11 / 12
第11章 決戦、そして未来へ
しおりを挟む
儀式を中断させたのは、学院へ迫る魔物襲来の報せでした。
大広間の中は一気に騒然となり、貴族たちは顔を青くして混乱するばかり。
神官たちは祈りの言葉を唱えるに留まり、騎士団員たちだけが慌ただしく外へ駆け出していきます。
「学院を包囲するほどの数だと!?」
「こんな時に、城都からの援軍は──!?」
不安の声が飛び交うその中心で、わたしはレオン先生の手に強く包まれていました。
「……セリーナ」
低く呼ばれ、わたしは先生を見上げました。
灰色の瞳は静かに燃えていて、恐怖よりも決意で満ちていました。
「ここから先は地獄だ。だが俺は、必ず君を守る」
その言葉が全身を震わせます。思わず唇を噛み、頷きました。
「わたしも──もう逃げません。わたしの力で学院を守ってみせます」
聖女の印が、手の甲から強い光を放ち始めました。
外に出ると、雨上がりの空の下に黒い影がうごめいていました。
魔物の群れ。かつて記録で読んだ以上の数。牙と爪を光らせ、うねるようにして学院を取り囲んでいます。
「きゃあああっ!」
「結界はまだ張れていないのか!?」
生徒たちの悲鳴。騎士たちが次々に剣を抜きます。
その中で、レオン先生はひとり高く剣を掲げました。
いつの間にか彼の手には、かつてと同じ“騎士アレン”の剣が握られていたのです。
「退け! この場は俺が抑える!」
鋭い声に一瞬場が静まり、次いで勇気を取り戻した騎士たちが「おおっ!」と声をあげました。
灰色の瞳に迷いはなく、漆黒の外套を翻し魔物の群れに切り込む様は、まさに戦場に舞い戻った騎士。
息を呑むほどに凛々しくて、わたしの胸を高鳴らせました。
(……アレン様)
呼びそうになったその名を、慌てて飲み込みました。
でも確かにそこにいたのは、前世の騎士であり、今世でわたしの大切な教師──レオン先生。
「セリーナ嬢!」
背後から声が飛び、振り返ると、留学生のエリオット殿下が駆け寄ってくるのが見えました。
「君は聖女だろう? 君の力がなければ結界を張れない! 我々が時間を稼ぐ、その間に!」
青い瞳は必死に輝いていました。
彼もまた、迷いなく剣を構え、一歩も引かぬ覚悟を示しているのです。
「殿下……ありがとうございます」
ひととき彼と視線を交わし、わたしは心を決めました。
(そうだ、今がその時──!)
胸に手を当て、印を掲げると、眩い光が学院全体を包み始めました。
「聖女の結界を……!」
「これで持ちこたえられるぞ!」
希望の声が次々にあがります。
光の壁は魔物の群れを押し返し、学院を守護しました。
けれど、その光は同時にわたしの体力を激しく奪っていきます。
「はっ……くっ……」
息が荒くなり、立っているのがやっとに。
「セリーナ!」
鋭い声とともに、強い腕がわたしを抱きとめました。
振り返るより早く、レオン先生の胸に引き寄せられます。
「無理をするな。結界は俺が守る。お前は命を削る必要はない」
「でも……これ以上放っておけば!」
「わかっている。だが、一人で背負うな」
髪を撫でられ、頬にそっと触れられる。
凛烈な戦場の空気の中で、その仕草だけが甘くて、わたしは涙が零れそうになりました。
「では……一緒に」
「ああ」
次の瞬間、彼の手がわたしの手を強く握りました。
魂が共鳴したように、胸の奥が熱く輝きました。
先生の灰色の瞳が、わたしの金色の光を映して強く燃え上がります。
「ならば、俺の剣と君の光で、運命を変える!」
「はい!」
声を合わせると、光と刃が重なり合いました。
学院を覆う結界は一層強く、そして美しく輝きを増し、魔物の群れは一斉に咆哮を上げます。
光の結界を起点に、学院全体が聖なる輝きに包まれました。
