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森の中へ
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近くの森で待ち合わせしていた友達と合流した。
何故こんな森の近くなんだろうと、訝しんだ。
この森は危険だから、入っては行けないと、ブラウンの年季の入った看板が差してあった。
「こんにちは、今日は、どこで遊ぶの?」
結構我の強い女の子と、その付き添いみたいな男の子に挨拶して、俺は聞いた。
「ふふふ、あんたの父親さ、ゴブリンにやられたんだって? 弱っちいわねー。ゴブリンなんて、私でも倒せるって言うのに。」
彼女がグリーン色の髪をかきあげ、威張って言う。宝石のルビーの様な大きな瞳、服装は中央に薄いグレーのリボンが可愛く付いており、まるで元いた学校の制服にも見える。
自分の髪の色が好きなのだろうか? 制服ぽい服装も淡いグリーンだ。
スカートは短く、白いフリルがお洒落に付いている。彼女は、同じ種族であるエルフの女子だ。
この子スペルビアは、この村の領主の娘、つまりお嬢様だ。
自分の父親の悪口を言われた俺は、心底腹が立った。魔王を倒した勇者パーティの1人なのにと、言いたくなる。
しかし…言ったとして、信じてもくれないだろう。
それに…子供の言う事だから、あまり怒るのもな…大人の対応を取るとするか。
「いや、それは言い過ぎだよ。それは、ゴブリンを甘く見過ぎ。」
俺は彼女に注意をした。スペルビアは、頬を膨らませて、眉間に皺を寄せた。
「そんな事ない! それを私が今から証明してあげる。あなたのお父様は弱いんだから、その子供のあんたも、弱い! だから私が仕方なしに守ってあげる。」
俺に指を差して、左手を腰に当てて言う。
どんな理屈だよ。別に守って貰わなくて結構。弱いって言われると、沸々と怒りが湧く。
落ち着け自分。子供が言う事じゃないか。そう自分に言い聞かせる。
「そうそう、マギは弱いから、僕がしっかりとスペルビアを守ってやらないとな。」
俺を見下すよ様に、男の子が半笑いで言う。
彼は、スペルビアの婚約者、ティミドゥス、言いにくいから、ティミって俺は呼んでる。
ティミは、白髪短髪の生意気そうな顔をしている子だ。服装は青のポロシャツに、チノパンを履いている。
俺が弱いって、なんでティミに分かる! 勝手な思い込みだ。俺は赤ん坊ですでにゴブリンを倒したんだ。
苛立ちを込めながら、拳に力を入れる。
「ふん、じゃあ行きましょう。ゴブリン探しに森にね。」
彼女が森に入ろうとしていた。いや、駄目だろ! 領主の娘に何かあったら、俺が文句言われるんだよ。
「森? いや危険だよ。看板にも入るなって書いてある。」
俺は看板を指して、慌てて彼女を止める。
「だから? この臆病者。私が守ってあげるから、ビビることないわよ。ああ、私ってなんて優しい子なんだろう。」
両手を頬にやり、恍惚な表情で言い、それが自惚れを感じさせた。
何言ってんだこいつ。危険な森に誘っておいて、優しいとか、頭の中を見ていたいぜ。
俺が弱いと思われるのは、体格が父親譲りの貧相な体だからだろうな。
それでも父を弱いと侮辱する発言は、子供であろうと、許されない。
スペルビアが、森の中に入って行く。それに続いてティミが付いて行く。ティミの背中には、弓矢をしまう矢筒があった。
すでに準備万端って訳か…どうする俺も行くか?
「早く来いよ、このノロマ。ビビって、動けねーか?」
挑発する様にティミが叫ぶ。
このやろー、顔だけじゃなくて、本当に生意気なやつ。子供だけで森に入るのなんて躊躇うに決まってるだろ。せめて大人の強い人連れて行くのが当たり前だ。
ったく、子供は無鉄砲だなー。仕方ない。そう言われたら、入らない訳にはいかないな。
「今行くよ。」
俺はそうティミに返事をした。俺にだって、プライドはある。ここまでコケにされて、行かない選択は取れない。
それに…この子達の事も心配ではある。何かあったら、目覚めが悪いからな。
大人達を呼んでる時間がない。既に2人は入ってしまった。見当たらなくなる前に、追いかけないと。
俺は急いで2人の後を追った。スペルビアが俺に強さを見せる為に森に入った。もしかしたら、追わなければ引き返したかも?
だが、後で必ず俺が来ると勝手に思われていたら、それを裏切る事になる。やれやれだぜ。
森の内部は、それは神秘的で、緑の草が多い茂っている。虫の鳴き声が聞こえる。
森は異世界でも変わらない、そう思っていたが…木が動いた!
「おいおい、木が動いたよ?」
驚いて飛び跳ねた。そして気を指差して言う。
「ビビリが! 精霊が木の中に宿ってんだろ? もしかして森に入るの初めてか?」
そりゃ初めて入りますよ、ええ。教えてくれるのは、ありがたいが、俺に暴言浴びせないと気が済まんのか?
「本当怖がって、小心なんだから、でもそこが可愛いわね~。」
笑いながら口に手を当てて、彼女が言う。
「精霊がお前みたいな怖がりを脅かして、楽しんでるんだろ。このお子ちゃまが。」
ティミが説明する。
精霊とは悪戯小僧みたいなもんか?
