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体のふしぶしが痛い。
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『仕方ないですね。大変かもしれませんが腰からですね。それ!』
『…またですか。次から次へと絶えませんね。あなたも大変だ。』
『まったくです。人間は、どうして、こうも邪心の塊なのでしょう。まだ怪獣や妖怪達の方がブレない強いものを持っている。それだけ弱い生き物という事なのでしょうかね…。』
『そういう事ですね。しかし、悪い事は、悪い事ですから。罰は、必要なんです。あくまで更生を促す為です。人間は、痛みを知らないと分からない生き物ですから。』
『そうですね。辛い所ですが、やむを得ませんね。』
『ああ、またですよ!罰神様!』
『また!何故そんな事をするのです!そんな事をしたって、今その瞬間だけの快楽に過ぎない!結局、自分を苦しめるだけなのに…。愚かだ。人間は、なんて愚かなんだ。』
『罰神様、だから、あなたの存在が必要なのです。愚かな過ちを繰り返す人間には、罰を与えるのです。』
『仕方ないですね…。あの人間は、以前にも右肩に罰を与えてますね。それを機に、好きだった事も辞めているはずなのに、分からない人ですね。それでは、今回は左膝にしましょう。これで、分かって頂ける事を願うのみです…。それ!』
ーーー。
『…いやぁ、今年も高校野球が熱いですね!昨日も甲子園観て泣いちゃいましたよ』
『俺もだよ!毎年毎年、ホント、堪らんね!』
『そう言えば、拳士さんも昔、高校球児だったんですよね?しかも、ピッチャー。』
『ああ…。甲子園には行けなかったけど最後の三年の夏は、決勝まで行ったんだ。』
『マジっすか?凄いすね!プロは目指さなかったんですか?』
『もちろん目指したよ。でも、大学時代に肩を壊して諦めたんだ。』
『そうなんですか…。』
『まぁ、今思えば、成るようにして成った気がするな。』
『どういう事ですか?』
『俺、一応エースだったんだ。高校時代もエースで四番。大学時代も一年生の時から即エースだった。でも、ちょっと良い気になってな。女にはモテたから相手の気持ちも考えずに、しょっちゅう、取っ替え引っ替え。後輩には、軽いイジメ紛いな事も…。』
『…それが原因なんですか?』
『なぁ、知ってるか?神様っているんだぞ。悪い事しない様にちゃんと見てんだ。良い気になってた俺は、バチが当たったんだな。プロどころか、今じゃ右肩は、ここまでしか上がりもしなくなった。』
『そうなんですか…。』
『お前も気を付けろよ。世の中、上手いこと平等にちゃんと出来てんだから。』
『はい、肝に命じます。…ってか、俺は別に昔、何かやってた訳じゃないすけど、俺も大分前から腰が痛くて。立ち仕事なのに、最近はもう、立ってるのがしんどいんすよ。これも、そう言う事なんですかね。』
『そうだろうな。良く考えてみ?お前、何も悪い事してない何て言い切れるか?』
『いや、言えないっす。残念ながら胸を張って言えないっす…。』
『だろ?そう言う事だよ。』
『はぁ…。神様は、厳しいすね。』
『ははは!ホントにな!でも、頑張ってる奴には、ちゃんと良い事が待ってるんだよ。』
『そうなんすかね。』
『ほれ!遥輝なんて良い例だろ。』
『ああ、確かに!そうっすね。』
『アイツの努力してる所は、みんな見て来たからな。バンドのメジャーデビューが決まった時も、心から納得だったわ。』
『まぁ、アイツの場合、アラを探す方が難しいぐらいですもんね。葵の事も、スゲェ大事にしてるし。でも、それもホントにそう言う事なんですかね?』
『そうやって疑っている内は、何も良い事なんか訪れはしないだろうな。』
『う、うーん…。返す言葉がありまへん…。』
『…お!もう、こんな時間か!俺、行くな!』
『あれ?拳士さん、これから何かあるんすか?』