けれど魔物たちは怯むどころかますます凶暴さを増し、幾重にも重なって突進してきます。
結界がびりびりと震え、金色の光に黒い爪が突き刺さっては火花を散らしました。
「っ……セリーナ!」
わたしの手を握った先生の声が鋭くわたしを引き戻す。
「集中しろ。お前の力は俺の剣に重ねろ!」
「はい!」
結界を維持しながら、わたしは手のひらから光を放って先生の剣に注ぎ込みます。
たちまち灰色の刃が眩しく輝き、焔のような光を帯びました。
「ハァッ!」
先生が振り抜くと、光刃が空を裂き、迫る魔物の群れを一閃でまとめて焼き払った。
「な……なんという力だ!」
「聖女と……氷の教師が共鳴している!?」
騎士や生徒たちが息を呑んで見守ります。
でも、まだ終わりではありませんでした。
結界の外側で、ひときわ大きな影がうごめきました。
黒い甲殻の巨躯、血色の目をぎらつかせたそれは、群れを率いる“主”の魔物。
咆哮だけで空気が震え、恐怖で何人かが膝をつくほどの存在感でした。
「これが……大いなる魔獣……!」
わたしも思わず声を震わせます。
しかしレオン先生はただ一歩、前へ進み出ました。
「セリーナ、怖れるな。俺が前に立つ。その後ろで、お前は光を解き放て」
その背中に、ぐっと胸が熱くなります。
(どんな時も、こうして前に立って……守ってくれる)
けれどもう、それだけに頼る私ではありません。
「いいえ、先生。一緒に戦います。わたしを守るだけじゃなくて──共に!」
力を込めて言い切ると、先生はわずかに目を見開き、そして小さく笑いました。
「……そうだったな。君はもう、俺の“守られる存在”じゃない」
魔獣が結界に巨大な腕を叩きつけた瞬間。
「──いま!」
わたしは全身の力を解き放ちました。
印が輝き、学院の空全体が金色の光に染まります。
先生はその光を剣に宿し、跳躍しました。
「おおおおッ!」
雷鳴のような咆哮とともに、光の剣が闇を切り裂きました。
魔獣の甲殻が砕け、白い閃光が走る。
しかし魔獣はまだ吠え、爪を振り下ろそうとする──その時。
「……セリーナ!」
強く握られた手から、想いが流れ込んできました。
わたしたちの心が、鼓動が、完全に重なり合った瞬間。
「この学院を……未来を救う!」
二人の声が重なり、光と刃がひとつとなって奔流を描きました。
黄金の嵐が魔獣を包み込みました。
闇すら焼き尽くすような光が炸裂し、巨体は断末魔とともに溶けていく。
その瞬間、どこからか聖歌のような風が吹き抜け──。
わたしは悟りました。
(これは……“運命”が変わる瞬間)
「……終わったのか」
静まり返った学院の広場。
結界も霧のように消え、残るのは晴れ渡る空と、互いに支え合う二人の姿でした。
ふと気づくと、まだ先生に腕の中で抱きかかえられていて、顔が熱くなるほど近く。
「せ、先生……みんな見ています!」
「構わない」
平然とした顔で髪を撫でられ、思わず赤面してしまいました。
「俺は誓っただろう。今度こそ、二度と君を失わないと」
「……っ」
涙がまた、零れました。
でもその涙は、前のような絶望ではなく、確かに“希望”の熱でした。
大広間の中は一気に騒然となり、貴族たちは顔を青くして混乱するばかり。
神官たちは祈りの言葉を唱えるに留まり、騎士団員たちだけが慌ただしく外へ駆け出していきます。
「学院を包囲するほどの数だと!?」
「こんな時に、城都からの援軍は──!?」
不安の声が飛び交うその中心で、わたしはレオン先生の手に強く包まれていました。
「……セリーナ」
低く呼ばれ、わたしは先生を見上げました。
灰色の瞳は静かに燃えていて、恐怖よりも決意で満ちていました。
「ここから先は地獄だ。だが俺は、必ず君を守る」
