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第7章 王立学園の入学式
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王都の王立学園の入学式は、まるで王宮の舞踏会よりも華やかで、厳かな雰囲気でした。
大理石の床は、磨き上げられてぴかぴかと光り、高い天井からは、まばゆいシャンデリアが幾つも吊るされています。
色とりどりのドレスや、仕立ての良いタキシードに身を包んだ貴族の子息令嬢たちが、ざわめきながら入場してきます。
わたしは、アラン様と一緒に、静かにその様子を眺めていました。
「緊張、しますね……」
思わず、小さくつぶやいてしまいました。
わたしがそう言うと、アラン様は、わたしの手を取ると、優しく握りしめてくださいました。
「大丈夫だ。僕が、君の隣にいるよ」
アラン様のその言葉が、わたしの心を、温かく、そして強くしてくれました。
この日のために、わたしとアラン様は、本当にたくさん、たくさん勉強しました。
努力は、きっと報われる。そう信じていました。
開会の挨拶が終わり、いよいよ、新入生代表の挨拶が始まります。
壇上に上がった学園長は、厳格な表情で、新入生たちを見渡しました。
「さて、今年の入学者の中には、例年にない、素晴らしい成績を収めた者がいる。筆記試験において、満点を叩き出した、ヴァンデル侯爵家のご子息、アラン・ヴァンデル君。そして、次席として、コレット準男爵家のご息女、リリアーナ・コレット嬢だ」
学園長の言葉が、会場に響き渡ると、一瞬、静まり返りました。
誰もが、予想していなかったようでした。
アラン様が、片足を失い、長年、社交界から遠ざかっていたことは、貴族の間では有名な話です。そして、わたしが、没落した準男爵家から来たことを知らない人はいませんでした。
そんなわたしとアラン様が、首席と次席。
周囲の驚きに満ちた視線を感じながら、わたしは、アラン様と一緒に、壇上へと上がりました。
アラン様は、堂々とした足取りで、前を向いて歩いています。
もう、あの日の、心を閉ざした少年ではありませんでした。
わたしは、彼の隣を誇らしい気持ちで歩きました。
壇上で、アラン様は、新入生代表として、素晴らしい挨拶をしてくださいました。
それは、彼の学術に対する情熱と、未来への希望に満ちた、力強い挨拶でした。
そして、わたしは、彼の隣に立つことができただけで、胸がいっぱいでした。
わたしが、彼を支えることができた。
彼を、もう一度、輝かせることができた。
そう思うと、わたしは、彼の隣に立っていることが、なによりも嬉しかったのです。
その時、わたしは、ある一角に、見慣れた人影を見つけました。
「……ミレイユお義母様……」
目を凝らすと、そこには、ミレイユお義母様と、その隣に、わたしよりも少し年下の、太った少年がいました。
わたしの義弟、マルコです。
二人は、わたしたちの姿を見て、口をあんぐりと開け、呆然としていました。
その表情は、驚きと、信じられない、という気持ちに満ちていて、まるで、喜劇の登場人物のようでした。
マルコは、わたしが家にいた頃、わたしをいつも『出来損ない』『役立たず』と罵っていました。
そして、ミレイユお義母様は、マルコを次期当主に据えるために、わたしを売り払ったのです。
そんな二人が、今、わたしが首席の隣に立ち、堂々と挨拶をしている姿を、目の当たりにしている。
そして、きっと周囲の誰もが、わたしとアラン様を称賛の目で見ています。
ああ、これが……仕返し、というものなのでしょうか。
わたしは、心の中で、小さく、そっと呟きました。
彼らに対する憎しみは、もうありませんでした。ただ、遠い、過去の出来事を見るかのような、不思議な感覚でした。
***
入学式が終わると、わたしとアラン様は、たくさんの貴族から声をかけられました。
「アラン様! 噂は聞いておりましたが、まさか、首席とは……!」
「リリアーナ嬢も、見違えるほどお美しくなって……。さすがは侯爵家のご子息にご指導されただけありますわね」
どの言葉も、わたしが、あの準男爵家にいた頃には、決して聞くことのできなかった、称賛の言葉でした。