もっと詳しく聞きたいが、こいつに罵声を浴びらされるのは、億劫なので黙っていた。
精霊の事は、帰ったら母に聞くか。
何故こんな森の近くなんだろうと、訝しんだ。
この森は危険だから、入っては行けないと、ブラウンの年季の入った看板が差してあった。
「こんにちは、今日は、どこで遊ぶの?」
結構我の強い女の子と、その付き添いみたいな男の子に挨拶して、俺は聞いた。
「ふふふ、あんたの父親さ、ゴブリンにやられたんだって? 弱っちいわねー。ゴブリンなんて、私でも倒せるって言うのに。」
彼女がグリーン色の髪をかきあげ、威張って言う。宝石のルビーの様な大きな瞳、服装は中央に薄いグレーのリボンが可愛く付いており、まるで元いた学校の制服にも見える。
自分の髪の色が好きなのだろうか? 制服ぽい服装も淡いグリーンだ。
スカートは短く、白いフリルがお洒落に付いている。彼女は、同じ種族であるエルフの女子だ。
この子スペルビアは、この村の領主の娘、つまりお嬢様だ。
自分の父親の悪口を言われた俺は、心底腹が立った。魔王を倒した勇者パーティの1人なのにと、言いたくなる。
しかし…言ったとして、信じてもくれないだろう。
それに…子供の言う事だから、あまり怒るのもな…大人の対応を取るとするか。
「いや、それは言い過ぎだよ。それは、ゴブリンを甘く見過ぎ。」
俺は彼女に注意をした。スペルビアは、頬を膨らませて、眉間に皺を寄せた。
「そんな事ない! それを私が今から証明してあげる。あなたのお父様は弱いんだから、その子供のあんたも、弱い! だから私が仕方なしに守ってあげる。」
俺に指を差して、左手を腰に当てて言う。
どんな理屈だよ。別に守って貰わなくて結構。弱いって言われると、沸々と怒りが湧く。
落ち着け自分。子供が言う事じゃないか。そう自分に言い聞かせる。
「そうそう、マギは弱いから、僕がしっかりとスペルビアを守ってやらないとな。」
俺を見下すよ様に、男の子が半笑いで言う。
彼は、スペルビアの婚約者、ティミドゥス、言いにくいから、ティミって俺は呼んでる。
ティミは、白髪短髪の生意気そうな顔をしている子だ。服装は青のポロシャツに、チノパンを履いている。
俺が弱いって、なんでティミに分かる! 勝手な思い込みだ。俺は赤ん坊ですでにゴブリンを倒したんだ。
苛立ちを込めながら、拳に力を入れる。
「ふん、じゃあ行きましょう。ゴブリン探しに森にね。」
彼女が森に入ろうとしていた。いや、駄目だろ! 領主の娘に何かあったら、俺が文句言われるんだよ。
「森? いや危険だよ。看板にも入るなって書いてある。」
俺は看板を指して、慌てて彼女を止める。
「だから? この臆病者。私が守ってあげるから、ビビることないわよ。ああ、私ってなんて優しい子なんだろう。」
両手を頬にやり、恍惚な表情で言い、それが自惚れを感じさせた。
何言ってんだこいつ。危険な森に誘っておいて、優しいとか、頭の中を見ていたいぜ。
俺が弱いと思われるのは、体格が父親譲りの貧相な体だからだろうな。
それでも父を弱いと侮辱する発言は、子供であろうと、許されない。
スペルビアが、森の中に入って行く。それに続いてティミが付いて行く。ティミの背中には、弓矢をしまう矢筒があった。
すでに準備万端って訳か…どうする俺も行くか?
「早く来いよ、このノロマ。ビビって、動けねーか?」
挑発する様にティミが叫ぶ。
このやろー、顔だけじゃなくて、本当に生意気なやつ。子供だけで森に入るのなんて躊躇うに決まってるだろ。せめて大人の強い人連れて行くのが当たり前だ。
ったく、子供は無鉄砲だなー。仕方ない。そう言われたら、入らない訳にはいかないな。
「今行くよ。」
俺はそうティミに返事をした。俺にだって、プライドはある。ここまでコケにされて、行かない選択は取れない。
それに…この子達の事も心配ではある。何かあったら、目覚めが悪いからな。
大人達を呼んでる時間がない。既に2人は入ってしまった。見当たらなくなる前に、追いかけないと。
俺は急いで2人の後を追った。スペルビアが俺に強さを見せる為に森に入った。もしかしたら、追わなければ引き返したかも?
だが、後で必ず俺が来ると勝手に思われていたら、それを裏切る事になる。やれやれだぜ。
森の内部は、それは神秘的で、緑の草が多い茂っている。虫の鳴き声が聞こえる。
森は異世界でも変わらない、そう思っていたが…木が動いた!
「おいおい、木が動いたよ?」
驚いて飛び跳ねた。そして気を指差して言う。
「ビビリが! 精霊が木の中に宿ってんだろ? もしかして森に入るの初めてか?」
そりゃ初めて入りますよ、ええ。教えてくれるのは、ありがたいが、俺に暴言浴びせないと気が済まんのか?
「本当怖がって、小心なんだから、でもそこが可愛いわね~。」
笑いながら口に手を当てて、彼女が言う。
「精霊がお前みたいな怖がりを脅かして、楽しんでるんだろ。このお子ちゃまが。」
ティミが説明する。
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