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第四章 夢か、幻か
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「…会いたい人、か」
家に着いた龍司は真っ先にサクラのいる白いゲージに近づいた。
サクラは玄関の扉の音を聞き付けると、小さな声で鳴きながらゲージの中で飛び跳ねていた。
「お前を捨てたやつに会いたいな。
なんてことしたんだって、言ってやりたいよ」
そうサクラに話しかけるように呟きながら、
サクラの小さな身体を持ち上げた。
サクラは龍司の指にかじりついていた。
サクラを拾ったのは、今から一年前のことだ。
ちょうど今ぐらいの時期だったか、
家の近くの河沿いにある大きな桜の木の下で
木箱に入れられたサクラに出会った。
真新しい白いタオルをかけられていた辺り、
捨てられてそう時間は経っていないようだった。
放っておくことはできなかった。
たまたまペットの飼えるマンションに住んでいたこともあって、
龍司は白いタオルにサクラを包み込んで
家に連れ帰った。
ちょうど真美から別れ話を切り出された日の夜だった。
家に着いた龍司は真っ先にサクラのいる白いゲージに近づいた。
サクラは玄関の扉の音を聞き付けると、小さな声で鳴きながらゲージの中で飛び跳ねていた。
「お前を捨てたやつに会いたいな。
なんてことしたんだって、言ってやりたいよ」
そうサクラに話しかけるように呟きながら、
サクラの小さな身体を持ち上げた。
サクラは龍司の指にかじりついていた。
サクラを拾ったのは、今から一年前のことだ。
ちょうど今ぐらいの時期だったか、
家の近くの河沿いにある大きな桜の木の下で
木箱に入れられたサクラに出会った。
真新しい白いタオルをかけられていた辺り、
捨てられてそう時間は経っていないようだった。
放っておくことはできなかった。
たまたまペットの飼えるマンションに住んでいたこともあって、
龍司は白いタオルにサクラを包み込んで
家に連れ帰った。
ちょうど真美から別れ話を切り出された日の夜だった。
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