その言葉が全身を震わせます。思わず唇を噛み、頷きました。
「わたしも──もう逃げません。わたしの力で学院を守ってみせます」
聖女の印が、手の甲から強い光を放ち始めました。
外に出ると、雨上がりの空の下に黒い影がうごめいていました。
魔物の群れ。かつて記録で読んだ以上の数。牙と爪を光らせ、うねるようにして学院を取り囲んでいます。
「きゃあああっ!」
「結界はまだ張れていないのか!?」
生徒たちの悲鳴。騎士たちが次々に剣を抜きます。
その中で、レオン先生はひとり高く剣を掲げました。
いつの間にか彼の手には、かつてと同じ“騎士アレン”の剣が握られていたのです。
「退け! この場は俺が抑える!」
鋭い声に一瞬場が静まり、次いで勇気を取り戻した騎士たちが「おおっ!」と声をあげました。
灰色の瞳に迷いはなく、漆黒の外套を翻し魔物の群れに切り込む様は、まさに戦場に舞い戻った騎士。
息を呑むほどに凛々しくて、わたしの胸を高鳴らせました。
(……アレン様)
呼びそうになったその名を、慌てて飲み込みました。
でも確かにそこにいたのは、前世の騎士であり、今世でわたしの大切な教師──レオン先生。
「セリーナ嬢!」
背後から声が飛び、振り返ると、留学生のエリオット殿下が駆け寄ってくるのが見えました。
「君は聖女だろう? 君の力がなければ結界を張れない! 我々が時間を稼ぐ、その間に!」
青い瞳は必死に輝いていました。
彼もまた、迷いなく剣を構え、一歩も引かぬ覚悟を示しているのです。
「殿下……ありがとうございます」
ひととき彼と視線を交わし、わたしは心を決めました。
(そうだ、今がその時──!)
胸に手を当て、印を掲げると、眩い光が学院全体を包み始めました。
「聖女の結界を……!」
「これで持ちこたえられるぞ!」
希望の声が次々にあがります。
光の壁は魔物の群れを押し返し、学院を守護しました。
けれど、その光は同時にわたしの体力を激しく奪っていきます。
「はっ……くっ……」
息が荒くなり、立っているのがやっとに。
「セリーナ!」
鋭い声とともに、強い腕がわたしを抱きとめました。
振り返るより早く、レオン先生の胸に引き寄せられます。
「無理をするな。結界は俺が守る。お前は命を削る必要はない」
「でも……これ以上放っておけば!」
「わかっている。だが、一人で背負うな」
髪を撫でられ、頬にそっと触れられる。
凛烈な戦場の空気の中で、その仕草だけが甘くて、わたしは涙が零れそうになりました。
「では……一緒に」
「ああ」
次の瞬間、彼の手がわたしの手を強く握りました。
魂が共鳴したように、胸の奥が熱く輝きました。
先生の灰色の瞳が、わたしの金色の光を映して強く燃え上がります。
「ならば、俺の剣と君の光で、運命を変える!」
「はい!」
声を合わせると、光と刃が重なり合いました。
学院を覆う結界は一層強く、そして美しく輝きを増し、魔物の群れは一斉に咆哮を上げます。
光の結界を起点に、学院全体が聖なる輝きに包まれました。
けれど魔物たちは怯むどころかますます凶暴さを増し、幾重にも重なって突進してきます。
結界がびりびりと震え、金色の光に黒い爪が突き刺さっては火花を散らしました。
「っ……セリーナ!」
わたしの手を握った先生の声が鋭くわたしを引き戻す。
「集中しろ。お前の力は俺の剣に重ねろ!」
「はい!」
結界を維持しながら、わたしは手のひらから光を放って先生の剣に注ぎ込みます。
たちまち灰色の刃が眩しく輝き、焔のような光を帯びました。
「ハァッ!」
先生が振り抜くと、光刃が空を裂き、迫る魔物の群れを一閃でまとめて焼き払った。
「な……なんという力だ!」
「聖女と……氷の教師が共鳴している!?」
騎士や生徒たちが息を呑んで見守ります。
