【完結】私は身代わりの王女だったけれど、冷たい王太子に愛されました。

朝日みらい

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今夜は宮廷舞踏会。

ドレスを着ると、なんだかいつもと違う自分に変わった気がする。

まぁ、変わらないのは顔だけだけど。

それでも、ドレスを纏うことでちょっとだけ自信が湧いてくるから不思議だ。  

「うーん、やっぱりこのドレス、ちょっと派手すぎたかな…」  

私は鏡の前で、自分の姿を確認する。

サテンのドレスがしなやかに体を包み、シルバーのレースがふわりと広がる。

胸元がちょっとだけ開いていて、肩には繊細な刺繍が施されている。

ふんわりしたスカートが、少し歩くたびに優雅に揺れる。

正直、ちょっと緊張する。

だって、こんな華やかな場に出るのが初めてだから。  

「お前、すごく綺麗だ。」  

突然、レオニードの声が背後から聞こえてきて、思わずビクッとする。

振り向くと、彼は無表情で立っていたけれど、目が少しだけ柔らかいように見える。  

「ちょっと…そういうこと言わないでください、恥ずかしいから。」  

私は顔を真っ赤にして、照れ隠しに髪をかき上げる。

レオニードは、そんな私をじっと見つめたまま、にっこりと微笑む。  

「でも、ほんとに綺麗だ。」  

彼は相変わらず冷たい表情をしているのに、その目はどこか優しさが滲んでいる。

それに、なんだか私の心がドキッとしちゃう。うわ、どうしよう、この気持ち。  

舞踏会の会場に到着すると、目の前に広がるのは煌びやかな空間だった。

シャンデリアの光が天井から降り注ぎ、黄金の装飾が華やかに輝く。

貴族たちが集まり、華やかなドレスとスーツで埋め尽くされている。  

「すごい…」  

私はつい呟く。

周りの人々の視線が一斉に私に向けられ、驚きや興味の色が見て取れる。

こんなに注目されたことなんてなかったから、少しだけ気恥ずかしくなる。  

その時、すぐ近くから声が聞こえた。
  
「おや、あんたがこの会場にいるとはね。」  

目を向けると、そこには私がよく知らない貴族たちが集まっていた。

彼らの表情はどこか冷たく、意地悪そうな笑みを浮かべている。  

きっと、反逆の機会をうかがう、継母と仲良しの反王制派の貴族たちだろう。

「お前、こんなところにいていいのか?」  

一人がわざとらしく、私を上から目線で見下ろしてきた。

心の中で「あ、こいつら…」って思いながらも、私はできるだけ冷静に対応する。  

「私は王太子妃ですから、問題ありませんわ。」  

きっぱりと言い返すけれど、貴族たちは鼻で笑って言った。  

「結婚したからって、まさか実の母親が庶民あがりの濁った血筋だろ…」  

その瞬間、私の中で何かがプチンと切れた。

静かな怒りが湧き上がる。

でも、それを表に出さないように心がけて、私は冷静に言い放った。  

「人の立場を見下すのはやめていただけませんか?きっと継母から噂を聞いているんでしょう? あなた方のような陰険な…」  

「おや、浅ましや。姫様がマジで怒っているのか?まさか、本当に母親は宮廷侍女かよ?」  

貴族たちが鼻で笑う。

しかし、私はもう全く動じなかった。  

その時、レオニードが私の背後に静かに立っていた。

知らぬ間に、彼が私の盾になってくれたらしい。

周りの空気が一瞬凍りつく。  

「おい、やめろ。」  

冷たい声が響くと、貴族たちは一瞬で黙り込む。

レオニードが私を守るように前に出て、その冷たい視線で貴族たちを一掃する。  

「俺の妻に手を出すなら、覚悟しろよ。」  

その言葉に、貴族たちは顔を引きつらせながらも、何も言えずに去って行った。

私は、内心でちょっとだけ胸を張った。  

「ありがとう。」  

私は少し照れながらレオニードにお礼を言う。でも、彼はまた無表情で言う。  

「別に。」  

でも、その目はどこか満足そうだった。  

しばらくすると、舞踏会の音楽が流れ始める。

誰かが私に手を差し伸べてきた。  

「王太子妃様、一緒に踊りませんか?」  

その手を見て、私は少し考えてから、微笑みながら答えた。  

「ありがとうございます。でも、殿下と踊りたいんです。」  

彼の名前を言った瞬間、レオニードが振り向いて私を見た。

ちょっとした沈黙が流れたあと、彼は無言で私の手を取る。  

そして、私たちは踊り始めた。

周りの目が気になるけれど、レオニードと一緒にいると、何も気にせずに自然と体を任せることができる。  

「ねぇ、さっきのこと、ありがとう。」  

「…別に。そんなに感謝されるほどのことじゃない。」  

彼の口調は相変わらず冷たく、けれどその目には優しさが隠れている気がした。  

「でも、あなたが来てくれて本当に良かった。嬉しかったよ。」  

私は少し照れながら、思わず言ってしまう。

すると、レオニードが少しだけ口元をゆるめた。  

「お前、いつもバカみたいなこと言うな。」  

「もう、うるさいから。」  

私は顔を赤くして、彼の腕を少し強く握る。

でも、心の中ではとっても幸せだった。

今夜、私はレオニードと一緒に踊りながら、少しだけこの舞踏会が嫌いじゃなくなった気がした。
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