ピロティー

いまさら小次郎

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20:00, Friday アルバートホテル 7階にて

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視界が閉ざされると、意識が一気に下半身に集中する。
与えられる刺激に、しならせていた背中は徐々に丸みを帯び、両膝が閉ざされていく。
押し殺した声を俯いて飲み込もうとすると、弘が後ろから覆いかぶさってきた。
左の頬に、唇を当てられる。


「…まこ…”触って”って言ってみて」
「もう…触って…っ…る…」
「まこにそう言われたら、俺も”ここにいる意味”を持てると思うんだけどな」

夢見荘の男は、ただ求められるままに、己の身を差し出す。
そこに自由はなく、全ては求める者の意志に委ねられる。
究極の奉仕。究極の、無抵抗。
どちらに偏ることもないこの理想郷は、
互いが互いを分け与え合うことを前提としていない。
真には、その無秩序なやりとりが恐ろしく感じられた。

思えば自分はどうだったんだろう。
恋人に求められることはしてきたつもりだった。
自分も同じように、求めたものを与えられると思っていた。
けれど現実は違った。
次第に相手の欲求はエスカレートし、
遂にはそれが重荷になった。

弘の顔が見たい。
すぐそばにいるはずなのに、なぜか急に弘の顔が見たくなった。
”与え続ける”男の、生き方が刻まれたその表情はどんなものだっただろう。
確かめたくなった。
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