いくじなし

双葉紫明

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僕の奥さん

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 結婚して、彼女は奥さんになった。
 人も羨む様な女性と付き合ったのは初めてだったし、もともと人づきあいが苦手な僕は、彼女の腹の中の新しい命に感謝した。
 おかげで大好きな彼女が僕の奥さんになったよ、ありがとう。

 僕らは市役所に婚姻届を提出し、飼っていた黒猫を連れてささやかな新婚旅行へ出かけた。
 大好きな伊豆。
 大室山、網代の旅館。
 ペットも入れる貸し切り風呂から眺めた冬の花火。
 帰り道車が壊れたこと。
 貧しくも大切な思い出。
 いつかふたりして、長男に話そう。
 腹の中で、一緒に居たんだから。

 猫は死んでしまったけど。
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