今更、日常に戻れる気がしない

葉室ゆうか

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今更、惚れたとか手遅れな気がする❽

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立ち上がる睦月と逆に恐怖に地べたにヘタリ込む四人はそれでも這って逃げようとする。

手を上げると殴られるとでも思ったのか、全員が怯え出した。
だが、その手に宙を滑ってパシッ!とスマホが収まった。

「さて、と?これは何処にUPしたら効果的かな~」

暢気な死の宣告を受けて、一発たりとも殴られてなんかない筈の彼女達は、何故か全員がひのきの棒で殴り倒されたかの様な顔をしていた。


おほほほ、と睦月がロココ調に笑っている。


そして、言った。
「次はさあ…やった事、そのまま返すよ?」

スマホを手に踵を返すと、四人を後目にスキップを踏んで去っていく。




さあ反撃の時     唱おう呪いの歌を
【水】には【土砂】で  【土】には【爆風】を
【力】には【権力】で   【暴力】には【屈辱】を
返そう、十重に二十重に
返そう、遥かな高みから


───────さあ、今、反撃の時



右手に収まったスマホが高い位置でリズムに合わせてプラプラと揺れる。
オレンジに染まる小柄な、地味な同級生が得体の知れない生き物に見えて仕方なかった。

































目の前には『オシオキ』大好き!な男達がバカ笑いしている。その前に麻由里のカレシがボリボリ頭を掻いていた。

「…悪かったって!俺宛に届いた写真だったからさー、ついマユかダチの『フリ』かと思ってな?マジでゴメンな?」

いや、謝っている様でまるで謝っていない様子に釈然としない麻由里だったが、言われるがまま《悪い》先輩を連れてきてくれた処を見ると、流石にすぐさま別れようと思っての仕業ではなく、悪気無くノリでやった単に面白くてやった、まさか彼女がこんなに怒って別れ話にまで発展するとは思わなかったという三連発で、まさかの【頭の悪い男】というだけだったオチらしい。

「で?ナニよ。《マユちゃん》はその地味女にまんまとハメられた、と。そんで、オシオキでその女を俺達にハメて欲しいワケだ?」
「後輩の頼みだから来たけど、俺の高級マラ、ジミィに勃つかしら?ギャハハ‼︎」

下品の極みにお互いをどつき合う男達に軽く引いた麻由里だったが、数枚の諭吉をカレシ経由で渡すとどうにかにやにやレベルまで騒ぎが収まった。漸く話をする環境が整ったのを見てやっと麻由里は『相談』を始めた。








人を拉致るなら車か知人を使うに限るが、今回麻由里が怖気づいた所為もあり帰宅ルート、顔写真提供のみに留まった為、簡単に覆面を被って攫う事にした。

「ヒャーハー!睦月ちゃんだー‼︎見っけー」

例の『現場』で声を掛けられ、振り向いた処で睦月を顔写真と照合するのは……会社の忘年会レベルの様々な『マスク』を被った三人の男達だった。

「……三人目……パンツは無いよね……」

そう、女物のパンツを顔に被った男は両脇の男達から同時にど突かれる。
「いやジミィ、ツッコミにキレがあるやん」「オマエ、ちゃんとドンキで買って来いって言ったろ!」「ツッコまれる方からツッコまれてどーすんだ⁉︎」「やめッ、カメラで殴んな!壊れんだろ⁉︎」

睦月は呆れた顔でそれを一暼すると、徐に踵を返して歩き出した。
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