『ああ、最近、走り始めてさ。ほれ、腹も出始めて来たからダイエットも兼ねてさ。』
『そうなんすね。…って、言っときながら実は、愛人に会いに行くとか?』
『ア、アホか!ジョギングだよ!ジョギング!俺は、既婚者だぞ?娘だっているのに!愛する家族を裏切れるかっつーの!』
『…そうである事を願ってますよ、拳士さん!』
ーーー。
『…そうですね。彼は、充分過ぎるほどの努力をしています。脇目もくれず、眩しいくらいに実に真っ直ぐだ。』
『褒神様。では、彼に?』
『勿論です。良い事を、努力を積み重ねる人間には、しっかり褒美を与えます。罰神様、何か異論が?』
『そうですね…。褒神様、彼は確かに努力をしていますが、近くにいる女性の事を、愚かの如く見下している節があります。』
『そうですか…。では、同時に与えましょう。それ相当の褒美と罰を。』
『分かりました。では、行きますよ。それ!』
ーーー。
『…翔平の奴、俺達の気付いてんのかな?まるで全てを見透かしてやがるみたいに言うからさ。』
『そうなんじゃない?まぁ、私としては別にバレても良いけどね。その方が、奥さんと別れ易いでしょ?そうしたら、あなたは私のモノだもん!』
『葵、お前まで怖い事言うなよ…。』
『あはははは!』
『ったく!お前だって、二股のくせして何でそんな余裕なんだよ。…あぁ、膝痛ぇ!クソッ!膝まで痛くなってきやがった!もう、体のふしぶしが痛ぇよ!』
『そりゃ、そうでしょ!私は、どうせ、病気のせいで、もう子供も産めない体にされたんだし。だったら、その分、遊んでやるわよ!』
『…女って、強ぇな。遥輝は、お前のそういう強気な所に惹かれてんのかな。』
『違うと思うよ。遥輝は、自分が真面目過ぎるくらい真面目で、真っ直ぐだから私みたいな屈折した女が近くにいると安心するのよ。まぁ、少し見下してるのかもね。』
『そうなんかね…。』
『そうなの。でも、それで遥輝が成功して行くなら私は本望だわ。』
『葵…。だったら何で俺みたいな男の相手まで、するんだ?』
『簡単よ。あなたにも頑張って欲しいから。』
ー完ー
『…またですか。次から次へと絶えませんね。あなたも大変だ。』
『まったくです。人間は、どうして、こうも邪心の塊なのでしょう。まだ怪獣や妖怪達の方がブレない強いものを持っている。それだけ弱い生き物という事なのでしょうかね…。』
『そういう事ですね。しかし、悪い事は、悪い事ですから。罰は、必要なんです。あくまで更生を促す為です。人間は、痛みを知らないと分からない生き物ですから。』
『そうですね。辛い所ですが、やむを得ませんね。』
『ああ、またですよ!罰神様!』
『また!何故そんな事をするのです!そんな事をしたって、今その瞬間だけの快楽に過ぎない!結局、自分を苦しめるだけなのに…。愚かだ。人間は、なんて愚かなんだ。』
『罰神様、だから、あなたの存在が必要なのです。愚かな過ちを繰り返す人間には、罰を与えるのです。』
『仕方ないですね…。あの人間は、以前にも右肩に罰を与えてますね。それを機に、好きだった事も辞めているはずなのに、分からない人ですね。それでは、今回は左膝にしましょう。これで、分かって頂ける事を願うのみです…。それ!』
ーーー。
『…いやぁ、今年も高校野球が熱いですね!昨日も甲子園観て泣いちゃいましたよ』
『俺もだよ!毎年毎年、ホント、堪らんね!』
『そう言えば、拳士さんも昔、高校球児だったんですよね?しかも、ピッチャー。』
『ああ…。甲子園には行けなかったけど最後の三年の夏は、決勝まで行ったんだ。』
『マジっすか?凄いすね!プロは目指さなかったんですか?』
『もちろん目指したよ。でも、大学時代に肩を壊して諦めたんだ。』
『そうなんですか…。』
『まぁ、今思えば、成るようにして成った気がするな。』
『どういう事ですか?』