でも、まだ終わりではありませんでした。
結界の外側で、ひときわ大きな影がうごめきました。
黒い甲殻の巨躯、血色の目をぎらつかせたそれは、群れを率いる“主”の魔物。
咆哮だけで空気が震え、恐怖で何人かが膝をつくほどの存在感でした。
「これが……大いなる魔獣……!」
わたしも思わず声を震わせます。
しかしレオン先生はただ一歩、前へ進み出ました。
「セリーナ、怖れるな。俺が前に立つ。その後ろで、お前は光を解き放て」
その背中に、ぐっと胸が熱くなります。
(どんな時も、こうして前に立って……守ってくれる)
けれどもう、それだけに頼る私ではありません。
「いいえ、先生。一緒に戦います。わたしを守るだけじゃなくて──共に!」
力を込めて言い切ると、先生はわずかに目を見開き、そして小さく笑いました。
「……そうだったな。君はもう、俺の“守られる存在”じゃない」
魔獣が結界に巨大な腕を叩きつけた瞬間。
「──いま!」
わたしは全身の力を解き放ちました。
印が輝き、学院の空全体が金色の光に染まります。
先生はその光を剣に宿し、跳躍しました。
「おおおおッ!」
雷鳴のような咆哮とともに、光の剣が闇を切り裂きました。
魔獣の甲殻が砕け、白い閃光が走る。
しかし魔獣はまだ吠え、爪を振り下ろそうとする──その時。
「……セリーナ!」
強く握られた手から、想いが流れ込んできました。
わたしたちの心が、鼓動が、完全に重なり合った瞬間。
「この学院を……未来を救う!」
二人の声が重なり、光と刃がひとつとなって奔流を描きました。
黄金の嵐が魔獣を包み込みました。
闇すら焼き尽くすような光が炸裂し、巨体は断末魔とともに溶けていく。
その瞬間、どこからか聖歌のような風が吹き抜け──。
わたしは悟りました。
(これは……“運命”が変わる瞬間)
「……終わったのか」
静まり返った学院の広場。
結界も霧のように消え、残るのは晴れ渡る空と、互いに支え合う二人の姿でした。
ふと気づくと、まだ先生に腕の中で抱きかかえられていて、顔が熱くなるほど近く。
「せ、先生……みんな見ています!」
「構わない」
平然とした顔で髪を撫でられ、思わず赤面してしまいました。
「俺は誓っただろう。今度こそ、二度と君を失わないと」
「……っ」
涙がまた、零れました。
でもその涙は、前のような絶望ではなく、確かに“希望”の熱でした。
3
あなたにおすすめの小説
断罪された私ですが、気づけば辺境の村で「パン屋の奥さん」扱いされていて、旦那様(公爵)が店番してます
さら
恋愛
王都の社交界で冤罪を着せられ、断罪とともに婚約破棄・追放を言い渡された元公爵令嬢リディア。行き場を失い、辺境の村で倒れた彼女を救ったのは、素性を隠してパン屋を営む寡黙な男・カイだった。
パン作りを手伝ううちに、村人たちは自然とリディアを「パン屋の奥さん」と呼び始める。戸惑いながらも、村人の笑顔や子どもたちの無邪気な声に触れ、リディアの心は少しずつほどけていく。だが、かつての知り合いが王都から現れ、彼女を嘲ることで再び過去の影が迫る。
そのときカイは、ためらうことなく「彼女は俺の妻だ」と庇い立てる。さらに村を襲う盗賊を二人で退けたことで、リディアは初めて「ここにいる意味」を実感する。断罪された悪女ではなく、パンを焼き、笑顔を届ける“私”として。
そして、カイの真実の想いが告げられる。辺境を守り続けた公爵である彼が選んだのは、過去を失った令嬢ではなく、今を生きるリディアその人。村人に祝福され、二人は本当の「パン屋の夫婦」となり、温かな香りに包まれた新しい日々を歩み始めるのだった。
溺愛王子の甘すぎる花嫁~悪役令嬢を追放したら、毎日が新婚初夜になりました~
紅葉山参
恋愛
