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第一章
隠れくまのみ
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お前が死ぬなら俺も死ぬよ。
そう言って笑って、アイツはビルの屋上から、嬉しそうにその姿を消した。
「クレト、起きて」
!!
「…あぁ、なんだ、お前かチャーリー…驚かすなよ」
呼び声に目を覚ますと、まず目に入ったのはベットの横に立っている、人形のように美しく、可憐な少女、チャーリーの姿だった。
その次に目に入ったのは部屋に取り付けてあるカーテンが開いた窓、そこから見える青く澄んだ空。
ビルの高層群に立ち塞がれていても見えるその青は、俺の心を落ち着かせた。
俺の名前はクレト。本名を省略した名だ。
嘘だ、違う。俺に本名は存在しないのだ。
あの施設からチャーリーと二人逃げ出してから、付けられた異名を省略した名。
それが、クレト。
「…どうしたの、クレト。泣きそうだよ…?」
「…酷い夢をみたんだ、チャーリー…。アイツが俺の前から姿を消した時の夢だよ…
なぁ、チャーリー、お前は俺の前から消えないよな…?」
酷い男だろう俺は。俺に依存してる少女をさらに縛るんだから。
「消えない、約束する、。だから、クレトも私の前から消えないで…!」
そう言って震えながら俺にしがみつく彼女の名前はチャーリー。あの施設のやつに気に入られ、名前を与えられた唯一の青緑の使い手だ。
青緑、それは色の名前であり、この世界での能力を区分する呼び名である。
青は水、氷、精神受信型超能力の使い手のことを指し、
緑は木、風、自然系の超能力の使い手のことを指す。
二色の使い手は相当珍しく、現在世界で確認されているのはチャーリーを含めたったの7名。
それに、二色使いは1億人に1人の確率でしか存在しないらしく、二色使いは王とする風習が残る国もある。
中身を見ようとは決してしないその姿勢は、国を滅亡させるだけだと言うのに。
…そしてその代表は、過去にとある事件で滅亡した帝国だ。
…そして、二色以上の使い手は現在二人いる。
「俺は消えないよチャーリー…」
チャーリーの体を強く抱き締める。
情けないことに俺の体は今震えている。
なぁ、チャーリー。消えないと言ってアイツは消えたんだ。俺は一体どうすればいい…?
「…大丈夫、私を信じてクレト。私だって、あなたを守るから。」
…信じれないよチャーリー…。どうしてこうなったんだろう…。
昔は、もっと世界がキラキラと、夜空に浮かぶ数多の星のように輝いていた俺たちは。
あの小さな方舟の中、たった三人で生き残った俺たちは。
何処へ、姿を消してしまったんだろう…
「…うん。」
疑問や不信感は消えないけれど、
そう言って俺たちは、お互いのことを確かめるようにただ抱きしめ合い、その場にいた。
光が差し込む窓辺に、ベットに座ったままの俺と、ベットに乗りこんでまで俺を抱き締めてくれるチャーリー。
この子を守るのは、俺の役目なのに。
…いつも、慰めてもらうばかりだ。
あれから俺たちは住んでいるマンションを出て、適当にブラブラと街を歩いていた。
この世界は、基本的に地面がない。
というより、地面に色がなく、透明なのだ。
だから建物や生物が宙に浮いて見える。
木の根だって丸見えだ。
だが、何処かの国には地面の色もあり、火山が活発な所があると、何処かで聞いた覚えがある。
…どこで聞いたかは思い出せないが。
その国に俺たちは行ったことがない。
いつか、行ってみたいと思う。チャーリーと、ふたりで。
…そういえば、この国に今、勇者がいると聞いた覚えがある。
その人たちに着いていけば、行けるのでは無いだろうか。その国に。
「…チャーリー。」
「私は、クレトがいれば大丈夫だから。」
無表情な彼女は、それでも雰囲気を和らげ、俺の意思に従うと言う。
「ごめん。…ありがとう。」
「んーん。気にしないで。私も行ってみたいと思ってたから。」
目元をほんの少し和らげ、優しく俺を見上げる彼女には頭が上がらないな。
そうしてもうしばらく、その場を探索していた。
「紅ノ音―クレノオト―…やっと見つけた…!」
そう言って笑って、アイツはビルの屋上から、嬉しそうにその姿を消した。
「クレト、起きて」
!!