アラン様は、にこやかに、しかし、一歩もわたしから離れずに、わたしをエスコートしてくださいました。
その時、人垣をかき分けて、ミレイユお義母様とマルコが、わたしたちの方へ向かってきました。
「リリアーナ! あなた、なぜ、あんなところに立っているの!?」
ミレイユお義母様は、わたしを指さして、大声で叫びました。
周囲の貴族たちは、何事かと、わたしたちの方を見つめました。
わたしは、ミレイユお義母様を、知らない人のように、静かに見つめ返しました。
「……失礼ですが、どちら様でしょうか?」
わたしの言葉に、ミレイユお義母様は、顔を真っ赤にして、わたしの胸倉を掴もうとしました。
ですが、その前に、アラン様が、わたしの前に立ちはだかりました。
「……あなた方は、何者ですか? 僕の大切なリリアーナ嬢に、無礼な真似はやめていただきたい」
アラン様の、冷たい、それでいて威圧的な声に、ミレイユお義母様は、ひるんでしまいました。
マルコは、アラン様の義足を見て、ニヤリと笑いました。
「なんだ、その足は……。ヴァンデル侯爵家のご子息も、ずいぶんと落ちぶれたものだな!」
マルコのその言葉に、アラン様の瞳に怒りが宿りました。
ですが、アラン様は一言も反論せずに、ただ、静かにマルコを見つめました。
「マルコ! お黙りなさい!」
ミレイユお義母様は、慌ててマルコの口を押さえました。
そして、アラン様に媚びるような笑みを浮かべました。
「申し訳ありません、ヴァンデル侯爵家のご子息……。この子は、まだ、世間知らずで……。この娘は、わたくしの娘、リリアーナです。彼女は、わたくしたちコレット家が、ヴァンデル侯爵家にご奉仕するために、お預けしたのですわ」
その言葉に、周囲の貴族たちは、ざわめき始めました。
『ご奉仕』などという言葉は、本来、主従関係に使うもので、娘を養子に出す際にも、決して使われることはありません。
ミレイユお義母様は、わたしを売り払ったことを、必死に隠そうとしていました。
ですが、アラン様は、そんな彼女の言葉を静かに、しかし、鋭く切り捨てました。
「ご奉仕……ですか。であれば、貴方方は、二千枚の金貨と引き換えに、僕たちに『ご奉仕』したということですか? 実に厚かましい人たちだ」
アラン様のその言葉に、ミレイユお義母様とマルコは顔色を失いました。
二千枚の金貨。それは、わたしがオークションで売られた金額でした。
周囲の貴族たちは、その金額に驚きの声を上げました。
「あ、あなた! この場でいったい何を言い出すつもり!?」
ミレイユお義母様は、アラン様を罵ろうとしましたが、その前に、侯爵家の執事が、静かに、そして毅然とした態度で、彼女の前に立ちました。
「コレット準男爵夫人。貴方様は、これ以上、ヴァンデル侯爵家のご子息と、リリアーナ嬢に、無礼を働くことは許されません」
執事の言葉に、ミレイユお義母様は、顔を真っ青にしました。
彼女は、何も言えずに、ただ、その場に立ち尽くすことしかできませんでした。
そして、わたしたちを睨みつけると、マルコの手を引いて、人混みの中へと消えていきました。
***
ミレイユお義母様たちが去った後、アラン様は、わたしの手を取り、静かに、人目のない場所へと、わたしを連れて行ってくださいました。
「……大丈夫か、リリアーナ?」
アラン様は、わたしの頬に、そっと触れてくださいました。
彼の指先は、とても温かく、わたしの心を、安らかにしてくれました。
「はい、アラン様のおかげで……」
わたしは、彼に感謝の気持ちを伝えました。
アラン様は、わたしの頭を優しく撫でてくださいました。
「……君は、もう、誰にも傷つけさせないからね」
彼の言葉に、わたしの胸は温かい光に満たされていきました。
「……アラン様は、本当に優しくて強い方ですね!」
わたしがそう言うと、アラン様は、少しだけ照れたように顔を伏せました。
「……君の前では、そうありたいと、思うんだ」
アラン様の言葉に、わたしの心臓は、高鳴りました。
彼がわたしに、特別な感情を抱いてくれていることを、はっきりと感じることができました。
そして、アラン様は、わたしの両手を取ると、真剣な眼差しで、わたしを見つめました。
