天使の涙

八千真冬夜

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一樹の話

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 遠くの通りに陽炎が見える。

 夏独特の少し重い空気。

 マンションを出て通りに出る。

 初めてデートしたルートを思い出す。

 いつもの行きつけの店。

 あまり彼女の好みには刺さらなかったけど。

 それでも選んでくれた。

 買い物が終わるとすぐ店を出た。

 駅の喧騒の中で隣に立つ彼女。

 別の世界にいるかのように凛としていた。

 どうやらそろそろ電車が来るらしい。


【黄色い線の内側までお下がり下さい】
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