幽霊トンネル

双葉紫明

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第2話

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 幽霊なんて、居ないと思ってた。
 ユーレイなんて、ニンゲンのなり損ないより、実際の人間の方が怖い。
 そう思ってた。
 最初は、単なる気晴らしに行ってみたんだ。
 そしたら、トンネルの中に、確かに彼は居た。
 それからと言うもの、僕は人恋しくなると、彼に会って対話を繰り返す様になった。
 そのうちに、人生相談みたいになった。
 彼はトンネルの外には出ない。
 日差しに、焼かれてしまうのかも知れない。
 だから、僕はゆっくりゆっくり歩くんだ。
 僅か308m。
 毎回往復10分程度の対話しか出来ない。
 ずっと話していたくて、足を止めようと思った事もある。
 けれど、そしたらあちらに連れてかれる気がした。
 別に、それならそれで、良いんだけれど。

 彼はトンネルの入口から動かない。
 僕が真ん中を過ぎると、いつの間にか出口で待っている。
 だから、幽霊だと、確信した。
 彼はけして自分の意見は言わない。
 僕の声色を真似て、オウム返しするだけ。
 僕が入口や出口に居ると、彼はすぐ近くに居るから、僕らの声は重なって、最後のほうだけ、すぐに僕を追いかける。
 真ん中くらいまで行くと、遠くから、ぜんぶはっきりと、ゆっくり返事をする。
 まるでこだまみたいだから、児玉さん。
 僕は彼をそう名付けた。
 だって、彼は、名乗ってはくれないから。
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