侯爵令嬢リーシャは、婚約者である第一王子ビヨンド様との結婚を心から待ち望んでいた。けれど、その幸福な未来を妬む者もいた。それが、リーシャの控えめな立場を馬鹿にし、王子を我が物にしようと画策した悪役令嬢ユーリーだった。
ある夜会で、ユーリーはビヨンド様の気を引こうと、リーシャを罠にかける。しかし、あなたの王子は、そんなつまらない小細工に騙されるほど愚かではなかった。愛するリーシャを信じ、王子はユーリーを即座に糾弾し、国外追放という厳しい処分を下す。
邪魔者が消え去った後、リーシャとビヨンド様の甘美な新婚生活が始まる。彼は、人前では厳格な王子として振る舞うけれど、私と二人きりになると、とろけるような甘さでリーシャを愛し尽くしてくれるの。
「私の可愛い妻よ、きみなしの人生なんて考えられない」
そう囁くビヨンド様に、私リーシャもまた、心も身体も預けてしまう。これは、障害が取り除かれたことで、むしろ加速度的に深まる、世界一甘くて幸せな夫婦の溺愛物語。新婚の王子妃として、私は彼の、そして王国の「最愛」として、毎日を幸福に満たされて生きていきます。
皆様ありがとう!今日で王妃、やめます!〜十三歳で王妃に、十八歳でこのたび離縁いたしました〜
百門一新
恋愛
セレスティーヌは、たった十三歳という年齢でアルフレッド・デュガウスと結婚し、国王と王妃になった。彼が王になる多には必要な結婚だった――それから五年、ようやく吉報がきた。
「君には苦労をかけた。王妃にする相手が決まった」
ということは……もうつらい仕事はしなくていいのねっ? 夫婦だと偽装する日々からも解放されるのね!?
ありがとうアルフレッド様! さすが私のことよく分かってるわ! セレスティーヌは離縁を大喜びで受け入れてバカンスに出かけたのだが、夫、いや元夫の様子が少しおかしいようで……?
サクッと読める読み切りの短編となっていります!お楽しみいただけましたら嬉しく思います!
※他サイト様にも掲載
婚約破棄したら食べられました(物理)
かぜかおる
恋愛
人族のリサは竜種のアレンに出会った時からいい匂いがするから食べたいと言われ続けている。
婚約者もいるから無理と言い続けるも、アレンもしつこく食べたいと言ってくる。
そんな日々が日常と化していたある日
リサは婚約者から婚約破棄を突きつけられる
グロは無し
「誰もお前なんか愛さない」と笑われたけど、隣国の王が即プロポーズしてきました
ゆっこ
恋愛
「アンナ・リヴィエール、貴様との婚約は、今日をもって破棄する!」
王城の大広間に響いた声を、私は冷静に見つめていた。
誰よりも愛していた婚約者、レオンハルト王太子が、冷たい笑みを浮かべて私を断罪する。
「お前は地味で、つまらなくて、礼儀ばかりの女だ。華もない。……誰もお前なんか愛さないさ」
笑い声が響く。
取り巻きの令嬢たちが、まるで待っていたかのように口元を隠して嘲笑した。
胸が痛んだ。
けれど涙は出なかった。もう、心が乾いていたからだ。
【完結】辺境に飛ばされた子爵令嬢、前世の経営知識で大商会を作ったら王都がひれ伏したし、隣国のハイスペ王子とも結婚できました
いっぺいちゃん
ファンタジー
婚約破棄、そして辺境送り――。
子爵令嬢マリエールの運命は、結婚式直前に無惨にも断ち切られた。
「辺境の館で余生を送れ。もうお前は必要ない」
冷酷に告げた婚約者により、社交界から追放された彼女。
しかし、マリエールには秘密があった。
――前世の彼女は、一流企業で辣腕を振るった経営コンサルタント。
未開拓の農産物、眠る鉱山資源、誠実で働き者の人々。
「必要ない」と切り捨てられた辺境には、未来を切り拓く力があった。
物流網を整え、作物をブランド化し、やがて「大商会」を設立!
