ヒトゴロシ

杉本けんいちろう

文字の大きさ
上 下
1 / 1

ヒトゴロシ

しおりを挟む
はじめて、すきになったこ。
えがおが、とってもかわいいこ。
だれにでも、とってもやさしくて、あかるいこ。

ひとりぼっちのぼくの、ゆいいつのみかた。

どんなに、オカネをせびられても。
どんなに、バケツのみずをかけられても。
どんなに、アザだらけにさせられても。

あのこの、えがおにあえるから。
あのこは、やさしくしてくれるから。
アイツらがいても、ぼくは、きょうも、がっこうにいく。

なにごともなかったように、ふるまいながら。

かえりみち、あのこが、アイツらとあるいてる。
ぼくは、そのうしろをきづかれないようにあるく。
あのこが、アイツらとわらってる。

だれと、いたっていいさ。
うしろすがたも、すきだから。
それだけで、しあわせなんだ。

ひとりぼっちのぼくの、ゆいいつのみかた。

どんなに、バカにされても。
どんなに、ワラわれても。
どんなに、ダマされても。

はじめて、すきになったこ。
えがおが、とってもかわいいこ。
だれにでも、とってもやさしくて、あかるいこ。

アイツらに、なにをやられても、あのこだけは、ぼくをかばってくれる。

ありがとう…。
それが、ほんとにうれしくて…。

だから、もう、じゅうぶんなんだ。
ぼくは、しあわせをしったんだ。

ぼくは、きめた。

もう、しのうとおもう。
あのこと、いっしょに…。

いいよね?

さいしょで、さいごのゆうきだよ。
あのこを、まちぶせた。

うしろから、カッターでつきさした。
たおれてから、また、つきさした。

なんで、あやまってるのか、わからないけど…。

なんども。なんども。なんども。なんども…。

そのこえが、きえるまで…。

あのこは、しんだ。
まっかな、ちをながして。

ぼくが、コロシタ…。

「なにしてるんだ!?」

みつかった。
あとを、おいかけるまえに、つかまった。

ぼくは、イキテル…。

はじめて、すきになったこ。
えがおが、とってもかわいいこ。
だれにでも、とってもやさしくて、あかるいこ。

ひとりぼっちのぼくの、ゆいいつのみかた。

あのこを、コロシテ…。
ぼくは、イキテル…。

ぼくは、ヒトゴロシ。
いつか、ぼくのこともコロスから、まっててね…。

       ー完ー
しおりを挟む

この作品の感想を投稿する


処理中です...