言葉に、私はますますエイゼンを支えたいと思った。

それから、少しの間二人で黙って座っていた。
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