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昼休み、わたしはさっそく生徒会室でポスター募集に応募することを申し入れた。
そして、クラスの終礼が終わるか否や、校舎の外に待っていた自身の御者を見送り、彼を待っていた。
すぐに彼は、わたしを呼び止め、彼の男爵家の馬車で、鍛練場へと向かう。
わたしは鍛練場で、彼が他の訓練生たちと剣を交える姿をスケッチした。
騎士団の鍛錬所に向かうフェルスに便乗させてもらうことにした。
せっかくの機会だもの。わたしの描きたいもの、すべては彼だ。一分一秒も無駄にしたくない。この思いを、ポスターの絵に込めるのだ。
今まで描いたことのない、鍛錬所でのフェルスの姿を描くと決めた。心が躍ってしまう。
「すてきだわ」
王宮のとなりにある騎士団の鍛錬所だ。フェルスはふだん、ここで鍛錬しているという。学園と王宮の中間の位置にある。
彼に特別室に案内されて、窓ガラス越しに騎士たちの姿を見る。躍動感あふれる彼を、この絵に込めるのだ。
「わあ……」
彼がうごくたびに、変な声が出てしまう。彼は相手と木剣をかまえると、まるで本当の戦闘時のように剣をふるっている。相手も猛者でいい勝負だ。校舎から見ていたときとは違う迫力に、いつしか声を出すことすら忘れていた。手に汗にぎる思いだ。
描かなきゃダメだわ。
高揚する心を描くのだ。うまく描く必要はない。見返した時に、この感動がよみがえればいい。それが私の絵をみた人に何かを感じてもらえる。
一戦を終えて、彼がわたしのもとにやってきた。
「どうでした」
「フェリスさま、とてもすてきでした。たくさんのラフ画を描くことができましたわ。なかでもこちら。下書きまで描けましたの」
「わあ。すごいな、これは」
「それほどでも。それにしても、素敵でしたわ。フェリス様の勇姿」
「まだ新人騎士だけどね」
「そんなことありませんわ。剣の鍛錬は、長年の経験のたまものだと感じられました。足の踏み込みで、ああって何かが伝わってきて、こう、構えてからの一瞬の動きがまた、素敵でした。どうやったら、あんなに強くなれるのですか?」
「ここだと決めて敵に飛び込む勇気を出せば、勝てると思う。すべてをなくしてもいいという気持ちだね」
「すべてを投げ出すような、勇気。かっこいいですわ……」
話術が長けていれば、この熱い思いは伝わるのだろうけれど、語彙力がないので、残念でならない。
「なにかその、照れるな、ありがとう」
「本当のことしか言っていませんので、照れる必要などありませんわ」
しっかりといいきると、はやりフェルリスの耳は赤くなっていた。
日暮れまで鍛錬を続けていたので、熱い思いが込められた一枚に仕上がりそうだ。
「ごめんなさい。遅れてしまったね」
「いいえ。その分、わたしもかなり作業が進みましたの」
「見せてくれる?」
「もちろんです」
わたしは、彼の躍動する姿のスケッチを見せた。
「よく描けてるね。これをどう、アレンジするんだい」
「わからないわ。でも、もっとたくさん描けば、イメージが湧くと思うわ」
「だったら、今週の日曜日、ピクニックでも行きませんか」
「……よ、よろしいのですか?」
「もちろん。当日、ご自宅にお迎えにいきますよ」
「ありがとう。ぜひ、ぜひよろしくお願いします」
そして、クラスの終礼が終わるか否や、校舎の外に待っていた自身の御者を見送り、彼を待っていた。
すぐに彼は、わたしを呼び止め、彼の男爵家の馬車で、鍛練場へと向かう。
わたしは鍛練場で、彼が他の訓練生たちと剣を交える姿をスケッチした。
騎士団の鍛錬所に向かうフェルスに便乗させてもらうことにした。
せっかくの機会だもの。わたしの描きたいもの、すべては彼だ。一分一秒も無駄にしたくない。この思いを、ポスターの絵に込めるのだ。
今まで描いたことのない、鍛錬所でのフェルスの姿を描くと決めた。心が躍ってしまう。
「すてきだわ」
王宮のとなりにある騎士団の鍛錬所だ。フェルスはふだん、ここで鍛錬しているという。学園と王宮の中間の位置にある。
彼に特別室に案内されて、窓ガラス越しに騎士たちの姿を見る。躍動感あふれる彼を、この絵に込めるのだ。
「わあ……」
彼がうごくたびに、変な声が出てしまう。彼は相手と木剣をかまえると、まるで本当の戦闘時のように剣をふるっている。相手も猛者でいい勝負だ。校舎から見ていたときとは違う迫力に、いつしか声を出すことすら忘れていた。手に汗にぎる思いだ。
描かなきゃダメだわ。
高揚する心を描くのだ。うまく描く必要はない。見返した時に、この感動がよみがえればいい。それが私の絵をみた人に何かを感じてもらえる。
一戦を終えて、彼がわたしのもとにやってきた。
「どうでした」
「フェリスさま、とてもすてきでした。たくさんのラフ画を描くことができましたわ。なかでもこちら。下書きまで描けましたの」
「わあ。すごいな、これは」
「それほどでも。それにしても、素敵でしたわ。フェリス様の勇姿」
「まだ新人騎士だけどね」
「そんなことありませんわ。剣の鍛錬は、長年の経験のたまものだと感じられました。足の踏み込みで、ああって何かが伝わってきて、こう、構えてからの一瞬の動きがまた、素敵でした。どうやったら、あんなに強くなれるのですか?」
「ここだと決めて敵に飛び込む勇気を出せば、勝てると思う。すべてをなくしてもいいという気持ちだね」
「すべてを投げ出すような、勇気。かっこいいですわ……」
話術が長けていれば、この熱い思いは伝わるのだろうけれど、語彙力がないので、残念でならない。
「なにかその、照れるな、ありがとう」
「本当のことしか言っていませんので、照れる必要などありませんわ」
しっかりといいきると、はやりフェルリスの耳は赤くなっていた。
日暮れまで鍛錬を続けていたので、熱い思いが込められた一枚に仕上がりそうだ。
「ごめんなさい。遅れてしまったね」
「いいえ。その分、わたしもかなり作業が進みましたの」
「見せてくれる?」
「もちろんです」
わたしは、彼の躍動する姿のスケッチを見せた。
「よく描けてるね。これをどう、アレンジするんだい」
「わからないわ。でも、もっとたくさん描けば、イメージが湧くと思うわ」
「だったら、今週の日曜日、ピクニックでも行きませんか」
「……よ、よろしいのですか?」
「もちろん。当日、ご自宅にお迎えにいきますよ」
「ありがとう。ぜひ、ぜひよろしくお願いします」
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