数年で辺境は“商業帝国”と呼ばれるまでに発展していく。
さらに隣国の完璧王子から熱烈な求婚を受け、愛も手に入れるマリエール。
一方で、税収激減に苦しむ王都は彼女に救いを求めて――
「必要ないとおっしゃったのは、そちらでしょう?」
これは、追放令嬢が“経営知識”で国を動かし、
ざまぁと恋と繁栄を手に入れる逆転サクセスストーリー!
※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。
悪役令嬢、記憶をなくして辺境でカフェを開きます〜お忍びで通ってくる元婚約者の王子様、私はあなたのことなど知りません〜
咲月ねむと
恋愛
王子の婚約者だった公爵令嬢セレスティーナは、断罪イベントの最中、興奮のあまり階段から転げ落ち、頭を打ってしまう。目覚めた彼女は、なんと「悪役令嬢として生きてきた数年間」の記憶をすっぽりと失い、動物を愛する心優しくおっとりした本来の性格に戻っていた。
もはや王宮に居場所はないと、自ら婚約破棄を申し出て辺境の領地へ。そこで動物たちに異常に好かれる体質を活かし、もふもふの聖獣たちが集まるカフェを開店し、穏やかな日々を送り始める。
一方、セレスティーナの豹変ぶりが気になって仕方ない元婚約者の王子・アルフレッドは、身分を隠してお忍びでカフェを訪れる。別人になったかのような彼女に戸惑いながらも、次第に本当の彼女に惹かれていくが、セレスティーナは彼のことを全く覚えておらず…?
※これはかなり人を選ぶ作品です。
感想欄にもある通り、私自身も再度読み返してみて、皆様のおっしゃる通りもう少しプロットをしっかりしてればと。
それでも大丈夫って方は、ぜひ。
婚約者を奪った妹と縁を切ったので、家から離れ“辺境領”を継ぎました。 すると勇者一行までついてきたので、領地が最強になったようです
藤原遊
ファンタジー
婚約発表の場で、妹に婚約者を奪われた。
家族にも教会にも見放され、聖女である私・エリシアは “不要” と切り捨てられる。
その“褒賞”として押しつけられたのは――
魔物と瘴気に覆われた、滅びかけの辺境領だった。
けれど私は、絶望しなかった。
むしろ、生まれて初めて「自由」になれたのだ。
そして、予想外の出来事が起きる。
――かつて共に魔王を倒した“勇者一行”が、次々と押しかけてきた。
「君をひとりで行かせるわけがない」
そう言って微笑む勇者レオン。
村を守るため剣を抜く騎士。
魔導具を抱えて駆けつける天才魔法使い。
物陰から見守る斥候は、相変わらず不器用で優しい。
彼らと力を合わせ、私は土地を浄化し、村を癒し、辺境の地に息を吹き返す。
気づけば、魔物巣窟は制圧され、泉は澄み渡り、鉱山もダンジョンも豊かに開き――
いつの間にか領地は、“どの国よりも最強の地”になっていた。
もう、誰にも振り回されない。
ここが私の新しい居場所。
そして、隣には――かつての仲間たちがいる。
捨てられた聖女が、仲間と共に辺境を立て直す。
これは、そんな私の第二の人生の物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる