[完結]新米神官のお嬢様は、酔っ払い従者と怪物討伐です1【ゲリスヘーデスの呪い編】

第三章

第24話

　３体のヒドラ獣は、クララのおびえた様子を感じ取ったのか、シールド膜を破ろうと、執拗にかじりついたり、爪で引っ掻いたりと、猛攻を繰り出してくる。

　俊敏に動き回る３体に攻撃をしかける隙はない。

　攻撃をするには、防御魔法を切り替えなくてはならないが、その隙に、ヒドラ獣に一度、首を噛まれたりでもすれば、即、致命傷になりかねない。

｢く、くっ、あああっ……｣
　クララの口は、苦痛で喘ぎ声を出した。

　シールドと発光のエネルギー源は、着実にクララの体力を次第に奪いつつある。

　クララの銀杖を持つ手は震え、そのたびに、クララの額から無数の汗の粒が噴き出してきた。

　まるで身体を鞭を打たれるように、身を切るような痛みと激痛が走る。

　セリスは、クララの横に並んで立つと、耳元で囁いた。

｢まだ、持ちこたえられるか。どうだ？｣

｢で、できます……｣

｢奴らも同じようにように消耗している。勝負は一瞬しかない｣

｢どうするつもり……？｣

｢俺が合図したら、きみは閃光を放ち、ここから逃げろ。俺が視界を奪った瞬間を仕留める｣

｢わたしも……戦う｣

｢もう、戦う体力は残っていないだろ。よしておけ。無駄な犠牲は出したくないんだ｣

｢従者のくせに……生意気よ｣

　クララは、顔を歪めながら、片目で睨んだ。

　セリスは、前を見据えたまま、言った。

｢分かった。二段攻撃にする。俺の攻撃は一度切りだ。だが、致命傷はおそらくできない。弱った奴らに、きみが聖なる槍でとどめをさせ｣