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 ローナンが椅子をひき、アナリスは席に着く。 

 すると、目の前に次々と皿が並べられていった。

──どれも美味しそうだ。

 一口食べてみると、あまりの美味しさに感動を覚えた。

 特に、メインディッシュの鹿肉の香草焼きは絶品である。

(ああ、幸せだわ……)

 アナリスは心の中で呟く。

 ラファエルも「美味しいね」と言ってくれたので嬉しくなった。

 食事を終えた後は食後のお茶を飲みながら談笑した。

 そして、少し落ち着いたところで、ラファエルが唐突に口を開いた。

「今日からここに泊まってほしい」

「えっ?」

 突然の申し出に驚いて顔を上げると、ラフィー様は優しい眼差しを向けていた。

「二人で暮らさないか」

 その微笑みを見ていると胸がドキドキしてくる。

「嫌かい?」

「いえ……そんなことないです。嬉しいわ」

 アナリスは、慌てて首を横に振った。

「じゃあ決まりだ」

 ラファエルはそう言うと、微笑んだ。

(ああ……どうしよう? ずっとラフィー様といっしょだわ……)

 アナリスは心の中で呟く。胸がドキドキする。

 なんとか冷静になろうと深呼吸を繰り返す。

──そのまま自室に戻って天蓋付きのベッドに入ると、アナリスは目を閉じた。


☆☆☆


 夢の中で、不思議な夢を見た。

 大空から夜空を飛んでいる。

 それは漆黒の大きなドラゴンで、その眼は盗賊たちに馬車を襲われた岩場と原野が広がる風景を冷ややかに見つめていた。

 ふと、夜空を見ると、紅の彗星が夜の空を斜めに横断していた。

 そのあまりの壮麗さに、アナリスは言葉を失った。

(これが……指輪の予言夢?)

 アナリスは夢の中でそう悟った。

──そして、夜の闇に紛れてターバンを巻いた男たちの一群が、何やら岩場から何か赤い鉱石を掘り出している姿が見えた。

 やがて、その一群はそそくさと帰って行ったのである──。
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