「……リリアーナ。僕は、君とこれから、ずっと一緒にいたいんだ」
アラン様のその言葉に、わたしは言葉を失いました。
彼の深い群青の瞳は、わたしだけを映していました。
大理石の床は、磨き上げられてぴかぴかと光り、高い天井からは、まばゆいシャンデリアが幾つも吊るされています。
色とりどりのドレスや、仕立ての良いタキシードに身を包んだ貴族の子息令嬢たちが、ざわめきながら入場してきます。
わたしは、アラン様と一緒に、静かにその様子を眺めていました。
「緊張、しますね……」
思わず、小さくつぶやいてしまいました。
わたしがそう言うと、アラン様は、わたしの手を取ると、優しく握りしめてくださいました。
「大丈夫だ。僕が、君の隣にいるよ」
アラン様のその言葉が、わたしの心を、温かく、そして強くしてくれました。
この日のために、わたしとアラン様は、本当にたくさん、たくさん勉強しました。
努力は、きっと報われる。そう信じていました。
開会の挨拶が終わり、いよいよ、新入生代表の挨拶が始まります。
壇上に上がった学園長は、厳格な表情で、新入生たちを見渡しました。
「さて、今年の入学者の中には、例年にない、素晴らしい成績を収めた者がいる。筆記試験において、満点を叩き出した、ヴァンデル侯爵家のご子息、アラン・ヴァンデル君。そして、次席として、コレット準男爵家のご息女、リリアーナ・コレット嬢だ」
学園長の言葉が、会場に響き渡ると、一瞬、静まり返りました。
誰もが、予想していなかったようでした。
アラン様が、片足を失い、長年、社交界から遠ざかっていたことは、貴族の間では有名な話です。そして、わたしが、没落した準男爵家から来たことを知らない人はいませんでした。
そんなわたしとアラン様が、首席と次席。
周囲の驚きに満ちた視線を感じながら、わたしは、アラン様と一緒に、壇上へと上がりました。
アラン様は、堂々とした足取りで、前を向いて歩いています。
もう、あの日の、心を閉ざした少年ではありませんでした。
わたしは、彼の隣を誇らしい気持ちで歩きました。
壇上で、アラン様は、新入生代表として、素晴らしい挨拶をしてくださいました。
それは、彼の学術に対する情熱と、未来への希望に満ちた、力強い挨拶でした。
そして、わたしは、彼の隣に立つことができただけで、胸がいっぱいでした。
わたしが、彼を支えることができた。
彼を、もう一度、輝かせることができた。
そう思うと、わたしは、彼の隣に立っていることが、なによりも嬉しかったのです。
その時、わたしは、ある一角に、見慣れた人影を見つけました。
「……ミレイユお義母様……」
目を凝らすと、そこには、ミレイユお義母様と、その隣に、わたしよりも少し年下の、太った少年がいました。
わたしの義弟、マルコです。
二人は、わたしたちの姿を見て、口をあんぐりと開け、呆然としていました。
その表情は、驚きと、信じられない、という気持ちに満ちていて、まるで、喜劇の登場人物のようでした。
マルコは、わたしが家にいた頃、わたしをいつも『出来損ない』『役立たず』と罵っていました。
そして、ミレイユお義母様は、マルコを次期当主に据えるために、わたしを売り払ったのです。
そんな二人が、今、わたしが首席の隣に立ち、堂々と挨拶をしている姿を、目の当たりにしている。
そして、きっと周囲の誰もが、わたしとアラン様を称賛の目で見ています。
ああ、これが……仕返し、というものなのでしょうか。
わたしは、心の中で、小さく、そっと呟きました。
彼らに対する憎しみは、もうありませんでした。ただ、遠い、過去の出来事を見るかのような、不思議な感覚でした。
***
入学式が終わると、わたしとアラン様は、たくさんの貴族から声をかけられました。
「アラン様! 噂は聞いておりましたが、まさか、首席とは……!」
「リリアーナ嬢も、見違えるほどお美しくなって……。さすがは侯爵家のご子息にご指導されただけありますわね」
どの言葉も、わたしが、あの準男爵家にいた頃には、決して聞くことのできなかった、称賛の言葉でした。
アラン様は、にこやかに、しかし、一歩もわたしから離れずに、わたしをエスコートしてくださいました。
