【完結】私は身代わりの王女だったけれど、冷たい王太子に愛されました。

朝日みらい

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まさか、義理の姉妹たちが婚約者候補になるなんて。

いや、考えてみれば、あの二人も隣国の由緒ある公爵家出身だし、顔も派手だし、よく飾り立てられているし、まあそれなりに目を引く存在だ。

けれど、そんな彼女たちが急病になるという展開には、さすがに驚かされた。  

「お母様…私たち、熱が…で、出そうですわ…!」  

リリスが額に手を当てて、ベッドの上で弱々しい声を出している。

どう見ても演技だ。

隣でマリーネも、同じポーズで「頭がくらくらする…!」なんて言っている。  

いやいや、昨日の晩餐の時は二人とも元気だったじゃない。

むしろ、私のドレスを見て「そんな色、どこで拾ってきたの?」とか言いながら大笑いしてたのに。  

「まあ、なんてこと…」  

継母はそれを信じたふりをして、わざとらしく眉をひそめている。

これもまた演技に違いない。  

私はその光景を部屋の隅から黙って見ていた。

黙っているのが一番だ。

下手に口を開くと、また私が何か悪者にされそうな予感がしたからだ。  

「それで、どうする?」と父が少し困った顔で尋ねる。

彼もまた、継母たちの演技を見抜いているのかもしれないが、病で弱っている彼には、今さら意見を言う気力がないのだろう。  

その時だ。

継母の目が、鋭い光を放ちながらこちらを向いた。

いやな予感がした。

その瞬間、私は「逃げるべきだった」と気づいたが、もう遅い。  

「仕方ないわね。エリシア、仕方ないけど、あなたが身代わりに行きなさい。」  

継母のその一言に、私は固まった。  

「えっ…私が?」  

思わず聞き返すと、彼女はにっこりと笑って、まるで母親のような優しい声でこう言った。  

「ええ、もちろん。リリスもマリーネも、今は病気で可哀想だもの。あなたなら立派に役目を果たせるでしょうよ。」  

いやいや、そんなわけないでしょう?

私が選ばれるなんて、誰も期待していないし、むしろ相手に失礼なんじゃないの?と、心の中で叫びたくなったけれど、声には出せなかった。  

「でも、私なんかでいいんでしょうか…?」  

そう尋ねると、継母は涼しい顔でこう言った。  

「問題ないわ。あなたも家族の一員ですもの。それに…」  

彼女は一瞬、意地悪そうな笑みを浮かべた。  

「相手の王子様は、そんな細かいこと気にしないでしょう」  

その瞬間、私は確信した。

これはただの身代わり。

しかも、何かしら厄介ごとに巻き込まれる予感しかしない。  

***

数日後、私は豪華な馬車に乗せられて、隣国の王宮へ向かうことになった。

義理の姉妹たちは窓から手を振りながら「がんばってねー!」なんて言っている。

その笑顔の裏にある腹黒さを知っているのは、私だけだ。  

馬車の中では、緊張で手が震えていた。

見知らぬ相手に会うことになるなんて…。

しかも、相手は王子様だなんて聞いていない。

どんな人なんだろう?

優しい人だといいけど、もしものことを考えると、息が詰まりそうになる。  

「まあ、どうにかなるよね…」  

自分に言い聞かせながら、窓の外をぼんやり眺めた。

すると、ふと目に入ったのは、澄んだ青空と遠くに広がる緑の平原だった。

それを見て、少しだけ心が落ち着いた。  

「ねえ、誰かが守ってくれるならいいけどなぁ…」  

そうつぶやいた瞬間、馬車が突然止まった。

何事かと思って窓を開けると、目の前には立派な城がそびえ立っていた。

これから私の運命がどう転ぶのか、考えるだけで胸が高鳴る。

でも、同時に不安でいっぱいだった。  

そして、ここで始まる新しい生活が、思ってもみなかった展開を迎えることになるなんて、今の私には知る由もなかった。  
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