「…あぁ、なんだ、お前かチャーリー…驚かすなよ」
呼び声に目を覚ますと、まず目に入ったのはベットの横に立っている、人形のように美しく、可憐な少女、チャーリーの姿だった。
その次に目に入ったのは部屋に取り付けてあるカーテンが開いた窓、そこから見える青く澄んだ空。
ビルの高層群に立ち塞がれていても見えるその青は、俺の心を落ち着かせた。
俺の名前はクレト。本名を省略した名だ。
嘘だ、違う。俺に本名は存在しないのだ。
あの施設からチャーリーと二人逃げ出してから、付けられた異名を省略した名。
それが、クレト。
「…どうしたの、クレト。泣きそうだよ…?」
「…酷い夢をみたんだ、チャーリー…。アイツが俺の前から姿を消した時の夢だよ…
なぁ、チャーリー、お前は俺の前から消えないよな…?」
酷い男だろう俺は。俺に依存してる少女をさらに縛るんだから。
「消えない、約束する、。だから、クレトも私の前から消えないで…!」
そう言って震えながら俺にしがみつく彼女の名前はチャーリー。あの施設のやつに気に入られ、名前を与えられた唯一の青緑の使い手だ。
青緑、それは色の名前であり、この世界での能力を区分する呼び名である。
青は水、氷、精神受信型超能力の使い手のことを指し、
緑は木、風、自然系の超能力の使い手のことを指す。
二色の使い手は相当珍しく、現在世界で確認されているのはチャーリーを含めたったの7名。
それに、二色使いは1億人に1人の確率でしか存在しないらしく、二色使いは王とする風習が残る国もある。
中身を見ようとは決してしないその姿勢は、国を滅亡させるだけだと言うのに。
…そしてその代表は、過去にとある事件で滅亡した帝国だ。
…そして、二色以上の使い手は現在二人いる。
「俺は消えないよチャーリー…」
チャーリーの体を強く抱き締める。
情けないことに俺の体は今震えている。
なぁ、チャーリー。消えないと言ってアイツは消えたんだ。俺は一体どうすればいい…?
「…大丈夫、私を信じてクレト。私だって、あなたを守るから。」
…信じれないよチャーリー…。どうしてこうなったんだろう…。
昔は、もっと世界がキラキラと、夜空に浮かぶ数多の星のように輝いていた俺たちは。
あの小さな方舟の中、たった三人で生き残った俺たちは。
何処へ、姿を消してしまったんだろう…
「…うん。」
疑問や不信感は消えないけれど、
そう言って俺たちは、お互いのことを確かめるようにただ抱きしめ合い、その場にいた。
光が差し込む窓辺に、ベットに座ったままの俺と、ベットに乗りこんでまで俺を抱き締めてくれるチャーリー。
この子を守るのは、俺の役目なのに。
…いつも、慰めてもらうばかりだ。
あれから俺たちは住んでいるマンションを出て、適当にブラブラと街を歩いていた。
この世界は、基本的に地面がない。
というより、地面に色がなく、透明なのだ。
だから建物や生物が宙に浮いて見える。
木の根だって丸見えだ。
だが、何処かの国には地面の色もあり、火山が活発な所があると、何処かで聞いた覚えがある。
…どこで聞いたかは思い出せないが。
その国に俺たちは行ったことがない。
いつか、行ってみたいと思う。チャーリーと、ふたりで。
…そういえば、この国に今、勇者がいると聞いた覚えがある。
その人たちに着いていけば、行けるのでは無いだろうか。その国に。
「…チャーリー。」
「私は、クレトがいれば大丈夫だから。」
無表情な彼女は、それでも雰囲気を和らげ、俺の意思に従うと言う。
「ごめん。…ありがとう。」
「んーん。気にしないで。私も行ってみたいと思ってたから。」
目元をほんの少し和らげ、優しく俺を見上げる彼女には頭が上がらないな。
そうしてもうしばらく、その場を探索していた。
「紅ノ音―クレノオト―…やっと見つけた…!」
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