春の風のシノリ

朝日みらい

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 だけど、やっぱり広場にはたくさんの人、人、人だ。

 桜の木の下で赤ら顔の大人たちは、レジャーシートに座ってお酒でヘラヘラ騒いている。子供たちは、芝生でサッカーをしたり、バトミントンをしたり、追いかけっこをしたり。

 あたしは、目の下から大人用のでっかいマスクをつけて、そこに知ってる子がいないかチェックした。だって、だれとも話したくないんだもの。

 どの木にも人がいっぱいで、ママが額に手をやっている。

「あーら、春菜ちゃんのお母さんじゃないの」

 後ろの方から、声がした。北原華子のおばさんが笑顔で手招きしている。かっこいいスーツを着ている。保険の営業をしているらしい。

「よかったね、北原さんのところにお世話になっちゃおうよ」

 でも、あたしは絶対に行きたくなかった。その隣には、ツインテールにコアラの髪留めをつけた華子がちょこんと座っていた。

 大人の前ではおしとやかにしているけれど、私の前では、ダサーいとか、トローいとか、イヤなことばかり言うんだもの。

 あたしは、ママの袖を引っ張った。
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