【完結】私は身代わりの王女だったけれど、冷たい王太子に愛されました。

朝日みらい

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夜の王宮は静かで、ほんのりとした灯りが廊下に漏れ、心地よい静寂が漂っている。

私はレオニードと一緒に、庭園のベンチに座っていた。

少し冷えた風が髪を揺らすけど、彼が隣にいると、不思議と暖かい気持ちになる。

「エリシア、少し話がしたい。」  

その言葉に、私は少し驚いて彼を見上げる。

レオニードが、いつもと違って真剣な顔をしているのがわかる。

彼がこんな風に言うのは珍しい。

「もちろん。」  

私はうなずき、彼の隣に身を寄せた。

彼の腕が少し触れるだけで、心臓がドキドキして、でも、それがとても心地よくて、私は思わず彼に寄りかかる。

レオニードは少し黙った後、ゆっくりと口を開いた。  

「俺…人を信じることができなかった。」  

その言葉が、私の胸に響く。

レオニードが人を信じられない理由が何となくわかる気がした。

私もあの時、継母に裏切られて信じることが怖くなった。

でも、彼はもっと深い傷を抱えているのだろう。

「どうして?」  

私は声を柔らかくして、彼の目を見つめる。

レオニードが目を逸らさずに、私を見てくれるのが嬉しい。

「子供のころ、俺の家は崩壊して、俺は孤立していた。周りの人々はみんな裏切り者で、信じていた人がみんな俺を裏切ったんだ。」  

彼が話しながら、目をわずかに閉じる。

その顔には、まだあの時の痛みが残っているのが見える。

「それって、すごく辛かったよね。」  

私は彼の手をそっと握る。彼の手は少し冷たくて、でも、私の温かさが少しでも伝わるように、しっかりと握り返す。  

「でも、レオニード、今はもう大丈夫よ。」  

そう言うと、彼が驚いた顔で私を見つめる。

私も、真剣に彼の目を見つめ返した。

「エリシア…」  

彼の声は少し震えている。

そんな彼の気持ちに、私も胸がいっぱいになる。

「私は、あなたのことを信じてるから。」  

私は、ほんの少しだけ顔を赤らめてそう言った。

ちょっと照れくさいけれど、でも本心からそう思っている。

レオニードは少し間を置いてから、ゆっくりと笑顔を見せた。  

「ありがとう、エリシア。お前がそう言ってくれるなら、少しだけ安心できる。」  

その言葉に、私は胸が温かくなる。

こんなに近くにいて、彼とこうして心を通わせることができるなんて、幸せだと感じる。

「でも、私も…レオニードのことをもっと知りたい。」  

私がそう言うと、レオニードが少し困ったように眉をひそめる。  

「俺のこと?」  

「うん。」  

私はうなずき、少し恥ずかしそうに下を向いた。  

「だって、あなたが本当はどう思ってるのか、どうしてあんなに冷たく見えるのか、気になるんだもん。」  

レオニードがしばらく黙って考え込む。

ほんの少しだけ私から目をそらして、でもすぐにその目を戻してくれる。

「俺は、そうやって心を閉ざしてきたんだ。エリシアみたいに、誰かを信じることができたら、どんなに楽だろうって思ってた。でも、今はお前とこうして一緒にいることで、少しずつ信じることができるようになってきてる。」  

レオニードの言葉に、私は心が震える。

彼がこうして心を開いてくれるなんて、思ってもみなかった。

彼がどんなに傷ついてきたかを少しだけ感じられる気がした。

「レオニード、ありがとう。」  

私は言葉が詰まるほど、彼の言葉に感謝の気持ちでいっぱいになった。
  
「私も、あなたに寄り添いたいと思ってるよ。」  

「エリシア…」  

彼はもう一度、私をしっかりと見つめる。

そこにあるのは、かつての冷徹な顔ではなく、私を大切に思う優しさが込められている。

「お前がそばにいてくれるから、俺も少しずつ変われる気がする。」  

その言葉に、私は嬉しさが込み上げてくる。

彼が心を開いてくれるなんて、こんなに幸せなことはない。

その後、私たちはしばらく黙って座っていた。

言葉にできない気持ちが二人の間に流れ、ただお互いの存在を感じながら、時間が過ぎていった。

「ねぇ、レオニード。」  

ふと私は思いついて、彼に声をかける。  

「うん?」  

「今、心を開いてくれたけど…その分、私ももっと頑張らないとね。」  

「どういう意味だ?」  

「だって、あなたのこと、もっと理解したいから。これからも、少しずつお話ししてくれる?」  

レオニードが少し笑って、私の手をぎゅっと握り返してくれる。

「もちろんだ、エリシア。お前が欲しいなら、何でも話すよ。」  

その言葉に、私は嬉しさで胸がいっぱいになり、自然と笑顔がこぼれた。
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