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序章
少女のはなし
しおりを挟むその少女は、気づいたらそこにいた。
草木が鬱蒼と覆い茂り、人が滅多に立ち入らないその森の中程に、ポツリと座り込んでいた。
どうしてそこにいるのかも、どうやってそこに来たのかも、何もわからず。
そこが森の中だということすら、知りもせずに。
ポカンと小さな口を開けて、ぺたりと座り込んでいた。
しばらく茫然としていた少女は、やがてフラりと立ち上がると、ゆっくりと前に歩き出した。
戸惑いと恐怖と緊張に身体を強ばらせながらも、しっかりと周囲に目を走らせて。
そうして少女がやっとのことで森から出ることができたのは、それから三日目の夜だった。
身体中泥と汗で汚れ、至るところにできた切り傷や擦り傷から血を滲ませて。
身体はとうに悲鳴をあげていて、足はフラフラ、服もボロボロ。
顔は疲労の色が濃く、髪の毛はぐじゃぐじゃ。
決して見られる格好ではなかった。
約四日かけて森から出ることができた少女だったが、四日間張り詰められた気が緩むことはなかった。
いや、緩めることができなかった。
森の外が安全とは限らない。
何が起きるかわからない。
正直なところ、四日間に渡る緊張状態により、少女の精神はボロボロの状態だ。
そんな身も心もボロボロの状態にもかかわらず、目をギラギラと光らせて警戒体制を解かない、いや解くことのできない少女。
それほどまでに、森での四日間は過酷だった。
少女は森を出てからも、立ち止まることなく歩き続けた。
ボロボロの身体を酷使して。
悲鳴をあげる心に気づかないふりをして。
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