その時、人垣をかき分けて、ミレイユお義母様とマルコが、わたしたちの方へ向かってきました。
「リリアーナ! あなた、なぜ、あんなところに立っているの!?」
ミレイユお義母様は、わたしを指さして、大声で叫びました。
周囲の貴族たちは、何事かと、わたしたちの方を見つめました。
わたしは、ミレイユお義母様を、知らない人のように、静かに見つめ返しました。
「……失礼ですが、どちら様でしょうか?」
わたしの言葉に、ミレイユお義母様は、顔を真っ赤にして、わたしの胸倉を掴もうとしました。
ですが、その前に、アラン様が、わたしの前に立ちはだかりました。
「……あなた方は、何者ですか? 僕の大切なリリアーナ嬢に、無礼な真似はやめていただきたい」
アラン様の、冷たい、それでいて威圧的な声に、ミレイユお義母様は、ひるんでしまいました。
マルコは、アラン様の義足を見て、ニヤリと笑いました。
「なんだ、その足は……。ヴァンデル侯爵家のご子息も、ずいぶんと落ちぶれたものだな!」
マルコのその言葉に、アラン様の瞳に怒りが宿りました。
ですが、アラン様は一言も反論せずに、ただ、静かにマルコを見つめました。
「マルコ! お黙りなさい!」
ミレイユお義母様は、慌ててマルコの口を押さえました。
そして、アラン様に媚びるような笑みを浮かべました。
「申し訳ありません、ヴァンデル侯爵家のご子息……。この子は、まだ、世間知らずで……。この娘は、わたくしの娘、リリアーナです。彼女は、わたくしたちコレット家が、ヴァンデル侯爵家にご奉仕するために、お預けしたのですわ」
その言葉に、周囲の貴族たちは、ざわめき始めました。
『ご奉仕』などという言葉は、本来、主従関係に使うもので、娘を養子に出す際にも、決して使われることはありません。
ミレイユお義母様は、わたしを売り払ったことを、必死に隠そうとしていました。
ですが、アラン様は、そんな彼女の言葉を静かに、しかし、鋭く切り捨てました。
「ご奉仕……ですか。であれば、貴方方は、二千枚の金貨と引き換えに、僕たちに『ご奉仕』したということですか? 実に厚かましい人たちだ」
アラン様のその言葉に、ミレイユお義母様とマルコは顔色を失いました。
二千枚の金貨。それは、わたしがオークションで売られた金額でした。
周囲の貴族たちは、その金額に驚きの声を上げました。
「あ、あなた! この場でいったい何を言い出すつもり!?」
ミレイユお義母様は、アラン様を罵ろうとしましたが、その前に、侯爵家の執事が、静かに、そして毅然とした態度で、彼女の前に立ちました。
「コレット準男爵夫人。貴方様は、これ以上、ヴァンデル侯爵家のご子息と、リリアーナ嬢に、無礼を働くことは許されません」
執事の言葉に、ミレイユお義母様は、顔を真っ青にしました。
彼女は、何も言えずに、ただ、その場に立ち尽くすことしかできませんでした。
そして、わたしたちを睨みつけると、マルコの手を引いて、人混みの中へと消えていきました。
***
ミレイユお義母様たちが去った後、アラン様は、わたしの手を取り、静かに、人目のない場所へと、わたしを連れて行ってくださいました。
「……大丈夫か、リリアーナ?」
アラン様は、わたしの頬に、そっと触れてくださいました。
彼の指先は、とても温かく、わたしの心を、安らかにしてくれました。
「はい、アラン様のおかげで……」
わたしは、彼に感謝の気持ちを伝えました。
アラン様は、わたしの頭を優しく撫でてくださいました。
「……君は、もう、誰にも傷つけさせないからね」
彼の言葉に、わたしの胸は温かい光に満たされていきました。
「……アラン様は、本当に優しくて強い方ですね!」
わたしがそう言うと、アラン様は、少しだけ照れたように顔を伏せました。
「……君の前では、そうありたいと、思うんだ」
アラン様の言葉に、わたしの心臓は、高鳴りました。
彼がわたしに、特別な感情を抱いてくれていることを、はっきりと感じることができました。
そして、アラン様は、わたしの両手を取ると、真剣な眼差しで、わたしを見つめました。
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