『俺、一応エースだったんだ。高校時代もエースで四番。大学時代も一年生の時から即エースだった。でも、ちょっと良い気になってな。女にはモテたから相手の気持ちも考えずに、しょっちゅう、取っ替え引っ替え。後輩には、軽いイジメ紛いな事も…。』
『…それが原因なんですか?』
『なぁ、知ってるか?神様っているんだぞ。悪い事しない様にちゃんと見てんだ。良い気になってた俺は、バチが当たったんだな。プロどころか、今じゃ右肩は、ここまでしか上がりもしなくなった。』
『そうなんですか…。』
『お前も気を付けろよ。世の中、上手いこと平等にちゃんと出来てんだから。』
『はい、肝に命じます。…ってか、俺は別に昔、何かやってた訳じゃないすけど、俺も大分前から腰が痛くて。立ち仕事なのに、最近はもう、立ってるのがしんどいんすよ。これも、そう言う事なんですかね。』
『そうだろうな。良く考えてみ?お前、何も悪い事してない何て言い切れるか?』
『いや、言えないっす。残念ながら胸を張って言えないっす…。』
『だろ?そう言う事だよ。』
『はぁ…。神様は、厳しいすね。』
『ははは!ホントにな!でも、頑張ってる奴には、ちゃんと良い事が待ってるんだよ。』
『そうなんすかね。』
『ほれ!遥輝なんて良い例だろ。』
『ああ、確かに!そうっすね。』
『アイツの努力してる所は、みんな見て来たからな。バンドのメジャーデビューが決まった時も、心から納得だったわ。』
『まぁ、アイツの場合、アラを探す方が難しいぐらいですもんね。葵の事も、スゲェ大事にしてるし。でも、それもホントにそう言う事なんですかね?』
『そうやって疑っている内は、何も良い事なんか訪れはしないだろうな。』
『う、うーん…。返す言葉がありまへん…。』
『…お!もう、こんな時間か!俺、行くな!』
『あれ?拳士さん、これから何かあるんすか?』
『ああ、最近、走り始めてさ。ほれ、腹も出始めて来たからダイエットも兼ねてさ。』
『そうなんすね。…って、言っときながら実は、愛人に会いに行くとか?』
『ア、アホか!ジョギングだよ!ジョギング!俺は、既婚者だぞ?娘だっているのに!愛する家族を裏切れるかっつーの!』
『…そうである事を願ってますよ、拳士さん!』
ーーー。
『…そうですね。彼は、充分過ぎるほどの努力をしています。脇目もくれず、眩しいくらいに実に真っ直ぐだ。』
『褒神様。では、彼に?』
『勿論です。良い事を、努力を積み重ねる人間には、しっかり褒美を与えます。罰神様、何か異論が?』
『そうですね…。褒神様、彼は確かに努力をしていますが、近くにいる女性の事を、愚かの如く見下している節があります。』
『そうですか…。では、同時に与えましょう。それ相当の褒美と罰を。』
『分かりました。では、行きますよ。それ!』
ーーー。
『…翔平の奴、俺達の気付いてんのかな?まるで全てを見透かしてやがるみたいに言うからさ。』
『そうなんじゃない?まぁ、私としては別にバレても良いけどね。その方が、奥さんと別れ易いでしょ?そうしたら、あなたは私のモノだもん!』
『葵、お前まで怖い事言うなよ…。』
『あはははは!』
『ったく!お前だって、二股のくせして何でそんな余裕なんだよ。…あぁ、膝痛ぇ!クソッ!膝まで痛くなってきやがった!もう、体のふしぶしが痛ぇよ!』
『そりゃ、そうでしょ!私は、どうせ、病気のせいで、もう子供も産めない体にされたんだし。だったら、その分、遊んでやるわよ!』
『…女って、強ぇな。遥輝は、お前のそういう強気な所に惹かれてんのかな。』
『違うと思うよ。遥輝は、自分が真面目過ぎるくらい真面目で、真っ直ぐだから私みたいな屈折した女が近くにいると安心するのよ。まぁ、少し見下してるのかもね。』
『そうなんかね…。』
『そうなの。でも、それで遥輝が成功して行くなら私は本望だわ。』
『葵…。だったら何で俺みたいな男の相手まで、するんだ?』
『簡単よ。あなたにも頑張って欲しいから。』
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