エルフに転生した俺は、クズ野郎をぶっ飛ばす!

タカユキ

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2章

双子の兄妹

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レニスの視点
「子供とは言えエルフだからな…魔法を使ってくる者には、容赦しない。」
鼻息を荒くして、男の人が魔具を私に向ける。

「私魔法使えないよ。」

素直に彼に伝えた。魔法ではなく剣の戦いをする。真剣勝負をするつもりだと、仄めかす様に言う。

「ははは、こりゃ傑作だ! エルフで魔法使えないなんて、落ちこぼれじゃねぇか。それとも魔具を使わせないために嘘ついてんのか?」

落ちこぼれ…むー。私はこの発言に怒りを覚えた。何回も聞いた言葉だけど、最近は聞かなくなった。
私は彼を睨み、あなたなんて道具に頼りきりな癖にと腹が立った。


「私にはそれ、通用しないよ? そんな物に頼りきってるから、私に負けるんだよ?」

剣を魔具に向けて言う。

「あははは、お前…芸人か? まだ戦ってもいないのに勝った気でいやがる。」

腰に手を当て高笑いしながら男の人は、魔具を使った。

無駄だと示す為、準備運動で剣を振り回す。

「おいおい、マジかよ…通用しないのは、本当かよ…化け物か!」

化け物…! 女の子相手にそんな事言うなんて最低。これだからマギ以外の男の人って、興味湧かないのよね。

「ふっ…じゃあ行くよ。」
そう言って彼にステップを踏み左右に飛びながら向かって行く。

「くっ…速い! なんだこいつ。」

男の人が剣を振り下ろす。それを軽く避けて、私は彼の首に剣を突きつける。
勝負ありだ。

「私の勝ちだね。ずいぶん言いたい放題言ったよね? 落ちこぼれだの、化け物だの。降参しないとこのまま首を落としちゃうかも?」

普通の人間なら、私に勝てる人はいない。身体が子供とはいえ、レベルが違うのだ。
魔族ほどの身体能力がないとね。
だからこの勝負を持ち出した。

たまに人間でも、お化けみたいに強い人もいるけど…まずないから。

「バ…バカな! 俺があっさりとこうも簡単に…だが…あの女の言う通りだったか。」

声のトーンが怯えた子犬が吠える様だった。
周りの空気が変わるように観客も静まり返った。

だけど…勝利を確信して油断するといけないと、自分を引き締めた。
最強の戦士も、勝利を掴んだと考えると、その後に斬り殺される。
私は本でそのことを知った。

剣を下ろしてと言って、その剣を掴み彼から遠ざけた。我ながら賢いと自分を褒めた。

ここから話を進めるのが正解だと、戦士である師匠に教わった。武器を持たせたままだと、余裕がまだあり、優位に立てないからだと。

「さて、約束通り魔族の双子は、預からせてもらいますね。あーそれとさっき女の人が言う通りだったとか口走ってませんでした? 聞き逃してないですよ。誰ですそれ?」

仲間がいるのかもしれないと、辺りを警戒した。

「分かった、好きにしろ。女の人さて? 観衆の前で恥かかされておかしくなったのかもな。」

あっさりと彼が身を引いた。おかしいな? とは思いながら、まぁいいかと、安堵のため息を吐いた。

「レニス…まさかあんたに助けられるなんてね。」
スビアが背中から肩を叩いて言う。
私は首を横に振って答えた。

「ううん、助けられたの私の方だよ。私の価値観変えたんだから。魔族の双子助けようなんて、行動するつもりなかったんだから。見捨てるつもりだった私の意識変えてくれてありがとう。助かったよ。」

頭を下げて、お礼を言った。心から彼女に救われた有り難さで胸が一杯だった。

「ふん! あっそ、じゃあ感謝しときなさい。」

スビアが照れる様に首を横に振り、すぐに魔族の双子に目を向ける。

「もう安心よ。とりあえずここを離れましょう。」

彼女が言うと、魔族の双子は頷いた。
私達は、茶色の処刑場についている小さい階段を使って降りた。

私は先行して進む。
私の強さにビビる様に観客が離れる。

双子の魔族の2人は、男の子と女の子だ。
私達は名乗って名前を聞いた。

「僕はルキウス・サピエンティアです。助けてくれてありがとう。」

礼儀正しくルキウスがお礼を言う。
魔族とエルフの見た目の違いは、羽が生えてるところで分けている。
彼の羽は、光の様に神々しい。

「フォルトゥナ・サピエンティアです。ルナって呼んで下さい。どうして私達を助けてくれたんですか?」
ルナの羽も似ている。それは双子だから、当然だよね。
質問され、私はスビアを見る。


「罪もない者が、殺されそうになってるところを助けるのは、当たり前じゃない?」
スビアが、はっきりと言った。
雰囲気がかなり良くなった。スビアはまるで太陽の様…まさにリーダーの素質があるなと、尊敬の眼差しを向けると、グゥゥと音が聞こえた。

「お腹空いたよね?」
私はぽつりと呟いて、みんなに聞いた。音の主人は、誰か特定しない様に言う。
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